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リハビリや食事で歩けるように!「歩く」をテーマにした介護付有料老人ホーム<前編>

プレザングラン江東亀戸

「自分の足で好きな所に自由に行きたい」。高齢になると段々と難しくなってしまう場合も多い。

 足腰が弱ってくると、杖や歩行器、車椅子が必要になり、ベッドにいる時間が長くなってしまいがち。そして、転倒のリスクを考えて外出を控えることで、さらに足腰が弱ってしまう。弱ってくると足がうまく上がらずに段差でつまずいてしまい、結果として転倒の恐れも…。

 歩いて出かけたい…。こういった願いに真正面から取り組んでいるのが介護付有料老人ホーム「プレザングラン江東亀戸」だ。

「プレザングラン江東亀戸」は“歩くからはじまるセルフメディケーション”をテーマとして掲げている。この意味は「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」ということだ。

 歩くことをコンセプトの基礎に置いた理由について、運営会社の株式会社ケア21の佐藤伸也さんに聞いた。

 佐藤さんは「プレザングラン江東亀戸」の立ち上げを行い、開設から今年の8月まで施設長を務めていた。現在は東日本介護事業部東日本介護サービス課課長として会社全体の介護サービスをさらに充実させる役割を果たしている。

 ケア21は大阪に本社を置き、介護付有料老人ホームの運営や在宅介護事業、デイサービス、小規模多機能型居宅介護など、総合福祉企業として介護に取り組んでいる。佐藤さんによると、有料老人ホームのマニュアルは共通で存在するが、自由と自立を大切にする社風から、個々の施設長の考えでそれぞれの施設のコンセプトが決められているのだという。

「行動の範囲が年齢と共に狭まってきてしまいますが、おいしいものを食べることも、オシャレをすることも、実際にレストランに足を運んだり、デパートで服を選んだりしたいはずなんです。移動できる距離を延ばして、実体験として喜びを味わうことが大切だと思っています。そこで歩くことをコンセプトにしました」(佐藤伸也さん 以下「」は佐藤さん)

“歩くからはじまるセルフメディケーション”のために、リハビリ(機能訓練)、医療、食事、QOL(生活の質)からアプローチをしてくれる。リハビリでは、理学療法士が運動能力の評価をし、機能訓練のメニューを作成。また、食事では歩くことにプラスになる献立が栄養士によって考案されている。1550キロカロリー・カルシウム620ミリグラムの「ベーシック食」があり、そこに100キロカロリー、カルシウム80ミリグラムを加えた食事を提供しているという。

「理学療法士のリハビリ、往診の医師による医療の視点、それに加えて食事・栄養の側面からも歩くことをサポートしています。歩けるようになるとエネルギーも必要になってきます。カロリーをアップするためにオリーブオイルを加えたり、お豆腐に小海老をかけるなどしてカルシウムを強化しています」

歩くために3つのステージに分けてきめ細やかに対応

「『歩く』というコンセプトの芯を意識して、施設内の施策を行っています。廊下は広く、一直線になっていて、手すりも端までつけて歩きやすくしています。また、水分補給のために館内各階に準備している給茶器は、緑茶、ほうじ茶、水、コーヒー、スポーツドリンクなど10種類から選べます。全てのことが歩くことにつながるようにしています」

 転倒などの事故を恐れて他の階への移動を制限し、暗証番号を押さないとエレベーターを操作できないようになっている施設が多いが、こちらは入居者が自由にエレベーターに乗って移動できるようになっている。

「館内、敷地内も存分に歩いていただきたいと思っています。屋上には庭園がありますし、1階にも庭があるので、そこを歩きたいという方の意志を大事にしたいですね。ご家族にも転倒などのリスクについてはきちんと説明をしてご理解をいただいて、『行動を制限されるよりは歩いてほしい』という気持ちを共有しています」

 歩くというコンセプトに取り組むために、入居者をそれぞれの状態でステージ1、ステージ2、ステージ3に分けている。

 ステージ1は自立歩行・杖歩行、ステージ2は車椅子・歩行器、ステージ3は寝たままの状態が長い方・座位保持の状態で、目標・目的をそれぞれ定め、機能訓練、生活リハビリ、食事などの施策に落とし込んでいく。

「寝たままの状態が長い方をいきなり歩けるようにするためにどうすればいいのかと考えるのではなく、段階を踏んで、まずは車椅子で移動できるようにするためには、どういう筋力をつければいいのかを考えます。そして、車椅子の方が杖を使って歩けるようになるためにはどのようなことが有効なのか、逆算するような形でプログラムします。プログラムを作るのは、巡回で月に2回来るリハビリのプロフェッショナルである理学療法士です」

 例えば、ステージ2の車椅子・歩行器の人の目標は歩けるようになることだ。その目的は外出できるようになることと、いつまでも元気で過ごすことだ。そのために機能訓練で個別のプログラムに取り組み、カルシウムをプラスした食事を摂る。

 こちらには病院で行っていたリハビリの努力を無駄にしたくないという動機で入居する人も多いという。それもそのはず、歩くことをコンセプトに定めて開設準備をする際に、病院で行われているNST(Nutrition Support Team)という取り組みも参考にしているのだ。

 NSTとは入院患者に最良の栄養療法を提供するために多職種で構成する医療チームのことだ。また佐藤さんは、巡回体制の理学療法士を常勤にしていきたいとの目標を話してくれた。2017年9月に開設されたばかりだが、歩きたいという願いを持つ家族にとっては今後頼れる存在になっていきそうだ。

撮影/津野貴生

【データ】
施設名:プレザングラン江東亀戸
公式WEBサイト:https://www.tanoshii-ie.jp/single008/
所在地
:東京都江東区亀戸9-3-13
最寄駅: 都営新宿線「東大島」駅 徒歩11分
都営新宿線「大島」駅 徒歩14分
東武亀戸線「亀戸水神」駅 徒歩13分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社ケア21
敷地面積:2941.45平方メートル
延床面積:3868.24平方メートル
室数:98室
入居要件:入居時要支援・要介護
構造: 鉄骨造5階建
開設年月日: 2017年9月1日
料金:料金:入居一時金0円~960万円+月額利用料28万2000円~13万2000円+敷金18万3000円
月額利用料内訳:部屋代1ヶ月分、管理費4万5000円(30日分)、食事代5万4000円(税抜・30日分)

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

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