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5月21日放送の「原発事故と甲状腺がん」が批判を浴びたのはなぜか(Tverより)
TBS『報道特集』「原発事故と甲状腺がん」の問題点 語られなかった科学的事実【前編】
 約1か月前に放送されたTBS系『報道特集』内の特集「原発事故と甲状腺がん」。放送直後から、内容に「事実誤認がある」などと批判が巻き起こった。番組は、2011年に起きた原発事故の放射線被ばくにより甲状腺がんを患ったとして、男女6人が東京電力を訴えた裁判が始まることを報じたもの。放送内容のどこに問題があったのか。【前後編の前編】冒頭で語られた「症状」 特集の冒頭で原告の1人である女性(26歳)が登場し、経緯を語るシーンがある。女性は19歳の時、〈2週間に1回くらい生理が来てしまい、体重が10キロくらい1か月で増えた。肌荒れが起き、ホルモンバランスが崩れた〉とし、後日、福島県が実施する甲状腺検査を受けたら甲状腺乳頭がんと診断されたので、甲状腺の一部の摘出手術を受けたという。 甲状腺とは、喉仏の下辺りにあり、体の新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを分泌する器官のこと。この女性が発症した「甲状腺乳頭がん」は、がん細胞が集まって乳頭のような形をつくるのでそう呼ばれる。胸の乳腺とは関係がない。 甲状腺疾患の専門医・高野徹医師(りんくう総合医療センター甲状腺センター長兼大阪大学特任講師)に、甲状腺乳頭がんの症状について訊いた。ちなみに高野医師は2019年から欧州甲状腺学会の小児甲状腺腫瘍診療ガイドラインの作成委員を務めている。「甲状腺乳頭がんの場合、自分で触ってしこりを感じる以外、ほとんど症状はありません。甲状腺ホルモンの分泌にもまったく影響はない。しこりが大きくなって声を出す神経に当たり、嗄声(声枯れ)が起きたりすることもありますが、稀です。おそらく生理不順など体調不良の原因は他にあると思います」(高野医師) たしかに番組は〈検査でしこりがみつかって甲状腺がんと診断された〉と説明しており、甲状腺がんの症状を理解している人なら、女性が訴えた症状は「検査を受けるきっかけ」に過ぎないと判断できる。しかし、甲状腺がんについてよく知らない人が見れば、番組冒頭で女性が訴えた「症状」は、甲状腺がんによるものと勘違いする恐れがあるのではないか。 なぜ、特集の冒頭で原告女性のこのコメントを流したのか。TBS『報道特集』制作担当者に広報を通じて問い合わせたところ、文書で〈原告の女性が検査を受けるきっかけとなった体調の変化として紹介しております〉(TBSテレビ社長室広報部)と回答があった。 番組で女性は「術後も生理不順が続いている」と訴えていたが、甲状腺乳頭がんとは別の原因があるか、または「一般論ですが、がんと診断されたことや手術を受けたことによるストレスが原因かもしれません」(高野医師)という。 そもそも同番組内では、「甲状腺がんとはどんな病気か」という説明もなかった。一般に「がん」と聞くと、治るのが難しく、命に関わる重病と思い込みがちだが、実は甲状腺がんは他のがんと性質がずいぶん異なる。 甲状腺がんにはさまざまあるが、全体の90%を占めるのが甲状腺乳頭がんや甲状腺濾胞(ろほう)がんなどの「分化がん」である。しこり以外の症状が出るのは稀で、進行が非常に遅く“ほとんど死なないがん”といわれる。 環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が参考資料として公開している「甲状腺微小癌」(宮内昭医師提出)では、他の病気が原因で亡くなった人(高齢者が主)の甲状腺を調べると、日本では11.3〜28.4%(徳島、岩手、仙台で調査)の人に甲状腺がんがみつかったと紹介されている。症状がなく進行が遅いので、甲状腺がんに気づかないまま、別の原因で寿命を迎えるケースが多いようだ。 一方、危険な甲状腺がんもある。「未分化がん」は、甲状腺がん全体の1〜2%程度に過ぎないが、進行が非常に速く死亡率が極めて高い。他に「低分化がん」や「髄様がん」などがあり、これらも全体の1〜2%程度で、悪性度は分化がんより高い(がん研有明病院 がんに関する情報「甲状腺がん」などを参照)。