公開日:2016.08.04 / 更新日:2020.06.18 |サービス   

初めての介護|ケアマネジャーってどのような存在?【プロが教える在宅介護のヒント】

 家庭で介護サービスを受けるとき、まず相談をすることになるのが介護支援専門員。一般的には「ケアマネジャー」とか、「ケアマネ」などと呼ばれる。

 そもそもケアマネジャーとは、どのような存在なのか、前回に引き続き、株式会社モテギ新宿ケアセンター長、モテギケアプランニング新宿管理者の森岡真也さんに聞いた。

→初めての介護|介護はいつから?タイミングを見逃さない7つのチェックポイント【プロが教える在宅介護のヒント】

ケアマネジャーと相談する人イラスト
在宅介護では、かかせない存在「ケアマネジャー」って?

介護ライフのプランナー「ケアマネジャー」って?

 高齢者の場合、持病の悪化や転倒によるケガなどで少しの期間、入院しただけでも、退院後には、以前と同じ生活を続けるのが難しくなることが少なくありません。また、特に病気やケガがなくても、年齢を重ねるにつれて自立した生活が難しくなり、介護が必要になることもあります。

 そのような時に、介護度が重症化しないよう早期発見・対応が必要ですが、生活上の小さな変化や問題をご本人やご家族だけでは見つけにくいものです。

 そこで、高齢者が自立した生活を続けるための介護を提供する制度として介護保険があります。介護保険を利用するには、まず、要介護認定を受けることが必要です。

→親の介護が気になるとき知っておきたいこと|介護の始まり、慌てず準備をするために

→「要介護認定」のコツ|ケアマネは絶対教えてくれない【裏ワザ】

 要介護1~5のいずれかと認定されると、介護保険による「介護給付」として介護サービスが利用できるようになり、そこから地域のケアマネジャーの関わりが始まります(※注1)。

介護サービスを利用する人・家族の伴走者がケアマネジャー

 ケアマネジャーは、介護を受ける人がなるべく健やかに、自立した生活を続けられるよう、現在の生活上の困りごとや希望を聞いて、課題をピックアップします。そして、その課題を解決するために適切なケアサービスを地域の医療・介護サービスや福祉サービス、民間企業の事業、ボランティア活動などの中から選び、ケアプランにまとめます(※注2)。

 その上で、介護を受ける人やご家族の同意のもとサービスを導入します。サービスが始まった後も経過を見守り、課題やケアプランを見直します。介護を卒業されるまで、介護サービスを利用する人やご家族に伴走するのがケアマネジャーの役割です。

→ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割と選び方|ケアマネをどう選ぶかで介護は変わる

生活上の希望を叶えるプランづくりもコーディネート

 ケアマネジャーが提案するサービスは、医療・介護の専門職の派遣やケアサービスに限りません。介護を受ける人の生活を活性化する、孤立を防ぐといった課題に対応して、生活を支援するさまざまなサービスをコーディネートするのもケアマネジャーの役割です。 

車椅子の女性と介護士:イラスト

介護者が「旅行したい」という希望をもっている場合

 例えば、介護を受ける人が「旅をしたい」という希望をもっている場合、まず、旅行が可能な健康づくりを課題として、必要に応じて「理学療法士の訪問リハビリテーション」や「管理栄養士の訪問栄養指導」などを盛り込んだプランを立てます。

 気力・体力が養えたら、改めて旅行の実現を課題としてプランを更新します。その時はバリアフリー旅行が提案できる旅行業者や、旅に必要な買い物に同行してくれる近所のボランティアさんなども介護を受ける人の希望を実現する生活支援として、提案に加えることもあります。

介護の知識がなくても大丈夫。困ったことは、ケアマネジャーに相談を

 ケアマネジャーは介護を受ける人の代弁者となり、介護をするご家族の負担を減らし、介護を社会全体で担っていくように働きますが、介護保険制度については知らない人が多く、ケアマネジャーなど介護関係の専門職が何を担当する人かも知られていません。介護が必要になって、初めて知る人が多いようです。

 介護が必要になるまで、介護保険を利用することなど考えない人が多いのはしょうがないことかもしれません。病院へ行く場合でも、不調を感じるまではどこの病院へ行こうなどとは考えないもので、具合が悪くなってから「何の病気だろう」「どこの病院へ行こうか」と調べる人が多いでしょう。それと同じです。

 介護が始まったらあまり心配せず、身構えずに、まず、ケアマネジャーに生活上の困りごとを話して、改善できる方法をケアプランとして提案してもらいましょう。提案を受け入れるか、または見直してもらうかなど、納得するまで相談ができ、プライバシーも守られます。ケアプラン作成の費用は全額が介護保険給付になるので、自己負担はありません。

 ケアマネジャーは地域にある多くの介護事業所や専門職とチームケアをした経験や、地域の職能団体などでの交流で、それぞれの事業所や専門職の特徴や強みを理解することに努めています。介護を利用する人やご家族の希望にフィットするサービスをご提案できると思います。

※注1 要介護認定の申請を「地域のケアマネジャー」に頼むこともでき、費用は介護保険給付になるので自己負担はない。ここでいう「地域のケアマネジャー」とは都道府県知事の指定を受けた居宅介護支援事業所に所属し、都道府県知事が行う試験や研修をクリアし、都道府県知事への登録を行っている有資格者。

※注2 ケアプランは正式には「居宅サービス計画」という。要介護認定の結果が出た後、ケアプランは自分で作成することも可能。また、認定の結果が要支援1、2の場合は地域包括支援センターにケアプラン作成を依頼できる。

教えてくれた人

森岡真也さん

森岡真也/株式会社モテギ新宿ケアセンター長、モテギケアプランニング新宿管理者。主任介護支援専門員(ケアマネジャー)・社会福祉士・介護福祉士。大学では文化人類学を専攻していたが、介護のアルバイトと家族介護をきっかけに現職を志した。介護保険利用者の相談援助の傍ら、区内の介護専門職のネットワークづくり、市民を交えた「食支援」活動に奔走する。「高齢になると十分な食事がとれず、栄養障害を起こす人が多いこと、食支援が必要なことを知ってもらいたい」

取材・文/下平貴子

●親の介護認定、申請は「早く」。判定日は「立ち会う」~介護の始まり

●介護が始まりそう…まず何をしたらいい?|700人以上看取った看護師がアドバイス

●シニアの自宅リフォーム術チェックポイント|住宅改修は定年前にやるべき

コメントが付けられるようになりました▼

この記事が役に立ったらシェアしよう

  •  

▶コメント

※編集部で不適切と判断されたコメントは削除いたします。
※寄せられたコメントは、当サイト内の記事中で掲載する可能性がございます。予めご了承ください。