公開日:2021.03.26 / 更新日:2021.04.07   

70才を過ぎたら“やめるべき”お金の使い方7つ|老後に役立つマネー講座

 70才を過ぎて年金暮らしをしている高齢の親の家計を把握しているだろうか? 統計によると実は毎月4万円の赤字になっているという。70才を過ぎたらやめたほうがいいお金の使い方や、見直しておくべきことを、ファイナンシャルプランナーの大堀貴子さんがアドバイス。

70才を過ぎたら「やめたほうがいい」お金の使い方とは…(写真/GettyImages)

70才で”やめたほうがいい”7つのお金の話

 4月から施行される「高年齢者雇用安定法」により、“70才定年”も視野に入り、高齢でも働く機会が増えて収入がある人も増えるかもしれない。まだまだ元気な70代とはいえ、70才を過ぎると病気のリスクも増し、現実的に”介護”が視野に入ってくる。

 60才で定年した人は10年を迎える節目となる70才以降、“お金”にまつわる「やめたほうがいいこと」について見直しておくべきだと、大堀さんは語る。以下で7つ「やめるべき」ことを解説する。

【1】生活資金の赤字をやめるべき

 70才を過ぎたら、まずは現在の年金収入等の所得と生活資金などの支出について改めて見直しておいたほうがいい。

 赤字の場合は、その状態が続いたときに平均寿命(男性81.41才、女性87.45才※1)まで資産が枯渇しないかどうか考えるべきだ。

 総務省の家計調査※2によると、二人以上の世帯のうち60才以上の高齢無職世帯の月の消費支出は、平均で24万3260円。年金収入から社会保険料を引いた可処分所得は、21万281円となっている。

 そして、70~74才と年齢別に見てみると、消費支出は25万6315円、可処分所得は、21万5311円となる。

 このデータをもとに考えると、70才を超えると毎月約4万円、年間で48万円の赤字となり、女性の平均寿命で考えると70~88才までの18年間にすると864万円になる。

 このほか、家の修繕費や介護費用などがかかることも。十分な資産がない場合は、支出をできるだけ抑えて赤字にならないようにやりくりする必要がある。生活資金のほか、介護や病気などもしものときに備え、家計の“赤字”を続けてはいけない。

※1 厚生労働省の「簡易生命表(令和元年)」より。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-02.pdf

※2 総務省「家計調査年報(家計収支編)2019年 二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の家計収支-2019年-」より。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2019np/gaikyo/pdf/gk02.pdf

【2】安易な不動産投資はやめるべき

 現金よりも賃貸物件のほうが、相続税の計算のもとなる課税評価額を大幅に下げることができる。

 また、土地を保有しているなら、土地に賃貸物件が建つことで土地の評価額を下げることができる。70才ごろだと子供も独立し、孫もいるかもしれない。より多くの資産を子や孫に残したいと考え、保有する現金を土地や不動産に変えたり、土地を賃貸物件が建つ土地に変えたり、相続税対策として不動産投資を始めたいと考える人もいるだろう。

 しかし、相続税は減らすことができても、保有している現金を減らしてしまうと、相続人である子や孫に不利になることもある。

 家賃収入を得られる賃貸物件は魅力的だが、もしかすると子や孫は現金で相続したいと考えているかもしれない。

 また、不動産投資で得られる家賃収入は確実ではない。投資のために新たに借入をして、返済を家賃収入から充当する場合、空室時の借入金の返済は自己負担となり、さらに手元の現金を減らすことになる。

 賃貸物件での相続対策は、相続後も賃貸物件の管理、維持管理費用の負担等を相続人に負担させることにもなるので、相続人の考えをよく聞いてから判断すべきだ。

【3】一括払いの死亡保険はやめたほうがいい

 終身保険は自分で受取ることのできる貯蓄型もある。ただし、現在の低金利では10年以上運用しないと解約時に元本割れとなる。そのため、70才過ぎて死亡保険(終身保険)に加入するなら、子や孫などに相続する目的と考えたほうがいい。

 死亡保険は、相続したい相手に死後すぐ資金を渡すことができ、相続人×500万円分が非課税となり、相続対策には有利だ。

 資産が多くあり今後まったくお金に困らないという人は別だが、大金を払って一括払いの死亡保険に加入するのはやめたほうがいいだろう。

 70才以降、予期せぬ病気や介護、住宅改修などで予期せぬ大金が必要になったとき、死亡保険を解約して充当することになった場合は、元本割れとなり損してしまう。

【4】高リスクの投資はやめるべき

 70才以降は、年金生活が考えられるため、ハイリスクの投資はすべきではない。やめたほうがいいのは、FX、仮想通貨、先物・オプション取引、信用取引などが挙げられる。

【5】相続の話し合いや遺言はいらないという考え方はやめる

 自分には資産がないからと、相続対策や遺言書はいらないという考えはやめるべきだ。

 70才を過ぎたら、相続でもめないよう家族で話し合い、遺言状を用意しておくのがおすすめだ。

 実は、司法統計年報※によると、一番相続争いが起こっているのが1000万円以下(32.98%)と5000万円以下(43.27%)の相続資産だ。資産は少ないという人でも、家は遺産となるため、実家の相続でもめるケースが多いと考えられる。

※参考「平成30年度 司法統計年報」家事事件編 https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/738/010738.pdf

【6】金融機関を煩雑なままにしない

通帳を目の前に悩む女性

亡くなった親の口座が凍結されると遺された家族に負担も…(写真/GettyImages)

 本人が死亡すると金融機関の口座は凍結されてしまう。そのため、遺産分割が完了した後、遺産分割協議書や相続人と分かる戸籍謄本などが必要になり、金融機関ごとに手続きが必要になり、大変手間がかかる。お金を預けている金融機関がバラバラで多い場合、その分、手続きも手間が増えるわけだ。

 70才を過ぎたらなるべく金融機関をまとめたり、どの金融機関に預けているか相続人が分かるように整理したりすることをおすすめする。

【7】無駄な定額サービスを払うのをやめる

 動画配信やスマホなどで支払っている有料コンテンツなど、無駄なものがないか整理しておくべきだ。本人の死亡後も相続人が知らないうちに毎月定額料金を支払うことになってしまう例もある。不要なサービスは解約し、現在契約している定額サービスについては、相続人に分かる状態にしておくといいだろう。

***

 親が70才を過ぎたら…。年齢の節目に、お金の使い方について「やめるべきこと」を家族出話しあってみてはいかがだろうか。

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文/大堀貴子さん

ファイナンシャルプランナー おおほりFP事務所代表。夫の海外赴任を機に大手証券会社を退職し、タイで2児を出産。帰国後3人目を出産し、現在ファイナンシャルプランナーとして活動。子育てや暮らし、介護などお金の悩みをテーマに多くのメディアで執筆している。

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