ヤングマンは最期まで立ち上がろうとしていた。『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』や『傷だらけのローラ』などのヒット曲で知られる歌手・西城秀樹さん(享年63)。突然の訃報の裏で、病魔を克服し、もう一度、歌手としてステージに立ちたいと願っていた西城さんの“不屈のリハビリ生活”が明らかになった。
2001年に結婚後、2男1女の子宝に恵まれ、幸せ絶頂だった西城さんに異変が訪れたのは2003年だった。
「韓国での公演中に脳梗塞を発症し、2011年に再発。言語障害と右半身麻痺の後遺症が残ったものの、リハビリの専門病院に通院して歩行訓練や筋力強化トレーニングなどをひたすら続けていました。一方で『構音障害』という呂律が回らなくなる後遺症を克服するために毎日、子音と母音を繰り返す発音練習にも取り組んでいました」(知人)
懸命なリハビリの甲斐あって、昨年には自力歩行できるまでに回復。その後も1日数時間の歩行トレーニングと神経再生のための鍼治療を受けていたという。
本誌・週刊ポストはそうした情報を受けて昨年6月、西城さんのリハビリ現場を取材させてほしいと申し込んだ。その際、事務所関係者はリハビリの様子をこう明かした。
「家族の支えがトレーニング継続の重要な原動力になっている。本人は歌手としての完全復帰に向けて週2~3日程度、精力的にリハビリに取り組んでいる」
前向きな反応だったが、1週間後、事務所の返答は「取材は受けられない」だった。
「真剣勝負であるリハビリの場に記者やカメラマンが張り付くことを本人が気にしている。『熟慮した結果、今は遠慮してほしい』とのこと。また時期を改めて相談したい」(同前)とのことだった。
取材は実現しなかったものの、間接的に伝えられた西城さんの想いは、完全復活に向けた強い意志の表われと感じられた。
だが、西城さんの願いが叶うことはなかった。
「病気発症後は1日3~4箱吸っていたタバコも止め、家族の支えにいつも感謝していました。体も言葉もなかなか以前のようには戻らないことに対して、本人はもどかしさも感じていたようですが、弱音を吐くことも諦めることも決してありませんでした」(前出・知人)
『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』の歌詞を体現するような西城さんの諦めない姿に、ファンはいつまでも勇気づけられることだろう。
※週刊ポスト2018年6月1日号