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コラム

2018.04.10 16:00  マネーポストWEB

就職活動「超売り手市場」の実情 けっして甘く見てはいけない

「売り手市場」における就活の心構えとは?(常見陽平氏)

 2019年卒の大学生の就職活動がスタートした。今年は「売り手市場」とも評されるが、ならばラクに人気企業の内定を獲得できるものなのか。「そんなに甘いものではない。特に大手は」と語るのは千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏だ。常見氏に学歴フィルターの存在や、売り手市場における就活の心構えを聞いた──。

 * * *
 今年も超売り手市場は継続中です。リクルートワークス研究所が毎年、発表している「大卒求人倍率調査」では、2015年卒が1.61倍となり前年の1.28倍から0.33ポイント回復。その後、1.73倍(2016年卒)、1.74倍(2017年卒)、1.78倍(2018年卒)と回復が続いております。求人倍率はバブル期ほどではありませんが、高い水準で推移しております。就職情報会社各社の予測でも売り手市場は継続だとみられています。

 基本、全体で見れば回復しているといえますが、業界ごとのメリハリがあることは押さえておきましょう。特にメガバンクなど金融機関での採用抑制が話題になっております。メガバンクはやや業績不振の面もあり、店舗業務見直し等で採用を絞ることが話題になっていますね。銀行を含めた金融は学生にとっては人気業界ではありますが、これらの採用抑制によりこの業界への就職は競争が激しくなるだけでなく、志望していた学生がどこに流れるか、という観点も重要です。

 また、いくら売り手市場とはいえ、行きたいところに行けるわけではありません。前出のリクルートワークス研究所の2018年卒の求人倍率をみると、従業員5000人以上の企業では0.39倍で、前年の0.59倍から-0.20ポイント低下しています。

 そんなこともあり、人気企業ランキング100に入るような会社への就職は相変わらず難しいです。それに、企業だって誰でも彼でもほしいわけではありません。

◆公に発表された採用スケジュールを真に受けてはいけない

 メガバンクは採用においては減少の傾向にありますが、仕事のやり方を変えてきているため、求める人材が変わってきている面もあります。一つはオートメーション化の進展で、メガバンクはその分野を担う人材を求めている。世の中、全体的にウェブを活用した業務が増えていきますが、その根幹をつくる人員が足りません。とにかくエンジニアが足りないのです。

 世の中全体がウェブエンジニアリングに動いているのに、元々ウェブエンジニアになれる技術を教える大学が少ないのです。足りないからといって、プログラミング等をやる専門学校から採っているかと言えばそうではありません。理系の学生、院生や、文系でも学生時代からウェブサービス作っていたような人が採られているのです。仕組みをつくることのできる人材が求められています。

 さて、学生が注意すべき点を述べると、2016年卒から採用活動は、採用広報活動が3月から、選考活動が8月(翌年度から6月)に変更になりましたが、実際企業のアプローチはもっと早い。公に発表しているスケジュールを真に受けている人は、学歴フィルターのようなものや、就活格差に気付くのが遅くなりました。準備を早めにしている人は「インターンを受けまくってるのに、なんでここまで通らないんだよ……」と疑問を抱き、学歴フィルターなどの存在に気付き、危機感を持って活動を進めます。一方、ゆっくり活動をしている人が気付かず後になって「誰でも受けられるはずじゃなかったの……聞いてないよ~!」となります。

 最後に私が学生にお伝えしておきたいのは、「売り手市場をなめるな!」ということです。あなたが行きたいあの会社は楽勝じゃねぇぞ! 売り手市場の年に就活する人たちって必ずしもいいとは限らないと思います。社会に出て景気が悪くなり、転職できなくなったりすることもあるわけですよ。ナメて会社に入ったらミスマッチがあったりもします。こういう時期だからこそ、早めに活動を開始し、よく考えてやってほしいものです。

◆常見陽平(つねみ・ようへい):千葉商科大学国際教養学部専任講師/働き方評論家/いしかわUIターン応援団長。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『社畜上等!』(晶文社)『「働き方改革」の不都合な真実』(おおたとしまさ氏との共著、イースト・プレス)など著書多数。

■取材・文/中川淳一郎(ネットニュース編集者)

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