公開日:2021.10.14 |暮らし   

88才現役料理家・小林まさるさんの生き方哲学「年寄りだからこそ、前へ前へ!」

 料理家としてテレビや雑誌で活躍する小林まさるさんは、現在88才。料理界の第一線で活躍するシニアの星だ。そんなまさるさんにシニアにおすすめの簡単レシピと、いきいきと暮らす健康・長生きの秘訣を聞きました。

88才の料理家、小林まさるさんに元気の秘訣を伺った

小林まさるさん波瀾万丈 70才から第二の人生がスタート

「『もう年だから』『年寄りだから無理だよ』。そんな風に言う人もいるけど、年配の人にとっちゃ、それがいちばんの大病だよ。

 そんなことを言っていたら、どんどん自分で自分をダメにしちゃう。人生はやったもん勝ち。『年寄りだからこそ、前へ前へ進め!』って、俺は思うね。70才を過ぎてから、俺はそうやって生きてきたんだ」

 トレードマークのバンダナを巻いて元気に語るのは、88才にして売れっ子料理家の小林まさるさん。70才で料理の道へ飛び込むまで、波瀾万丈の人生を送ってきた。

 まさるさんは、1933年の樺太生まれ。幼少期に樺太で戦争を体験し、極寒の地で生死をさまようほどの食糧難を経験した。炭鉱作業員だった父がロシアから帰されず、まさるさんもロシアで3年間を過ごした。

「樺太の冬は雪以外何もない。ロシアにいたときは貧しくて、とにかくいつも腹が減っていた。食べることが頭から離れず、空腹がどんなに恐ろしいことかを子供のときに知ったんだ。うまいものを死ぬほど食いたい、たくあんで白い飯を山ほど食いたいって、何度も思っていたんだよ」

バンダナがトレードマークだ

 15才のときに北海道に引き揚げ、炭鉱に就職。ドイツ勤務を経て、鉄鋼会社に転職。30代で結婚したが、妻に先立たれて男手ひとつで2人の子供を育ててきた。

「定年後は好きなことをしてのんびり暮らそう」と思っていたまさるさんに転機が訪れたのは70才のとき。息子の嫁で料理研究家の小林まさみさんのアシスタントに立候補したことが始まりだった。

「まさみちゃんは、昼は会社勤めをしながら、夜は調理師学校に通い、コツコツ努力をしていてね。料理研究家として独立した頃のまさみちゃんは、朝から晩まで大忙しで寝る間もないほど。アシスタントさんに頼む余裕もなくて、それを見かねた俺が、“手伝おうか?“と、助け舟を出したんだ」

舅がアシスタント!? 異例の抜擢

 “舅がアシスタント”というのは料理界では異例だったが、子供たちのために毎日料理をしてきたまさるさんは、料理上手で手際もよく、現場でテキパキと動いていた。

「料理本の撮影は想像を絶するもので、朝から晩まで料理を作り続ける。俺は野菜を切ったり、米を炊いたり、洗い物をしたり、とにかくできることは何でも手伝った。大変だったけど、70才で初めての経験だらけで、すごく新鮮で楽しかったね。

 アシスタントとして手伝ううちに、チラッとテレビに映ったりすることもあった。それで、“あのバンダナをしたじいさんは一体誰なんだ?”と話題になったんだ(笑い)」

「まさみとまさる」の名コンビは、義理の父娘ながら息がぴったり。次第にまさるさんもメディアで注目されるようになり、現在ではシニア料理家として自身の料理本を出版するほどに。

 最近は88才にしてYouTubeチャンネルを始めるなど、新しいことに次々と挑戦。まさに「人生やったもん勝ち」を体現してきたまさるさんに、シニアでも手軽にできる簡単な料理を教えてもらった。

小林まさるさんのシニアにおすすめ簡単料理

 まさるさんが子供たちによく作ったという「カジキとキャベツのトマト煮込み」。フライパンひとつで完成するのでお手軽なうえ、野菜やたんぱく質もたっぷり摂れる。

「子供たちが育ち盛りの頃、よく作った我が家の定番メニュー。材料を全部フライパンに入れて煮込むだけだから、ほったらかしでおいしくできるよ!」

カジキとキャベツのトマト煮込み

かじきのトマト煮がお皿に盛りつけられた写真
小林まさるさん「カジキとキャベツのトマト煮込み」

【材料】(2〜3人分)

