公開日:2021.08.05 |暮らし   

60才からの就活に必要な心構え シニア女性がふたたび働くのに必要な3つ準備とは

 60才といえば、定年が視野に入る節目の年だが、まだまだ働きたいという人も多いだろう。夫が定年するが、年金収入だけでは不安という妻の声も…。そこで、60才から女性が仕事を再開したい、再就職したいとき、どんなことに注意すればいいのか、シニアの就職事情に詳しい専門家に話を伺った。

働きたいと考えるシニア女性のイメージ写真
60才からの就活で必要なことは?(写真/GettyImages)

60才女性の就活事情とは?

 60才を迎えて夫や自分の定年を目の当たりし、「年金収入だけでやっていける?」「生活費や介護費が足りない…」と、不安に感じている女性も多いのではないだろうか。

 年金受給の年齢も引き上げられ、夫が60才で定年を迎えたとしてもすぐに年金がもらえるとも限らない。年金がもらえるまでどうするべきか…。

「60才以降でも働きたいと考えている女性は増えていますよ」とは、シニア世代の生き方や就職事情に精通するシニアライフアドバイザーの松本すみ子さんだ。以下で詳しく解説していく。

60才女性に就活をおすすめする3つの理由

「今はコロナ禍で就職活動(就活)のチャンスが少ないので動きがないように見えますが、60才以降の女性でも働ける仕事はたくさんありますし、就活をはじめる人も多いですよ」(松本さん、以下同)

1.自分が自由に使えるお金を得られる

「第一の理由はやはりお金です。女性は男性より長生きですから、生きるための資金が男性よりも必要です。夫が亡くなった後は、年金も減ります。老後不安をなくすためにも働きたいのです」

 やはり、「人生を楽しむためにもお金が必要」とのこと。

 厚生労働省「簡易生命表」(令和元年)によると、平均寿命から算出した60才女性の余命は29.17年。つまり60才から約30年もの生活費が必要となる。長生きがリスクになってしまわないよう最善策を考える必要がある。

「専業主婦だった妻は、家計を預かっていても、自分の資産や自由に使えるお金を持っていないことも。そういう女性は、友人との旅行や会食、習い事、好きなものを買うなど、自分のためにお金を使うことに遠慮してしまいがち。ですから、60才を過ぎても自分で稼いで、誰にも遠慮することなく使えるお金を手に入れたいと考える人も多いのです」

2.社会とのつながりを得られる

「60才を超えても、女性の多くは、社会とつながりたい、1人の人間として扱ってほしいと思っています。誰かの奥さん、誰かのお母さんではなく、働くことで『自分という人間』を認めてもらえることは大きな喜びにつながります。

 ふたたび社会に出て仕事を通じて新しい仲間ができ、今まで知らなかったことを知ることで、刺激を受けて充実感を得ることもできるでしょう」

 また、働くことで生活リズムが一定となり、体を動かすので健康も保てるようになる。

「仕事をすることで、人との付き合いがあれば会話が増えて、家に引きこもることもありませんし、万が一、倒れたりしたときには早期発見につながる可能性もありますよね」

いきいきと活躍するシニア女性
60才からは自分のためにいきいきと働きたい(写真/GettyImages)

3.仕事を通じて自分の人生を生きられる

「現在60~70代の女性の中には、学歴はあっても社会で長く仕事を続ける環境ではなく、やむを得ず専業主婦になった人も少なくありません。

 そんな“やり残し感”を抱えたままの女性はとくに、『家庭から解放されて、自分のために人生を生きてみたい』と感じることが多いと思うのです」

60才以降に就活で注意すべき3つのこと

 60才を機に仕事をはじめたり、就職活動をしたりする前に、考えておくべきことがあると、松本さんは続ける。

1.家計を把握しどのくらい働くかを考える

「年金支給までの足りない生活費を補填するにしても、まずは家計を把握して“節約する”ことが大切ですよね。

 毎月どのくらいのお金で暮らしているかを把握して、無駄な費用を削減することが第一。

 その上で、足りない分を働くことで補います。不足分を稼ぐためには、フルタイムでしっかり働く必要があるのか、パートやアルバイトで働くのか、働き方を考えましょう」

 総務省の「家計調査年報」(2019年)によると、高齢夫婦無職世帯(夫65才以上、妻60才以上の夫婦のみ)の可処分所得(手取り収入)は、月額20万6678円。一方、消費支出は約23万9947円なので約3万3000円が不足分となる。

 つまり、いきなりフルタイムで働くのではなく、「家計の3万円の不足分を補う」という考え方もひとつの選択肢になるだろう。

2.働く意志を明確にして就活に備えておく

「慢性的な人手不足なので、コロナ収束後には、どの業界でも採用が活発化することが予測されます。

 そのときに備えて、『私はこういう人間で、こういう働き方で会社に貢献したい』などと、しっかり語れるようにしておくこと。時間があるときに働きたい業界を研究したり、自分の考えをまとめておいたり、自分を見つめ直して働く意志を明確にしておくといいでしょう」

3.働きたい業界の情報を集める

「新聞・雑誌、TV、ネットなどで、今、世の中がどのようになっているかを知ることが大事です。どの業界が伸びているか、下向きか、どんな新しい仕事に可能性があるかを自分でも判断しておきましょう。

 シニア向けのスキルアップセミナーを開催していますが、参加者はみなさんとても積極的ですよ。

 また、ハローワークや自治体などでも主婦やシニアに向けた就活セミナーや相談を実施しているので、そういったものに参加するのもいいですね」

 60才からまだまだ続く楽しい人生のため、就活の準備をして働くことが大事だ。

教えてくれた人

シニアライフアドバイザー・松本すみ子さん

松本すみ子さん
シニアライフアドバイザー・松本すみ子さん

有限会社アリア代表(https://www.arias.co.jp/)、NPO法人シニアわーくすRyoma21 (http://www.ryoma21.jp)理事長。キャリアコンサルタント、産業カウンセラーでもあり、企業や自治体などで「シニアのセカンドライフの生き方やと働き方」などについての講座の企画・運営、講師も務める。著書『定年後も働きたい。人生100年時代の仕事の考え方と見つけ方』、『55歳からのリアル仕事ガイド』など。

取材・文/本上夕貴

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