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谷原章介『アタック25』幸福な復活劇!あまりの「そのまま」に興奮が止まらない

 2021年9月の最終回から半年で奇跡の復活を遂げた『パネルクイズ アタック25』。3月27日に「生放送スペシャル」として再開した番組の幸福な復活劇をバラエティを愛するテレビっ子ライター・井上マサキさんが、興奮をこらえながら紹介します。

最終回からわずか半年で奇跡の復活!

 昨年9月『パネルクイズ アタック25』(ABCテレビ)が最終回を迎えた。

 どんな番組か今さら説明不要だろう。赤・緑・青・白のパネルを取り合うシンプルなルールながら、その奥の深さから46年も続いた長寿クイズ番組。子どものころ、児玉清さんの「なぜ角を取らない!」「大事な大事なアタックチャン~ス!」を聞いて育った身としては、なんとも寂しい限り。最終回は「史上最強のチャンピオン決定戦」が行われ、それはそれは盛り上がり、惜しまれながら終了した。

 ……のだけど、それから半年後の2022年3月27日、なんと『アタック25 Next』として復活したのである。特番ではなく、毎週放送のレギュラー番組として……!

 といっても、ABCテレビで再び放送が始まったわけではない。『アタック25 Next』を放送するのは、株式会社ジャパネットホールディングスが開局した「BSJapanext」。もともとジャパネットは約20年にわたり『アタック25』のスポンサーだった。番組終了の知らせを受け、ジャパネットはBSJapanextでの継続を打診。ABCテレビと共同制作する形で復活が決まったという。

 地上波で終了した番組が、系列局ではないBSで復活するなんて前代未聞。さらに驚くのが『アタック25』を「そのまま再現」していること。

 27日に放送された初回では、大阪のABCテレビから運び込まれた、あの4色の解答席が並んでいた。司会は谷原章介が続投。スタジオはちょっと狭くなったけど、ルールはもちろん、パネルのCGも、不正解のブザー音も、テロップのフォントも、みんなみんな一緒。「アタックチャンス!」のあとジャパネットのCMが入るのも、トップ賞の「エースのスーツケース」「大北のダイヤモンド」まで同じ……!

 さらに出題担当には、1999年から10年にわたり”問題を差し上げて”いた、沢木美佳子さんを13年ぶりに起用。スタッフもクイズ作家も再集結しているそうで、見た目だけでなく中身もそのまんま。なんなら優勝賞品の旅行先が「沖縄・宮古島ペア2泊3日」から「日本一周クルーズ10日間」にグレードアップしているほど。

 こんなに幸福な復活劇がかつてあっただろうか。過去に惜しまれながら終わったアノ番組もコノ番組も、みんなジャパネットに下取りしてほしい。

谷原章介と解答者のゆったりトークが和む

 あまりの「そのまま」に興奮が止まらないが、大きな違いもある。『アタック25 Next』の放送時間は1時間。地上波時代の30分から、2倍に延びているのだ。

 他のバラエティ番組なら、放送時間に合わせて企画を増やしたりすればいい。でも『アタック25』は「25枚のパネルを争う」というゴールが決まっており、ゲームのシステムを変えない以上、クイズのボリューム自体は変わらない。つまり、やることは変わらないのに30分多い。

 この30分を主に埋めるのが、谷原章介によるトークだった。『アタック25 Next』番組冒頭では、4人の解答者を1人ずつ紹介。ここでじっくり会話を交わし、視聴者にその人となりを伝え、解答者たちの緊張をほぐしていく。

 クイズが始まったあとも、1問終わるごとに「どの辺でわかりました?」「関西の問題ばかり持っていきますね!」「(琵琶湖が滋賀県の面積の6分の1と知り)もうちょっと大きそうなイメージありますよね?」「(野球問題のあと福岡出身の解答者に)どうですか今年のソフトバンクは?」など、ゆったりと会話を重ねるのだ。これが和む。

