サービス

小田急沿線で「住まい」にこだわるサービス付き高齢者向け住宅<前編>

 評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。

 今回は小田急グループが手掛けるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「レオーダ」の施設を紹介する。

レオーダ経堂

「小田急グループ」ではサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を「レオーダ」という名前で小田急沿線に4つ展開している。神奈川県内では藤沢と新百合ヶ丘、東京都内は成城、そして今回訪れた経堂だ。

 レオーダは「relationship=人と人との結びつき」、「realize=実現する」、「residence=住まい」の3つに「odakyu=小田急」と「order made=オーダーメード」をかけ合わせて作った言葉だ。大切な家族、友人といつまでもつながっていることができる場所を、小田急沿線に住んでいる人々に提供したいという想いが込められている。

 その「レオーダシリーズ」は、いずれも駅から徒歩圏内で利便性は高い。そして何よりも地域の状況をよく知る小田急が手がけていることで、沿線住民の期待も高いようだ。レオーダが掲げるコンセプトは5つ。「施設ではなく『住まい』の提供」「小田急グループの総合力を活用したサービスメニューの提案」「魅力あるイベント」「手作り料理へのこだわり」、そして「要介護状態になっても生活を継続できる住宅」だ。

「住まい」というコンセプトは、設備や運営方針にも反映されている。全室25平方メートル以上で、各部屋にトイレ、洗面、キッチン、お風呂、洗濯機置き場が完備。運営面では、門限や外出、外泊に制限はなく、もちろん家族の来訪や宿泊も自由。自宅で過ごしていた時と同じように、プライバシーの確保された生活をおくることができる。

 5つのコンセプトについて、貸主である「小田急電鉄株式会社」の大里洋一さんと大久保和哉さんに話を聞いた。

「コンセプトは、あくまで施設ではなく住まいです。賃貸マンションに近い形をコンセプトにしており、過度な関与はしないようにしています」(大久保さん)

生活をサポートするコンシェルジュサービス

 レオーダ経堂にはコンシェルジュが24時間常駐し、安否確認を行う役割を果たしている。そして、安否確認だけではなく、生活相談、室内のゴミの回収、タクシーやクリーニングなどの取り次ぎ業務にも対応してくれる。コンシェルジュは日常的な話し相手としても貴重だ。自宅で一人暮らしをしていて、人と話す機会が少なくなってしまっている高齢者は少なくない。人と話す機会が少ないと認知症が進む原因にもなることがあるので、いつも決まったところにいて、気兼ねなく話ができる存在は大きい。

 もちろん、人の目だけではなく、見守りのための機能システムも万全だ。各部屋には緊急コールボタンや人感センサーが備え付けられていて、人感センサーは12時間以上人の動きがないと、1階の事務所とスタッフが持つPHSに通知される仕組みになっている。

「天井にスピーカーと集音マイクがあるので、部屋にいながらコンシェルジュと会話ができるようになっています。もちろん、倒れている際はスタッフがすぐに駆けつけます」(大里さん)

手作りにこだわった食事と各種イベント

 レオーダ経堂の料理は同じ建物内の厨房で手作りされ、季節や祭事に合わせて旬の食材を使ったイベント食なども提供している。要望に応じて刻み食やおかゆなどの調理も対応可能だ。


 小田急グループの力を活かして、入居者向けの旅行イベントも企画されている。こういったイベントを通じて交流が深まるため、入居者にも好評のようだ。また、日常的には健康体操や認知症予防、身体機能維持に役立つプログラムも提供されている。劇団民藝の役者が訪れて、作品や役作りについて語ったり、入居者と一緒にラジオ体操を行う交流も行われたそうだ。

 小田急沿線に長年住み、日常的に電車を利用している住民たちの小田急への信頼度は高い。そしてそれは高い期待となって表れてくる。大里さんと大久保さんの話を聞いていて、そうした沿線住民の信頼や期待に応えようという姿勢を強く感じた。

 レオーダでは小田急という看板がいい意味で活かされており、沿線に住んでいる人のみならず、多くの人が満足できる住まいの提供につながっている。内覧も随時受け付けているので、一度訪れてみてはいかがだろうか。

撮影/津野貴生

【データ】
施設名:レオーダ経堂
公式WEBサイト:http://www.odakyu-reoda.jp/kyodo/
所在地:東京都世田谷区宮坂二丁目11番13号
最寄駅:小田急線「経堂」駅徒歩8分、「豪徳寺」駅徒歩6分
類型:サービス付き高齢者向け住宅
運営主体:小田急電鉄株式会社
敷地面積:865.36平方メートル
延床面積:1680.76平方メートル
室数:40室(1R12戸、1K28戸)
入居要件:60歳以上、または介護保険法に定める60歳未満の要支援・要介護認定を受けている方(単身者限定)
構造:鉄筋コンクリート造地上5階
開設年月日:2014年11月13日
料金:
【1】月額利用料19万2000~20万8000円
※月額利用料には賃料13万1000~14万7000円、共益費1万6000円、基本サービス料4万5000円を含む。賃料と共益費は非課税、基本サービス料には消費税がかかる
【2】食事サービス料5万4000円(消費税別)
※30日(1日3食の場合。月額1万5000円の厨房維持費を含む)
【3】敷金として賃料の3か月分(入居一時金不要)
【4】住宅総合保険は要加入1万円(非課税)/年
【5】その他 退去時には、クリーニング費用(実費相当)が発生

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

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この記事へのみんなのコメント

  • かけみ

    もともと住んでいた地域に近いのがやっぱり一番安心ですよね。 本人にとっても家族にとっても。 歳をとればとるほど、新しいものへの苦手感や抵抗感は増しますし。 後はコストの問題ですね。

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