公開日:2021.01.19   

京料理の職人が本気で作った介護食「京介食」が話題|特別な日も家族と一緒においしい食事を

 京料理のエッセンス採り入れた京都発の介護食「京介食(きょうかいしょく)」が話題を集めている。見た目に美しく季節感のある介護食を…。そんなコンセプトから生まれた京都の介護食とは?その開発背景をレポートする。

京都の料亭が手がけた介護食
京都の料亭が手がける介護食とは…

京都が発信する介護食「京介食」とは?

「京介食」とは、和食の本場、京都で始まった介護食のプロジェクト。やわらかさや飲み込みやすさなど機能性のみを重視した介護食ではなく、味はもちろん、京料理ならではの見た目の美しさ、季節感を大切にし、高齢で噛む力や飲み込む力が衰えても“食”を楽しめる介護食だ。

「京介食」プロジェクトを手がける「京介食推進協議会」が発足したのは2019年7月。協議会ができた経緯を同会の会長を務める愛生会山科病院・消化器外科部長の荒金英樹さんは次のように説明する。

「プロジェクトの企画が最初に立ち上がったのは9年前です。医療関係者が考える高齢者向けの介護食は、安心、安全が重視されますので、どうしても単なる流動食でドロドロしている、見た目も良くない。僕たちが食べたいものとかけ離れているんですよね。それをどうにかして見た目にもおいしそうな介護食ができないかという思いから、京都の職人とのコラボレーションが始まりました。’12年から開発を開始し、’19年から『京介食』というブランドを立ち上げました」(荒金さん)

 高齢になり、食事がうまく飲み込めなくても、家族と同じものを食べたい。そんな思いに応えたいというのも大きなきっかけだった。

「食事の場はコミュニケーションの1つです。誰か1人でも我慢を強いられては、そこにいる人みんなが楽しめないですよね。

 嚥下障害のある妻を持つ男性が、自分だけ普通の食事をしているのは妻に対して心苦しいと言うんです。

 誰もが同じものを食べて、食事の場が楽しくなるためにも、嚥下障害がある人もそうでない人も一緒に食べておいしいと思えるものを作りたい。そのためにも医療従事者だけではなく、食のプロにも携わって欲しい。そう思って和食のプロである日本料理アカデミーの方々に協力をしてもらいました」(荒金さん)

京都の介護食、炊き合わせ
京都の料亭・せんしょうの介護食、季節の炊き合わせ(写真はイメージ)
やわらかく煮たにんじん
飾り切りした美しいにんじんもやわらか

京都の料亭発、和食の職人がこだわった介護食

 日本料理アカデミーといえば、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された立役者でもある。日本料理アカデミーのメンバーでもある京都の料亭・せんしょうの若女将で、管理栄養士の資格を持つ辰馬雅子さんは、

「和食だからこそ出せる風味と味わいが高齢者の食の楽しみを増やすのではないでしょうか」と語る。

「嚥下障害のある高齢者向けの食事は、食材をやわらかくするために水を多く加えますが、これをかつおや昆布の風味がきいただしにすることで、旨味が出ます。

 だしも削りたてのかつおぶし、北海道の利尻昆布と最高級のものを使うことで、さらにだし本来の香りが出て、おいしいと感じるようになります。

 魚やお肉も板前の技術を持って下処理をするので、食材のおいしさを最大限に引き出し、なおかつ食べやすいものにする。これこそが京都の和食のプロがこだわった介護食なんです」(辰馬さん)

「京介食」を開発するにあたり、プロジェクトのメンバーが何度も集まって、試食を繰り返し、風味や味わいを追求してきた。

「『京介食』はまず、“食べておいしいか”から始まって開発されているので、いくら食べやすくても、おいしくなければ意味がありません。そのため、試作を繰り返し、ボツになることもありますが、何よりも見た目から美しく、誰が食べても味が良いというのは妥協できないのです」(荒金さん)

 せんしょうが提案する「京介食」は、スプーンで潰すとふんわりとくずれ、舌触りもよく、すんなりと飲み込むことができる。そして何よりも、見た目は京都の料亭で出されるような手の込んだ美しさ。

「お正月やお誕生日などお祝い時の“ハレの日”だけでも、せめて家族全員でおいしいものを食べたい。そんな思いが叶えられて良かったと、おっしゃってくださる方もいました」(辰馬さん)

 「京介食」プロジェクトに参加しているのは、料亭のほか、お酒や豆腐など京都ならではの名産品も。食事を楽しむことは生きる力になる。コロナ禍で外食もままならない今だからこそ、介護食で京料理を味わうのはいかがだろうか。

→これが介護食!?パティシエ辻口博啓氏監修のスイーツで幸せおやつ時間

京介食のおすすめ介護食とお酒

特別な日の介護食には懐石料理を

京都の料亭の介護食

 噛む力が弱まり、うまく飲み込めない人でもおいしく味わえる京懐石料理。季節の食材を日本料理のプロが厳選し、その味わいを生かした調理法で、提供している。注文は2週間前までに。全国発送可。

【データ】
やわ芽吹き重ねの重(2段)
価格:4500円~1万800円(クール便)
販売:京料理・京会席せんしょう
https://www.sensyou.jp/
※注文は店舗に問い合わせを。電話番号075・322・1913

とろみつきの日本酒で乾杯!

とろみつきの日本酒

 伏見で360年以上続く酒蔵「北川本家」が、飲み込む力が衰えた人にも日本酒を楽しんで欲しいと開発。とろみ濃度は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が発表している学会分類2013の「薄いとろみ」を基準にしているが、嚥下障害のない人でも美味しく味わえる。おすすめは冷酒かぬる燗で。

【データ】
商品名:斗瀞酒(ととろさけ)雅香(みやこ)180ml
価格:594円
販売:北川本家
https://www.shop-tomio.com/shopdetail/000000000359/

→お酒好きだった人にうれしい介護食!黒糖焼酎「れんとゼリー」で介護中も笑顔に

一流の豆腐の味わいを嚥下食に

 厳選した国産大豆を100%使用。豆腐の味、風味をそのままに介護のプロが認める飲み込みやすさを追求。その柔らかな新食感はやみつきになりそう。

京都発の豆腐の介護食

京都の豆腐の介護食

【データ】
商品名:とろりやさしい豆腐
価格:162円
販売:京とうふ藤野
https://www.kyotofu.co.jp/ec/

■京介食推進協議会
https://www.kyokaishoku.com/

取材・文/廉屋友美乃

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