カジキマグロ…3〜4切れ(300g)
キャベツ…3枚(200g)
玉ねぎ…1/2個(100g)
サラダ油…大さじ1
しょうが(みじん切り)…小さじ1
トマト水煮缶…1/2缶(200g)
水…1/2カップ
塩…小さじ1/2
鶏がらスープの素(顆粒)…小さじ2
みりん…大さじ1
粗びき黒こしょう…少量

調理中の小林まさるさん
「しっかり水分を飛ばすのがポイントだよ。焦がさないようにね!」と、小林まさるさん。

【作り方】

【1】カジキマグロは水気を拭き、ひと口大に切る。キャベツは食べやすくちぎり、玉ねぎはひと口大に切る。
【2】フライパンにサラダ油としょうがを入れ、中火で香りが出るまでさっと炒め、すぐに火を止める。フライパンの底に敷き詰めるようにキャベツを広げて入れる。
【3】カジキマグロ、玉ねぎ、トマト缶を順に重ね、水、塩、鶏がらスープの素、みりんを加え、強火にかける。ふたをして、ふつふつしてきたら弱火で20分ほど煮る。ふたを外し、時々揺すりながら4分ほど煮て水気を飛ばす。
【4】全体を混ぜ合わせ、器に盛り、仕上げに粗びき黒こしょうを振る。

ポイント1「キャベツをフライパンの底に敷く」

キャベツを敷いてコゲ付き防止

「キャベツは手でちぎると味がよく染み込むよ。キャベツをフライパンの底に敷き詰めることで焦げ付き防止にも一役!」

ポイント2「トマト缶で手軽に濃厚な味わいに」

トマト缶で濃厚な味わいに

「味付けは旨味がギュッと詰まったトマト缶で手軽に。魚と野菜の旨味が溶け込んでおいしいソースになるぞ」

ポイント3「ふたを開けて水分をしっかり飛ばして」

しっかり煮詰めて濃厚に

「弱めの中火で20分ほど蒸し焼きにしたら、ふたを開けて水分を飛ばしながらしっかり煮詰めて。水分が抜けて濃厚な味に!」

 食べてみると、キャベツと玉ねぎの旨味がしっかりトマトソースに溶け込んで、シンプルな味付けなのに旨みがたっぷり! まさるさんの料理はいろいろな調味料をアレコレ入れず、素材のおいしさを引き出す味付けなので、シニアでも食べやすいのが特徴だ。

「トマトソースごとご飯にかけて食べてもウマイよ! カジキマグロの代わりにサーモンや鶏肉で作ってもいいね」

小林まさるさんの健康の秘訣「腹八分目、糖質オフを日常に」

糖質控えめを心がけているため、ご飯茶碗をひと回り小さくした

 まさるさんは6年前、糖尿病予備軍と診断されたことがある。それまでは炭水化物が大好物で、大きな茶碗で2膳食べるのが当たり前だったという。

「市販のラーメンや焼きそばも1人で3玉くらいペロリと食べちゃう。大好きなご飯を我慢するのは辛かったけど、健康のために“腹八分目”を守るようにしたんだ。でも、ついつい食べ過ぎちゃうから、茶碗の大きさをひと回り小さくして、“これに1杯だけ”と決めたら、自然とご飯の量を減らせるようになったよ」

 他にもコーヒーにどっさり入れていた砂糖を減らしたり、糖質控えめのアガペシロップを使ったりして、糖質をコントロールしながら7kgの減量に成功。ウエストは−9cmに。やせたことで、血糖値も改善された。

 座右の銘は「涙こぼしても、酒こぼすな」というほど大好きなお酒も、現在は焼酎やウイスキーなど蒸留酒を中心にして、糖質の多い日本酒やワインは控えるようにしている。

「若い頃はひと晩で一升飲んじゃう日もあったけど、いまは無理な飲み方はしなくなった。でも飲むときは飲むよ! パパッとつまみを作って一杯飲むのは、俺の至福の時間だからね」

腹八分目で元気!!

プロフィール

小林まさるさん

1933年生まれ。料理研究家・小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務め、78才でシニア料理家としてデビュー。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満載の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)、『小林まさみとまさるのさわやかシニアごはん』など。2021年に公式YouTubeチャンネル『小林まさる88チャンネル』を開設。

撮影/菅井淳子 取材・文/岸綾香

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