甲状腺検査の何が問題か チェルノブイリ原発事故(1986年)の後、数年後からウクライナやベラルーシで小児甲状腺がんが増えたことを受けて、福島県では原発事故後、18歳以下の38万人を対象に5回にわたって甲状腺検査を実施している(実際に検査を受けたのは約30万人)。福島県県民健康調査課によると、2021年9月30日時点で甲状腺がんと診断されたのは274人で、手術を受けたのは227人だった(県外での検査は含まない)。手術を受けた人のうち、未分化がんは1例もなく、低分化がんが1例のみ。乳頭がんが223例、濾胞がんが1例、その他のがんが1例である。乳頭がんと濾胞がんで99%を占めている。 これまで甲状腺がんは年間100万人に数人とされていたが、30万人に検査して274人というのはあまりに多すぎる。『報道特集』キャスターの金平茂紀氏が、番組冒頭で〈11年前の福島第一原発事故で、当時子供だった若者が甲状腺がんで苦しんでいます〉と述べているように、番組側は、甲状腺がんの増加は原発事故が原因と考えているようだ。しかし、前出・高野医師はこう言う。「100万人に数人というのは、なんらかの症状が出て病院で検査を受けて、みつかるケースがそれくらいの比率ということです。30万人もの無症状の人たちを対象に、高精度な超音波検査を実施するというのは前代未聞で、これまでなら気づかなかった甲状腺がんを掘り出してみつけていると考えられます。 広島赤十字・原爆病院小児科の西美和医師が、福島県の甲状腺検査評価部会に提出した資料(2014年3月2日付)によると、震災前から震災後にかけて岡山大、千葉大、慶應女子高の大学生・院生、女子高生約1万5000人に甲状腺検査を実施したところ、おおよそ1000人に1人くらい甲状腺がんがみつかっている。福島の30万人に約300人という比率と同程度です」(高野医師) 原発事故の影響がまったくない地域、時期でも、無症状の人を集めて集団検査をすれば、100万人に数人というレベルをはるかに超える頻度で甲状腺がんがみつかる可能性があるのだ。番組が触れなかったUNSCEAR報告 原発事故による被ばく量の観点からはどうか。チェルノブイリ後に小児甲状腺がんが多発した主因とされる放射性ヨウ素の放出量は、福島原発事故ではチェルノブイリの約11分の1だった。ベラルーシの避難住民の推定被ばく量(甲状腺等価線量)は平均490mSv(ミリシーベルト)で、約3万人の子供が1000mSvを超える被ばくをしたとされるのに対し、福島の子供の場合、各種調査では最大でも50mSv程度と推定される。 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の2020年報告書によれば、福島の甲状腺の推定被ばく量は、事故直後の1年間で、1歳の幼児で平均2.2〜30mSv、10歳の小児で平均1.6〜22mSvと推計されている。チェルノブイリと比べて桁違いに少ない。放射性ヨウ素の半減期は8日と非常に短いので、被ばくが問題になるのはせいぜい事故直後の数か月程度で、それ以降は影響を無視して構わない。 このUNSCEARの報告書には、甲状腺がんの症例数の大幅な増加は、放射線被ばくの結果ではなく、“超高感度の検診技術が、以前は認識されていなかった甲状腺異常の症例を明らかにした結果”であろうと書かれている。『報道特集』ではこのUNSCEARの報告書について一切触れていない。触れなかった理由をTBSに聞いたところ、〈今回の放送は、甲状腺がんと被曝の因果関係が裁判の争点になると明確に伝えております。また、国と福島県が甲状腺がんと被爆(原文ママ)の因果関係について現時点で「認められない」という立場であることもあわせて伝えております〉(TBSテレビ社長室広報部)と回答があった。だが、国と福島県が「因果関係がない」と判断した根拠がUNSCEARの報告書であるのだから、そのことについて説明しても良かったのではないか。 その一方で、同番組は低線量被ばくでも甲状腺がんを発症する可能性があると主張していた。根拠として提示したのは、チェルノブイリ事故後のウクライナのデータだ。 1986年〜1997年にウクライナで小児甲状腺がんと診断され摘出手術を受けた577例について、被ばく線量別に分類したグラフ(ウクライナのMykola D.Tronko博士が1999年に発表した論文から引用)を示し、〈51%が100mSv以下の被ばくで、10mSv未満が15%だった〉と説明した。 