 地上波の『アタック25』は、30分という放送時間でテンポ良くクイズが出題され、解答者とトークを交わす時間はほとんどなかった。真剣勝負の中に見せる、ホッと安堵する表情や悔しがる様子から、解答者たちの人となりがにじみ出ていた。

 勝負にグッと集中する『アタック25』もいいけど、ゆったりと時間が流れる『アタック25 Next』もそれはそれで日曜の午後にぴったり。とは言え、アタックチャンス以降の終盤は、パネル1枚で逆転するチャンスが続き、緊張感が高まってくる。良くできたルールだなぁ……と改めて思う。

「優等生」の隙を見せてくれた生放送

 27日放送の初回は、『アタック25』始まって以来の「生放送スペシャル」だったこともお伝えしておきたい。

 クイズ番組を生放送でやること自体、大変なことである。問題が足りなくなるかもしれないし、読み間違えるかもしれないし、早く終わり過ぎちゃうかもしれない。あと、めっちゃ緊張する。

 もう、冒頭の挨拶から、谷原さんは「こんにちは!パネルクイズアタックネクスト……25 Next司会の谷原章介です」と番組名を噛んでしまっていた。始まったあとも、効果音が出るのが遅かったり、進行が一瞬止まったり、誤答で立たされていた解答者が席に戻るとき早押しボタンをうっかり押して「ポーン!」って鳴っちゃったりする。

 これってたぶん、地上波時代の『アタック25』でも起きていたことだろう。収録で起きた細々としたミスは、やり直したり編集されたりして、すっきり整った30分になっていたはず。

『アタック25 Next』の生放送スペシャルは、そんな「優等生」だった『アタック25』の素の部分を見た思いだった。完璧に見えるあの子にもこんな一面が、というギャップ。ゆったりした1時間に欠かせない親しみやすさを、意図せず演出してしまった感じがあった。

 再び、毎週日曜に放送することになった『アタック25 Next』。視聴者参加の形は継続し、「年間チャンピオン大会」もしっかりやるそう。

 もう一回言うけど、こんなに幸福な復活劇がかつてあっただろうか。

文/井上マサキ(いのうえ・まさき)

井上マサキ

1975年 宮城県石巻市生まれ。神奈川県在住。二児の父。大学卒業後、大手SIerにてシステムエンジニアとして勤務。ブログ執筆などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。企業広報やWebメディアなどで執筆するかたわら、「路線図マニア」としてメディアにも出演。著書に『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』(ダイヤモンド社)など。

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この記事へのみんなのコメント

  • 祐作

     連投すみません。  「アタック25」復活から1か月が経ちました。  私も、この番組を地上波時代から引き続き観ていますが、やはりこの番組の復活は嬉しい限りです。  しかも、この番組はBSジャパネクストの目玉番組になっているようです。  クイズ番組だと、先日、「100万円クイズハンター」の司会を務めていた、柳生博さんが亡くなられましたが、「100万円クイズハンター」も、「アタック25」と同じで非常に完成度の高いクイズ番組だったと思います。  このような完成度の高い番組であれば、司会者や、時代が代わっても充分コンテンツとして通用すると思います。  なぜ、テレビ局(特に地上波)には惜しまれながら終了した番組を復活させようという発想が無いのでしょうか?  このような番組を復活させないのは、あまりにも勿体なさ過ぎると思います・・・。

  • 祐作

     私は37歳ですが、「アタック25」は中学生の頃から四半世紀の間、ずっと視聴し続けていました。  昨年、「全体の視聴率自体は堅調でも、若者の視聴率が低い」という理由で「アタック25」の終了が発表された時、私は「ふざけるな!」と思ったほどでした。  まさか、「アタック25」がBSのレギュラー番組という形で復活するとは夢にも思いませんでした。  それも、「毎週日曜日の昼1時」という、地上波時代と同じ時間帯で・・・。  後番組の「リア凸WEST」の視聴率が低迷していることを考えると、若者向け番組へのシフトがことごとく失敗しているテレビ業界の実情が垣間見えるような気がします。

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