健康

今こそ食べるべき「最強の魚」ランキング|食と健康の専門家20人が本気で回答!

 太陽がギラギラと照りつける中を、マスクをつけて歩く──例年ならばありえない光景が現実となったいま、恐ろしいのは夏バテと熱中症。食べて防ぐための最強食は“魚”だという。おいしく、効率的に食べるための秘技を伝授する。

「魚が健康にいい」研究結果

「秋さばは嫁に食わすな」──秋に捕れたさばは脂が乗って格別においしいから、決して嫁には食べさせまい…そんなことわざがあるほど、海に囲まれた日本の食卓は古来から魚介類なくしては成り立たない。そして8月上旬には、われわれにとって朗報ともいえる研究結果が発表された。

 富山大学の研究グループによれば、妊娠中に魚の摂取量が多いと、1才までの子供の発達の遅れが少ないというのだ。また、妊娠中や出産後に魚を多く食べている人は「うつ状態」になりにくいという研究結果もある。

 しかし漠然と「魚は健康にいい」とわかっていても、実際に、どんな魚をどう食べればいいのか。今回は、猛暑による夏バテや、依然として猛威をふるう新型コロナウイルスへの感染も心配なこの時期にこそ食べるべき「最強の魚(貝・海藻類含む)」を徹底取材した。

夏こそ食べるべき最強の魚ランキング<1~12位>

 以下、20人の「食と健康の専門家」に「いま食べるべき魚とその理由」を挙げてもらい、1位を3点、2位を2点、3位を1点として集計。3点以上を獲得した魚介類・海藻を掲載した。

専門家のみなさん

磯村優貴恵さん(管理栄養士)、小倉朋子さん(トータルフードプロデューサー)、片村優美さん(管理栄養士)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、全国漁業協同組合連合会、黒田愛美さん(医師/アスリート)、工藤孝文さん(医師)、佐々木欧さん(医師)、澤山希美さん(魚食の医力研究所/管理栄養士)、清水加奈子さん(管理栄養士)、柴亜伊子さん(皮膚科医)、左藤桂子さん(内科医)、白澤卓二さん(医師)、菅原道仁さん(菅原脳神経外科クリニック理事長)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、飛田砂織さん(クリニックシュアー銀座院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、藤岡智子さん(フードライター/栄養士)、松村圭子さん(医師)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)

<順位/食品/点数/ポイント>

12位:しじみ/3点

「鉄やカルシウムなど、特に女性に不足しやすい栄養素が多く含まれており、皮膚や髪、爪などの再生にかかわるビタミンB2も含有。健康と美容の両方にいい」(金丸さん)

12位:めかぶ/3点

「めかぶ特有のヌルヌル成分はフコイダンと呼ばれるもの。免疫細胞を活性化させ、アレルギーやウイルスなどを抑制してくれる」(金丸さん)

10位:さんま/4点

「EPAが豊富で、内臓には鉄分も多い。汗と一緒に排出される鉄分補給のためにも、この時期は特に意識して食べてほしい。すだちなど、ビタミンCの豊富な柑橘類をかけて食べると吸収がよくなります」(金丸さん)

10位:はも/4点

「豊富なビタミンやリン、EPA、DHAに加えてカルシウムもたっぷり。旬の夏こそ味わってほしい魚の1つ」(全国漁業協同組合連合会)

8位:あゆ/5点

「へム鉄の含有量がほかの魚に比べてダントツに多い。特に内臓にたっぷり入っており、焼いて残さず食べてほしい」(柴さん)、「丸ごと食べられるため栄養価が極めて高い。ビタミンから葉酸まで必要な栄養素がほとんど入っている」(田中さん)

8位:あじ/5点

「DHAやEPAが豊富で血液がサラサラに。ただし熱に弱いため、加熱しないで食べるお刺身がベスト。しょうがを加えると免疫力がさらにアップ」(松村さん)、「安価で手に入りやすい旬の魚。さばやまぐろに比べて小ぶりなため、海洋汚染の影響が少ないのもいい」(左藤さん)

7位:たこ/7点

「豊富に含有するタウリンや亜鉛は、疲労回復から血圧やコレステロール値の低下、血行促進、肝機能の回復まで幅広く効果があり、夏バテで悩む人は必食」(全国漁業協同組合連合会)、「タウリンには細胞内のミトコンドリアを増やし、体力や持久力の向上にも役立つ効果も」(金丸さん)

6位:うなぎ/8点

「夏バテに最も効果的なうえ、美肌づくりにも有効。疲労回復効果のあるビタミンB1や粘膜を健やかに保ち、肌の新陳代謝をうながすビタミンAが豊富」(飛田さん)、「血流をよくする働きのあるビタミンEを含有。夏は冷房で冷えている人も多いが、血行をよくして体を温めることができる」(金丸さん)

4位:鮭/10点

「可食部の4分の1以上がたんぱく質。価格も安く手に入りやすいため、いろいろアレンジして食べてほしい」(工藤さん)、「含有するアスタキサンチンは強い抗酸化作用があり、肌のシミが減ったという研究結果も」(白澤さん)、「選ぶ際はなるべく濃い赤のものを。赤ければ赤いほど抗酸化作用のあるアスタキサンチンが豊富」(中沢さん)

4位:まぐろ/10点

「たんぱく質やEPA、DHAに加え、ビタミンB6や鉄分も豊富。その中でもビタミンB6は、皮膚や粘膜の健康を保ってくれる」(佐々木さん)、「まぐろの中でもおすすめはとろ。豊富なDHAがセロトニンに働きかけ、ストレスを緩和する働きがある」(工藤さん)、「鉄分が多く、赤身には良質のたんぱく質が多い。エネルギー源になりやすく、体力を消耗する夏にぴったり」(藤岡さん)

3位:かつお/12点

「ビタミンB群や鉄分が豊富で、疲労回復や皮膚・粘膜の健康、貧血の予防といった効果が期待できる。特に8~9月に捕れるかつおは“戻りがつお”と呼ばれていまが旬。脂が乗っていて特に栄養価が高い」(佐々木さん)、「猛暑が続いて寝苦しい夜が続くこの季節は、精神を安定させる働きのあるトリプトファンを多く含むかつおがおすすめ」(望月さん)

2位:さば/14点

「さばに多く含有されるEPAには、日本人の死因に多い動脈硬化を予防する効果が。おすすめの食べ方はみそ煮。みその力で免疫力を高める効果が見込める」(菅原さん)、「EPAには中性脂肪を減らして血液をきれいにする効果が」(小倉さん)、「豊富なビタミンB12には血液を作る働きがあり、貧血予防に役立つほか、神経系に作用して肩こりなどの症状も軽減する」(藤岡さん)

1位:いわし/16点

「いまが旬。筋肉のもとになる分岐鎖アミノ酸が多く、外出自粛で運動不足だったり体がたるんできた人は、適度な運動とともに積極的に食べてほしい」(望月さん)、「いわしに代表される青魚に豊富なオメガ3系脂肪酸には、うつの症状を軽減させる力がある」(工藤さん)、「免疫作用を活性化させるビタミンDと血液サラサラ成分のEPAが豊富。EPAは熱によって流れ出るため、生で食べるか缶詰がおすすめ」(中沢さん)、「骨まで食べることで、カルシウムも豊富に摂取できる。骨粗しょう症予防にもおすすめ」(佐々木さん)

 次に、目的に合わせて摂りたい魚をランキングでご紹介する。

目的別:摂りたい魚ランキング

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