健康

糖尿病、認知症も予防する!簡単「1日5分筋トレ」でずっと自分の足で歩こう

「少し歩くだけですぐに足が疲れる」「長時間立っていられなくなった」──こうした悩みを抱える女性は多い。だが、これが将来、寝たきりになる前兆とは思いもしないのではないだろうか。死ぬまで自分の足で歩き続けるにはどうすればいいか。今日から簡単にできる、1日5分の“筋活”を紹介する。

「人生100年時代」という言葉が盛んにいわれ出した昨今、長寿時代だからこそ、死ぬまで自分の足で歩き続けるための体作りが必要だ。

『すごい筋活貯金 「ながら筋トレ」で死ぬまで歩ける筋肉を貯める方法』(宝島社)の著者で、筋肉の働きに詳しい近畿大学生物理工学部准教授の谷本道哉さんが指摘する。

「年を取っても元気で歩き続けるには、できるだけ早く、体を動かすベースとなる筋肉を鍛えることが大切です。通常、人の体の細胞は新陳代謝を繰り返しますが、筋肉は例外で、基本的には生まれながらの細胞を死ぬまで使い続けます。

 その細胞は加齢とともに徐々に衰え、死滅していきますが、30~40代からと意外に早く衰え、80才になると、筋肉量のピークである30才頃の半分程度にまで落ちてしまうのです」

 筋肉の衰えを放っておくと足腰はどんどん弱まり、最悪の場合、寝たきりになることもある。厚生労働省によると、65才以上で介護が必要となった人の主な原因は、関節疾患が11%、骨折・転倒が12.2%、高齢による衰弱が13.9%。

 いずれも筋肉不足と関連するもので、原因の約4割にのぼる。

筋肉を動かすことで認知症も予防

 筋力不足は心疾患や糖尿病といった生活習慣病リスクも高める。谷本さんが話す。

「筋力が少ないほど日々の活動量が減るため、動脈血管機能や糖質代謝能力が低下し、病気のリスクが高まります。筋肉をよく使うほど、健康によいとされるホルモンが筋肉から多く分泌されます。近年、このホルモンに動脈硬化を和らげ、糖質代謝を高める効果のほか、脳神経機能を高める効果も見つかっており、筋肉を動かすことが認知症予防にもつながると考えられているんです」

 だが、高齢になり筋肉細胞が衰えてからでは、手遅れではないだろうか。

「高齢になると、筋肉を鍛えることは難しいと思われがちですが、筋肉は何才からでも大きく肥大させることが可能です」(谷本さん)

 まずは、自分の筋力がどの程度かを知ることが大切。下のチェックリストを試してみて、自分の体の現状を把握しよう。

【チェックリスト】
□立ったまま靴下を履けない
□何かに手をつけなければ立ち上がれない
□階段の上り下りでは手すりが必要
□手でひざを押しながら階段を上がっている
□階段を1段飛ばしで上れない
□小さな段差でつまずく
□速く歩けない
□布団の上げ下げができない
□10分以上続けて歩けない(座って休憩が必要)

「チェックがたくさんついても大丈夫です。下記4種類のトレーニングを1日おきに5分、週3回程度取り組みましょう。どれもテレビを見ながらでもできる簡単な運動です。2~3か月程度続けることで、当初のチェックが大幅に減っていることを実感できるでしょう」

 集中して鍛えるべき筋肉は、太もも前面の筋肉、下腹の深部にある筋肉、お尻の筋肉の大きく3つ。この3つは、加齢により萎縮しやすい筋肉なので、特に意識して鍛えよう。

 1日たった5分の筋トレで、将来に備えることができる。あなたも今日から始めてみては。

標準テスト

椅子に腰かけ、手を胸の前で組む。しっかりと前傾し、立つ脚に全体重をのせる。

【1】椅子に腰かけ、手を胸の前で組む。しっかりと前傾し、立つ脚に全体重をのせる。

イスから片脚だけで立ち上がりキープ

【2】【1】の姿勢から、勢いや反動をつけないよう片脚だけで立ち上がり、そのまま3秒キープ。これを片脚ずつ両方行う。

NG姿勢

【NG】前傾せずに立ち上がるのは×。重心が足の上にないため、どんなに筋力があっても立ち上がるのは不可能。

スクワット

 太もも、お尻の筋肉を鍛えられるスクワットは、4つの筋トレの中で最も重要。椅子から立ち上がる動作をイメージして正しいフォームで行おう。

足を肩幅に開き、上半身を前傾してお尻を引きながら2秒かけて深くしゃがむ

【1】足を肩幅に開き、上半身を前傾してお尻を引きながら2秒かけて深くしゃがむ。

【2】2秒かけて立ち上がる。15回を目安にこれを繰り返す。

【NG】上半身が起きてひざが前に出ていたり、しゃがみが足りないのは間違ったフォーム。ひざを痛める原因になるため、注意しよう。

レッグレイズ

 お腹、下腹の深部にある筋肉、太もも前面の筋肉を鍛えられるレッグレイズ。体幹を支える力に加え、脚を前に出す力もつき、歩く速度がUP。

浅めに椅子に腰かけ、手は椅子の後ろをつかみ、背中は背もたれに預ける

【1】浅めに椅子に腰かけ、手は椅子の後ろをつかみ、背中は背もたれに預ける。ソファで行う場合は、手はお尻の横に。

両脚をそろえ、上げられるところまでしっかり上げる

【2】両脚をそろえ、上げられるところまでしっかり上げる。2秒上げて2秒下ろす動作を10回繰り返す。脚を上げる際はお腹にしっかり力を込めるため、「キュー」と口で発しながら行うのがコツ。

バックエクステンション

 背すじを伸ばす背筋群を鍛えられるバックエクステンション。背筋が鍛えられると体幹が安定するため、動作の軸が定まる。

畳んだバスタオルをお腹の下に入れ、床にうつぶせになる

【1】畳んだバスタオルをお腹の下に入れ、床にうつぶせになる。タオルを入れることで背を反らす可動域が広がる。

手を後ろに上げて、肩を寄せながら背中を反らす

【2】手を後ろに上げて、肩を寄せながら背中を反らす。2秒かけて上半身を上げられるところまでしっかり上げ、2秒かけて下ろす。これを10回繰り返す。これも「キュー」と口で発しながら、背筋とお尻に効いているのを意識して行うのがコツ。腰に痛みを感じる場合は無理せず、痛みのない範囲で行う。

トーレイズ

 トーレイズは、すね前の筋肉を鍛えられる。しっかり爪先を上げられるようになるため、つまずきにくくなる。

 

 右足のかか

とで左足の爪先を押さえつけて負荷をかける。その状態で、左足の爪先を1秒で上げ1秒で下ろす。これを両足15回繰り返す。上げる時も下ろす時もしっかり負荷をかけるのがコツ。

撮影/小野サトシ

※女性セブン2018年9月27日号

 

●何才からでも筋肉は鍛えられる!膝を痛めない【ボートこぎエクササイズ】

●【筋肉】の正体 がんや糖尿病など病気を予防する役割も

●めざせ健康長寿!脳から筋肉への指令をよくして”しっかり動く”体になる方法

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この記事へのみんなのコメント

  • キミキミ

    筋力チェックしてみたけど、自分が思っている以上にできませんでした。 ショックだったので、出来るだけ筋トレ続けてみます!

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