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親子で満足度が高いサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)<後編>

ココファン柿生

 高齢者向けの住まいの選択肢として段々と認知度が高まってきているサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)。「日常生活は問題ないが一人暮らしなので夜間に何かあった場合が不安」「入居一時金がかからないのなら子どもの住まいの近くに住み替えをしたい」といった高齢者のニーズに応える存在として、年々その数を増やしている。

 前編(https://kaigo-postseven.com/11292)では、「ココファン柿生」のスタッフが入居者の変化に気がつくためにどのようなことをしているか、学研ココファンが会社として今後どのような方向に進んでいくのかを紹介した。

 後編では、入居者とその家族に聞いた「ココファン柿生」を選んだ理由や実際の住心地、介護が必要になっても住み続けられる環境についてお伝えする。

介護が必要になっても住み続けるために

「介護が必要になっても住み続けられるのか」ということが、元気なうちにサ高住に移り住む人の心配事の1つ。

「ココファン柿生」は、更新のない終身賃貸借契約ができる高齢者住宅として川崎市の認可を受けている。学研ココファンが運営する訪問介護やデイサービスを提供する介護サービス事業所が併設されており、介助が必要になっても入浴できる個浴室があるなど、ハード面も整えられているので安心だ。


 日々の食事は、管理栄養士監修の栄養バランスの整った食事を1食単位で頼むことができる仕組みになっている。また、ミニキッチンのついているタイプの居室では自炊もできるので、自身の生活に合わせた食生活を送れるようになっている。

入居者とその家族の本音に迫る

 身の回りにサ高住に住んでいる知り合いや家族がいなければ、入居者の気持ちや実感を聞くことはなかなかできない。今回は「ココファン柿生」に入居している80代の女性とその娘さんに話を聞くことができた。高齢者向けの住まい、施設を探す人の事情はそれぞれだが、実際の声として参考になることがあるかもしれない。

 話をしてくれたIさんは福岡で夫と2人で暮らしていたが、腰を悪くするなどして生活の不安が出てきたため、都内の長男のところに夫婦で移り住んできたそうだ。そして、90歳を過ぎた夫が亡くなったこともきっかけとなり、「ココファン柿生」で暮らすことになったのだという。読書が趣味のIさんは、自分の生活ペースを守りながら、レクリエーションなどは自分で選んで楽しみたいという希望を持っている。

「スタッフの方々がとてもよくしてくださるので快適に過ごしています。サ高住がどういうところなのか、福岡の友人にも聞かれるので、お手紙とパンフレットを送って説明しています」(Iさん)

 娘さんはIさんのところによく通ってきているという。母親が「ココファン柿生」に入居したことで、家族と程良い距離感、離れて暮らしながらも安心感が生まれたと語る。

「母は人に手伝ってもらいながら自立して暮らしたいという希望を持っていたので、サ高住が合うんじゃないかと元々思っていました。有料老人ホームよりも自由に、自分のペースで好きにできるところの方がいいと思って近くで探していました。しばらく家にいてもいいと思っていましたが、家族に気を使いながら同居するよりも、好きな時に読書をし、誰かに気兼ねすることなく過ごせるのがいいと思っています。同居する家族に遠慮することなく、親戚や友人と電話で話すことを楽しんでいるようです。こちらに入ってから、どんどん元気になっていくので、入居できて本当に良かったと思っています」(Iさんの娘さん)

 サ高住に入ることで、近くに住む家族とコミュニケーションを取りながら、自分のペースで生活を楽しんでいるIさん。行事ごとやレクリエーションを楽しみたいというよりは、静かに自分の時間を大切にしたいという思いが伝わってきた。自分の意思で体操などには参加しており、レクリエーションの参加が自由に選べるというサ高住の良いところを存分に享受しているようだ。

 一方、そうしたIさんの意向を尊重しつつ、毎日のように訪れては身の回りの世話をしたり、会話を楽しんでいる娘さん。「ココファン柿生」に移り住んでからの心身の状態の向上にとにかく驚いていたことが印象的だった。

 いかがだっただろうか。Iさんのように、家族と離れて住んでいた高齢者が子どもの住まいの近くのサ高住や有料老人ホームに移り住む事例は多いそうだ。サ高住は自由に訪ねることができるので、近所に住んでいる感覚で、程良い距離感を保てると感じた。

 親を呼び寄せて一緒に住んでみたものの、お互いに不満が生まれて生活がうまくいかない場合でも、離れて住むことによってお互いに余裕が生まれ、思いやりが復活したという事例も聞く。自分の生活に合ったサ高住を見つけられると、Iさんのように心身の状態にもプラスになることも期待できそうだ。

撮影/津野貴生

【データ】
施設名:ココファン柿生
公式WEBサイト:https://www.cocofump.co.jp/facilities/detail/kakio/
所在地:神奈川県川崎市麻生区上麻生7-2-32
最寄駅:小田急小田原線「柿生駅」より徒歩11分
類型:サービス付き高齢者向け住宅
運営主体:株式会社学研ココファン
敷地面積:1439.89平方メートル
延床面積:2249.46平方メートル
室数:50室
入居要件:満60歳以上
構造:鉄骨造地上4階建
開設年月日: 2018年8月1日
料金:Aタイプ(18平方メートル)の場合
11万5000円~12万9000円(賃料、共益費、生活支援サービス費)+賃料の2カ月分の敷金+総合保険2年一括として1万6391円~
賃料:6万2000円~7万6000円
共益費:2万600円(Aタイプの場合は水道光熱費も含まれる)
生活支援サービス費:3万2400円(税込)

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

→このシリーズのその他の記事を読む

●介護業界に新風を!若い力を活かした運営が魅力のサ高住

●多世代交流ができる 複合開発の街に生まれた老人ホーム<前編>

●「健康」「食事」「運動」サービスに注力 複合開発の街に生まれた介護付有料老人ホーム<後編>

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この記事へのみんなのコメント

  • 次郎

    いつか自分も…子供に迷惑のかからない老後を考えないとな。

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