低線量でも甲状腺がんを発症しているとして、津田敏秀・岡山大学教授の「だいたい5mSvあたりでもがんの増加を見ることができるということは、だいたいの研究者は同意されると思う」との発言を続けて流していた。 これに対し、生物物理学や統計物理学が専門で、大阪大学サイバーメディアセンター教授の菊池誠氏はこう反論する。「統計的には被ばく量が100mSv以下でがんの増加は確認されないので、福島のような低線量被ばくで甲状腺がんは増えません。津田さん以外に、5mSv以下でがんを発症すると主張している人はほとんどおらず、誰も同意しないでしょう。津田さんが地域ごとの推定被ばく量と甲状腺がんの発生を関連付けた論文についても、UNSCEARは、調査の計画と方法に問題があるとして明確に否定しています」小児甲状腺がんは「昼寝ウサギ」 では、ウクライナで甲状腺がんの手術を受けた子供の51%が100mSv以下の被ばくだったというデータは、どう解釈すればいいのか。「もともとあった甲状腺がんを検査でみつけたと考えられ、むしろ過剰診断が起きていた証拠と言えます」(菊池氏)「過剰診断」とは生涯治療する必要のない病気を検査でみつけ出してしまうことで、必要のない治療につながる。チェルノブイリ事故後のウクライナでも、被ばくとは関係のない自然発生の甲状腺がんも含めて検査で拾い出した結果、低線量でも発症しているように見えているのではないか、という。 しかし、一般にがんの治療では「早期発見・早期治療が大事」とされている。子供のうちに甲状腺がんをみつけて治療することは過剰診断になるのか。この疑問に高野医師が答える。「ウサギとカメの童話になぞらえて、小児甲状腺がんは“昼寝ウサギ”と呼ばれています。子供の間はがんの成長が早いのですが、大人になると成長が止まり、一生悪さをしないことが多いからです。 しかし、福島で甲状腺検査を始めるまで、小児甲状腺がんが確認されること自体極めて稀で、そうした事実がまだわかっていなかった。甲状腺がんの診療ガイドラインは大人の症例を対象に作成されているため、子供でもがんがある程度のサイズになっていれば手術適応になってしまいます。大人に対する治療を子供に無理に当てはめたため、過剰診断が起きていると考えられます」 小児甲状腺がんは子供の頃に大きくなるが、そのまま大きくなり続けることは少ないという。甲状腺疾患専門の隈病院(神戸市)の宮内昭名誉院長が2019年1月に発表した論文では、成人を含むデータだが、甲状腺がんの手術をせずに約10年間、経過観察を続けると、患者の57%はがんの大きさが変わらず、17%は逆に小さくなったとしている。【後編に続く】◆取材・文/清水典之(フリーライター)

国際情報

住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
北朝鮮で発生した「急性腸内性感染症」 浄化不十分な水でのうがいが原因か
 北朝鮮は南西部の黄海南道海州市などで「急性腸内性感染症」が発生していると発表した。新型コロナウイルス感染予防のためのうがいなどが原因ではないかとの指摘が出ている。韓国情報機関の国家情報院は昨年10月、新型コロナウイルスに加えて、北朝鮮で水系感染症が広がっていると国会情報委員会に報告しており、専門家は両者の感染は相互に関連しているとの見方を明らかにしている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮の関係者はRFAに対して「政府は新型コロナウイルスの感染予防のため、民間療法による対処法を宣伝している。一例として塩水に柳の葉を入れて煎じたものを飲むことを例に挙げていたが、市民は『そんなやり方で効果があるのか』と疑問視している」と明らかにしている。 韓国の国家情報院によると、北朝鮮では上下水道の施設が整っておらず、腸チフスなど先進国ではまれな病気で、毎年相当数が亡くなっているという。 急性腸内性感染症は通常、汚染された食物や水を摂取することで発症する。下痢や発熱、けいれんなどの症状が出る腸の病気で、腸チフス、赤痢、コレラなどの感染症を指し、放っておくと命にかかわることもある。 北朝鮮当局は新型コロナウイルス対策として塩水でのうがいを推奨している。しかし、ある医療関係者はRFAに対して、「新型コロナウイルス感染予防のため、十分に浄化されていない水でうがいなどすれば、病原菌が体内に入り、腸チフスなどの急性腸内感染症を発症する可能性は否定できない」と指摘している。 韓国政府は先月、新型コロナウイルス感染者の発生を発表した北朝鮮に「防疫協力」を提案したが、北朝鮮当局はこれに応じていない。 金正恩・朝鮮労働党総書記は「急性腸内性感染症が疑われる人を隔離し、感染経路を徹底的に遮断するよう」指示するとともに、金正恩夫妻が自身の常備薬を2回に分けて住民に送ったという。新型コロナウイルスにより防疫が強化されているなか、新たな感染症が広がったことで、住民の不安や不満を鎮めようとの狙いがあるとみられる。

