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高木ブーが若手のコントを大称賛「ドリフのやってきたことが令和の今につながって誇らしい」

 先日放送された「ドリフに大挑戦スペシャル」の第2弾が、またまた大きな話題となっている。高木ブーさんは、おなじみの雷様になったりフリフリのドレス姿を披露したりして大活躍。「やっぱりコントはいいな」と言いつつ、出演した若いお笑い芸人やアイドルに称賛の拍手を贈る。収録の裏話や番組を見ての思いを語ってもらった。(聞き手・石原壮一郎)

「社長令嬢は“昔のアイドル風”のつもりだったんだよ」

 5月8日の「ドリフに大挑戦スペシャル」、見てくれましたか。地上波のゴールデンタイムの放送だと、「8時だョ!全員集合」や「ドリフ大爆笑」をリアルタイムで見ていない若い世代の人たちにも、ドリフターズのコントを見てもらえるのが嬉しいよね。

 僕は今回、社長令嬢のコントと雷様のコントをやった。社長令嬢のほうは、加藤(茶)が社長で仲本(工事)がその奥さん。加藤が若手社員の劇団ひとりくんに「よかったらうちの娘に会ってくれないか」と言って、自宅に招待する。結婚させようとしてるわけだね。

 ひとりくんが来てみたら、広い庭がある大邸宅で、山のようにごちそうが用意されてる。加藤が「おーい」と呼びかけてふすまが開くと、ピンクのドレスを身にまとって椅子に座っている僕が登場という流れ。満面の笑みで、手にはフライドチキンと肉まんを持ってる。清楚なお嬢様をイメージしていた若手社員は、まあビックリだよね。

 花婿候補の社員を指差して、僕はニコニコしながら「タイプ~」って叫ぶ。そこからは、劇団ひとりくんの見せ場だよね。たちまちすごい形相になって、パニック状態で部屋を飛び出し、庭の灯篭をなぎ倒してレンガ塀も突き破って逃げていった。いいおびえっぷりだったな。最後に加藤が、納得した口調で「だろうな」って言ったのもよかったよね。

 あのピンクのドレスは、誰も気づいてないかもしれないけど、いちおう「昔のアイドル風」をイメージしてたんだよ。お化粧も、けっこう時間がかかったな。最初は口紅はナシという話だったんだけど、やるんだったら徹底しないと面白くないじゃない。僕のほうからメイクさんに「口紅も引いたほうがいいんじゃい」って提案した。

 放送を見て「やっぱりコントはいいな」と思ったな。セットや小道具にもきちんと手間と予算をかけて、みんながそれぞれの役をきっちり演じることで、ひとつの世界が出来上がってそこから笑いが生まれる。二人でやる漫才も面白いけど、また別の笑いなんだよね。劇団ひとりくんも「ここまでのセット、今はないですよ」って驚いてた。

 きっちりしたコントは、出演者だけではできない。たとえばレンガの塀だって、勢いよく突っ込んでちょうどいい具合に崩れるようにするのは、簡単じゃないんだよね。演出する人も裏方さんも、すべてのスタッフが「こうすれば面白くなる」というイメージを持っていて、それぞれのノウハウを最大限につぎ込む。もちろん、万が一にも出演者にケガがあっちゃいけない。ドリフが長いあいだやってきたことが、令和の今にこうしてつながったのかなと思うと、ちょっと誇らしいよね。

 雷様のコントも、楽しかったな。前半ではダチョウ倶楽部の肥後克広くんが、大きな下唇をつけて、(いかりや)長さんと同じ黒い雷様になってくれた。声の調子もセリフも、かなり練習したんだと思う。ちゃんと長さんになってた。後半に出てくれたSnow Manの3人も、ダンスのキレが抜群だったね。若くて人気がある人たちが雷様になってくれるのは、すごく嬉しい。雷様のキャラが次の時代に残っていくもんね。


 男が逃げていく社長令嬢の役にせよ、ボヤいている雷様にせよ、僕は「今の自分にしかできない役割」を果たせたかなと、こっそり自負してる。年齢ごとにやれることがあって、与えられた役割をきっちり果たしていきたい。できれば期待以上のものを出したいと常に思っているけど、それはまあ見る人やスタッフが判断することだからね。

 放送されるまで、自分の出番以外はどうなっているかわからなかった。番組を見て感動したのは、出演してくれた若い人たちの“熱量”の高さ。みんなすごく気合い入れて、ドリフの世界を作り上げようとしてくれてた。ありがたいよね。ニコニコ生放送でいっしょに番組をやってる百田夏菜子ちゃんも、水の中に突き落とされてびしょ濡れになってた。あれができるのはすごいよ。体を張れる人は、間違いなくさらに成長します。

 加藤が久々にやった「ちょっとだけよ」も、やっぱり面白かったな。あれは、ストリップの真似がメインじゃない。「全員集合」のときも、たとえば宴会で茶碗を叩くリズムから、いきなりトランペットの音に代わって「タブー(TABU)」のメロディが始まる。どうつなげるかにみんな知恵を絞っていたし、その意表を突いた転換が面白いんだよね。

「ちょっとだけよ」にせよ仲本の「はい、ポーズ」にせよ、もちろんコントも、ドリフターズの特徴は「リズムがポイント」ってところじゃないかな。基本は音楽バンドだからだろうね。「ドリフに大挑戦」を見て、あらためて思っちゃった。5人いたからできたこともたくさんある。そのへんはまた次回、詳しくお話しします。

ブーさんのひと言

「『ドリフに大挑戦スペシャル』第2弾に出演してくれた若い人たちは、みんなすごかったね。僕も「今の自分にしかできない役割」を果たしたと思っています」

高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」が放送中。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

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