公開日:2019.10.27 / 更新日:2019.11.17   

つちやかおり認知症の母と向き合う葛藤と『認知症ケア指導管理士』資格取得を告白 

 タレントのつちやかおりさんは、2019年の8月、『認知症ケア指導管理士』の資格を取得した。今年88歳になるつちやさんの母玲子さんは認知症を患っており、現在要介護3の状態で、関東近県の認知症グループホームで生活をしている。

つちやかおり
認知症を患う母の介護について語るつちやかおりさん

母の「延命治療」と向き合って出した答え

 つちやさんは定期的にホームに通い、玲子さんの身の回りの世話をする。今年で5年目になるホーム通いはつちやさんの生活と意識を変えた。

 今年7月3日のブログで、つちやさんは『母と延命治療』とのタイトルを立て、次のような書き込みをした。

≪「延命治療」って 何だろう

母が 食べ物を受け付けなくなっている

このままの状態が続いて
何かあったときに どうするか…
ホームから 話がしたいと 連絡がきた。

とうとう そんな?
決断をしなければならないときがきた?

胸を締め付けられる思いで
ホームに向かった。≫

(つちやかおりオフィシャルブログ「かおり的スタイル」by Ameba. より抜粋)

 食欲が極端に低下し、口から食べられなくなった場合、胃ろうなどの治療を行うかどうか。娘であるつちやさんの気持ちをホーム側は問うてきたのだった。
(詳細はNEWポストセブン「つちやかおり 認知症の母の「延命治療」で出した結論」)

 幸いその後、玲子さんの食欲は回復し、今は元気に生活している。しかしやはりホームの職員が口にした『延命治療』という言葉はつちやさんを動揺させた。

 現在の玲子さんは娘の顔もわかなくなっている。ただ、ごく穏やかな人で、娘が話しかけると、優しげな目でうんうんと相槌を打ってくれるという。

 認知症の母と今後の生活。いつか来るかもしれない延命についての決断。

 つちやさんは身の回りのそうした様々な問題に向き合うため、今年8月、『認知症ケア指導管理士』の試験に挑戦した。

『認知症ケア指導管理士』とは?

「この資格は認知症の方、そのご家族、さらに施設などでケアをしてくださる方など、認知症に関わる様々な人たちへの指導管理ができるものです。資格取得に向けて勉強することで、私自身も認知症に対する知識を深めることができました」(つちやさん、以下同)

 認知症ケア指導管理士は、介護や医療の現場で認知症のケアに携わる人材の専門性を向上する目的で創設された資格だ。

 認知症という病気や認知症ケアを学ぶことで、患者さんご本人だけでなく、家族に対しても人の尊厳や心の安定を提供することができる。2010年に創設され、現在全国に1万7000人以上の資格保有者が活躍している。

「この資格には初級と上級があって、私が取得したのは初級の方です。専用のテキストを購入して2か月間、みっちり勉強しました。テキストの中に模擬試験みたいなのがあるんですけど、それをやってみたときは散々でしたけどね(笑い)」

 つちやさんのように、大切な家族が認知症を患い、専門の施設に入所なさっている方は多い。事情は様々だろうが、何かしらの問題を抱える方もやはり多いだろう。そんな場合でも病気に対する知識があれば、対処できることは少なくない。

家族、スタッフ、ホームの三方向の連携が深まる

「私がこの資格を取ろうと思ったのは、もちろん母の姿を見ていたことと、グループホームのスタッフの方々が親身にケアをしてくださる姿を見てきたからです。私は家族だから、母親のことはなんとなくわかるのですが、日々ケアをしてくれているスタッフの方が直面している問題とか、ホームそのものの問題まではわかりません。

 でも、病気やケアに対する知識さえあれば家族、スタッフ、ホーム本体の三方向の連携をもっと深めることができるのではないだろうか、ってずっと思っていたんです。
 そうした目線であれこれ調べているときにこの『認知症ケア管理士』のことを知りました。その内容がまさに、患者本人とその家族、ケアスタッフ、3つを横断的に見ることができるものだったわけです」

 資格取得のために勉強し、知識を深めたつちやさんはその意義についてこう語る。

「母のことはそれなりにわかるつもりでいたのですが、認知症という病気について改めて知ることでさらに母のことを知ることができるようになりました。また、介護保険制度の中身を理解することができたおかげで、その限界もわかりました。ホームの方と話をするときでも、ケアについても保険制度についても、一歩深い議論ができるようになったと感じています」

 つちやさんは、同じような悩みを持つ方々に対し少しでも力になりたいと、経験を語る講演会なども意欲的に行っている。

「以前行ったある講演会には介護職員の方や施設入所を検討しているご家族などがたくさんきてくれていて。そこでは私の経験や思いなどをお話ししたのですが、涙を流して聞いてくださる方もいたんです。 みなさん表には出さないけど、いろんな苦労を抱えていらっしゃるんだろうなと感じました。 『認知症ケア指導管理士』の資格を得た今は具体的な知識も含め、さらに心に届くお話ができるのではないかと思っています」

 母の病気を乗り越え、新たな世界に挑戦するつちやさんの姿勢には学ぶべきところがたくさんありそうだ。

【データ】

認知症ケア指導管理士:認知症ケア等に関する知識を問う認定試験において、基準点以上を獲得した人に対し、一般社団法人「総合ケア推進協議会」および「職業技能振興会」が認定する資格。 
URL:http://tc-pc.org/shiken_ninchi.html

撮影・取材・文/末並俊司

『週刊ポスト』を中心に活動する介護ジャーナリスト。2015年に母、16年に父が要介護状態となり、姉夫婦と協力して両親を自宅にて介護。また平行して16年後半に介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を修了。その後17年に母、18年に父を自宅にて看取る。現在は東京都板橋区にあるグループホームにて月に2回のボランティア活動を行っている。 

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