公開日:2022.11.06 / 更新日:2022.11.07   

露天風呂・温泉の危険な入浴法「42℃以上の熱いお湯、20分以上の長湯」【医師解説】

 日本人は世界トップレベルのお風呂好きだ。日本を世界トップレベルの長寿大国にしているのも、もしかしたら毎日のお風呂かもしれない。だが、毎日入るからこそ、自宅や旅先での入浴次第であなたの寿命は長くも、短くもなる。本当に正しい、温泉とお風呂の入り方を専門家に聞いた。

正しい入浴法を守れば健康寿命を延ばすことが可能になる
正しい入浴で心と身体をリフレッシュ!(写真/写真AC)

冬の露天風呂は命の危険も

 健康長寿を叶えてくれる温泉だが、選び方はもちろん、入り方も重要だ。一歩間違えると、寿命を延ばすどころか、命を落とす危険性さえある。

 特に露天風呂などでは、これから寒くなってくると湯温と外気温の差が大きくなり、ヒートショックのリスクが上がる。東京都市大学人間科学部教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんが言う。

「体が冷えた状態で急に熱いお湯につかったり、温まった体で冷たい外気に触れたり、急激な温度差があると血管が急激に拡張または収縮して、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしかねません。高齢者や持病がある人は特にリスクが高いので、冬の間は露天風呂は避けた方が、リスクを避けやすいでしょう。ただし、温泉や銭湯などでは人の目があるので、万が一ヒートショックを起こしたとしても、対処が遅れる可能性は低いでしょう」

 発汗によって体の水分が失われることで血液がドロドロになるのも、血管にダメージを与える一因になる。一説では、1回の入浴で800mlもの水分が失われるとも。医学博士で温泉入浴指導員の一石英一郎さんは入浴前の注意点をこう話す。

「入浴前は必ず、コップ12杯の水分補給を忘れないでほしい。そして、お湯の温度に体を慣れさせるため、かけ湯は必ず行ってください。手先や足先など、心臓に遠い部分をしっかり温めてから湯船につかることが重要です」(一石さん・以下同)

 自宅なら、脱衣所や浴室の温度を20℃以上にしておくことで、ヒートショックの予防になる。浴室暖房がない場合は、ふたを開けたままお湯張りをしたり、入浴時に風呂のふたを完全に外すことで、蒸気によって浴室全体を温めることができる。

「自宅の風呂なら、湯温は3840℃くらいが理想です。温度を上げなくても、入浴剤を入れることで、温泉とそん色がないほどまで、温熱効果を高めることができます。より温泉に近づくのは『無機塩類系』と『炭酸系』。温熱効果を高めて血流を改善し、疲労回復や保温効果が高まります」

命を守る入浴は「40℃10分間」

 温泉旅行に来ると、つい長湯したくなるが、熱いお湯に長時間つかるのはNG。温泉は自宅の風呂よりも熱いことも多いため、入浴時間には特に気をつけるべきだ。

「基本的に、20分以上はお湯につからないようにしてください。最初は310分間、慣れてきたら1520分ほどと、少しずつ時間を延ばしていくのがいい。温泉地に数日間滞在するなら、初日は温泉につかるのは12回までにして、翌日以降も23回までを目安にしてください」

 42℃以上の熱いお湯は特に血管へのダメージが大きい。高齢になると熱いお湯を好む人も多いが、これは皮膚感覚が鈍くなっていて、熱さを感じられていないだけ。熱いお湯をがまんできても、体へのダメージがあることは変わらないので、注意してほしい。

「温熱作用は、40℃ほどのお湯に10分間ほど、肩までつかるのがベスト。体温が0.5℃ほど上がり、血流も充分に改善します」(早坂さん)

 入浴後や、入浴中のアルコールも要注意。血管へのダメージになるだけでなく、体が温まって血行が促進されている状態でお酒を飲むと、通常時よりもアルコールが回るスピードが格段に速くなるからだ。

「お酒を飲むなら、せめて入浴後30分以上経ってから。また、激しい運動をして汗をかいた直後の入浴や、入浴直後に卓球などのスポーツをするのも避けてください」(一石さん)

 できれば食事も、入浴の直前・直後は控えた方がいい。空腹時は発汗による脱水や、血管拡張による低血糖が起こりやすいからだ。一方、食後は本来、消化のために胃腸の血流が多くなるべきだが、体が温まることで体表面の血流が増え、消化不良を起こしかねない。

 一年でいちばん、お風呂が気持ちいい時期が来る。「湯に入(い)りて湯に入(い)らざれ」を心掛けて楽しもう。

温泉でもお風呂でも高温で長く入るのは危険だ。
旅行ではついつい長湯になりがち。危険を避けて銭湯やお風呂で健康になろう(写真/pixta)

温泉の効能・入浴法

■温泉は心臓病予防・脳卒中予防・要介護リスク減・健康寿命を延ばす

血流改善/疲労回復/リラックス/代謝アップ/睡眠の質アップ/痛みの軽減/むくみの改善/活動性アップ/一時的な血圧正常化

■寿命が延びる入浴法

40℃ほどのお湯に10分程度、肩までつかる・かけ湯をしてから入る・入浴前後にコップ12杯の水かお茶を飲む・自宅の風呂は、浴室と脱衣所を20℃ほどに暖め、入浴剤を入れる

■血管などにダメージリスクが高まる危険な入浴法

42℃以上の熱いお湯、20分以上の長湯・体が冷えたまま入る・入浴前後にお酒を飲む・食事や運動の直前・直後に入る・厳寒時の露天風呂

教えてくれた人

早坂信哉さん/東京都市大学人間科学部教授・温泉療法専門医、一石英一郎さん/医学博士・温泉入浴指導員

女性セブン2022113日号
https://josei7.com/

●白川由美さんの死因もしかして…高齢者の長湯は死を招く!?お風呂で熱中症に

●野村克也さんも…お風呂が命取りになった著名人

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