芸能

立ち回りの動きに合わせられるというのは並大抵のことではないという
大河ドラマの合戦シーンに登場する馬 複雑な動きをどう指示しているのか
 大河ドラマなど、歴史もので合戦シーンは大きな魅力だ。戦場を多くの馬たちが駆け巡るが、よく考えると、これだけ多くの馬たちが一斉に、しかも戦術や陣形に応じて自在に動き、立ち回りの動きに合わせられるというのは並大抵のことではない。いかにして、その動きは作られるのだろうか。映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、現在放送中の『鎌倉殿の13人』も含め、多くの映像作品で馬術指導を担当してきたラングラーランチの田中光法氏に聞く。──合戦シーンでは馬に求める動きも複雑になりますよね。どう指示されているのでしょうか。田中:役者さんを乗せる前に、必ずうちのスタッフが乗っています。殺陣には立ち回りの「型」がありますよね。まずこの人が襲ってきて、次に刀をこっちへ払って──というような。それと全く同じです。 こう突っ込んでいき、そうしたら次にこちらから人が襲ってきて、次にあちらの人が刀を振りかざしてくる──ということを、うちのスタッフが乗って、ゆっくりその動きをやり、馬に覚えさせます。 人間でも、歩いている時にいきなり槍を出されたら驚きますよね。でも、事前にその動きをゆっくり体験しておけば「ああ、こちらからこの人が来るんだな」「あちらから刀を振ってくるんだな」ということは馬も覚えられる。だから、驚かなくなる。「段取り通りね」という感じで、馬がそれを覚えているわけです。「この速度で走っていくんだよ」「ここへ来たら止まるんだよ」というのも、一、二回のテストで馬に覚えさせます。それができるのが役馬なんです。そうすると、あとは役者さんを乗せて「よーい、スタート!」で手を離してあげれば、言われた通りに走って、言われた通りに止まることができるわけです。──合戦シーンでは一頭だけでなく、何頭も同時に動きますよね。そのタイミングはどう合わせているのでしょうか。田中:エキストラ馬に関しては、本番もうちのスタッフが乗っているので、全て役馬の動きに合わせることができます。──動ける馬をそれだけ揃えるのも大変ですよね。田中:ハリウッドでは「主役専用の馬」というのがいます。でも、日本は役馬の数が少ないので、一頭の馬がさまざまな役割を演じています。役馬がエキストラをやることもありますし、一頭の馬で何人もの役者さんを乗せています。──シーンが違えば、味方と敵方で同じ馬が出てくることもあるわけですね。田中:そういう時はバレないように、馬の毛色を変えるなど、「メイク」をしているんですよ。──えっ、馬にもメイクを!?田中:たとえば今の大河で主役を乗せている「バンカー」という役馬は白い毛筋が鼻のところにあるのですが、その面積を半分にしたり広げたり、星形にしたり。一頭の馬で何役もこなすので、そういう工夫をしています。──それから、役者さんが馬上でセリフを言う際、馬が勝手に動いてしまうと画面のフレームから外れたり、観ている側もセリフに集中できなかったりしますよね。あの間、ピタッと止まっているのも凄いことだと思います。田中:馬をじっとさせることって意外と難しいんですよね。しかも、それまで動いていたのに、次はずっと止まっていないといけないわけですから。そういうときは馬の頭の中を一回クリアにさせてあげないといけません。それを五分から十分ほどでできる技術を僕らは持っています。「この馬、今日は調子悪いので、一回クラブに連れ帰って、明日また改めて来ます」ということなら、大体の乗馬クラブにもできると思うんです。でも、現場で演出家の要求に合わせて、その場でがらりと馬の調子を変える調教方法は他ではできないでしょう。そうしたノウハウは、やっぱり何十年と時間をかけてこないと難しいと思います。【プロフィール】田中光法(たなか・みつのり)/1967年生まれ、東京都出身。ラングラーランチ代表。4歳のときに家族で山梨県小淵沢に移住。NHK大河ドラマ『葵 徳川三代』『武田信玄』『真田丸』や現在放送中の『鎌倉殿の13人』まで数々の映像作品で馬術指導を担当。【聞き手・文】春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。撮影/藤岡雅樹※週刊ポスト2022年7月1日号

スポーツ

4Aに挑戦し続ける羽生結弦選手の今後はどうなる
羽生結弦、事実上の現役続行宣言「芸術性も技術も」不利なルール変更に挑む覚悟
「事実上の現役続行宣言とみていいでしょう」。フィギュアスケート関係者がこう判断する根拠は、6月18日に放送されたスポーツニュース番組『S-PARK』(フジテレビ系)での羽生結弦(27才)の言葉だった。番組のインタビューを受けた羽生は、「ファンタジー・オン・アイス(FaOI)幕張公演で演技に込めたことは?」の質問に、こう答えたのだ。「まだ4A(4回転半ジャンプ)いろいろ工夫できるなっていうのは、ちょっと思っているんですよね。やっぱり北京五輪で注射打ちながらだったからこそ、火事場の馬鹿力みたいなものが、恐怖感のないアクセルが跳べたっていう状況の中で学べたことがかなりあるんですね。 その学べたことをもっと使っていきたいなと思いますし、4Aに向けては日々挑戦していきたいなっていう気持ちは強くあります。絶対降りたいなって思ってますね、もちろん皆さんが見ている前で、降りたいなって気持ちが強くあります」 北京五輪では4Aについて「やり切った」とし、これまで幾度となく引退の可能性が報じられてきた羽生だったが、ここにきて本人の口から前向きな発言が飛び出したのだ。スポーツジャーナリストの野口美惠さんは、「進退の決断は、日々変化していると思います」とした上で、羽生の発言についてこう語る。「4Aを降りる才能と可能性を持っている選手なので、“もう一度やってみよう”という気持ちが、北京五輪から4か月たって改めて出てきたのかな、と受け止めています。五輪はどうしても期待を背負ってしまいますが、いまは純粋に自分の理想に専念できる。『皆さんが見ている前で降りたい』という言葉に期待が高まりますね」 多くの関係者が羽生が競技を続ける覚悟を持っていると感じたのは、同番組で「究極のスケートとは何か」という問いに対し、こう答えたこともあったからだろう。「やっぱり芸術性は大事だと思うんです。(中略)ジャンプという点に関しても、もっともっと練習して、やっぱいまの羽生結弦がいちばんうまいなって、技術的にもいまがいちばんうまいなって思ってもらえるように、常に努力し続けたいなって思います」 この背景には、6月6〜10日に行われた国際スケート連盟(ISU)の総会で、芸術性の軽視とも捉えられかねないルール変更が可決されたことがある。表現力を評価する「演技構成点」が、これまでの5項目から3項目に減らされたのだ。「減らされた2項目は、羽生選手の持ち味である『技と技のつなぎ』『曲の解釈』で、この変更は羽生選手にとって今後不利になるのではないかと物議を醸しています。そんな中、羽生選手が『芸術性も技術も』と、このルール変更にも挑むような発言をしたことは一種の宣戦布告のようにも感じました」(スポーツ紙記者) アメリカの報道によるとISUは6月30日にGPシリーズのアサイン(出場選手の割り振り)を発表する。「もし羽生選手が現役続行となった場合でも、GPシリーズに出場せずに12月の全日本選手権に出場する可能性もあります。名前がないからと言って必ずしも引退というわけではないのです」(野口さん) 羽生にとって、再び「挑戦」の一年が始まろうとしている。※女性セブン2022年7月7・14日号

グラビア

ボブカットにヘアチェンジした吉澤遥奈
吉澤遥奈・20歳 あどけない顔立ちと超絶ボディのギャップが日本を席巻中
 2019年にミスヤングマガジン賞を受賞後、各誌で活躍する吉澤遥奈を撮りおろした。3月に20歳を迎え、ロングから一新、ボブカットにヘアチェンジし、頭身バランスの美しさが際立つ。「髪の毛を切ったことで、私服に大きな変化がありました! 今までとは違うかっこいい感じにも挑戦しています。それとお風呂上がりに髪を乾かすのがすごく楽になりました(笑)。 私はサウナが大好きで、ファンクラブの名前も『サウナクラブ』なんです。いつかサウナ30か所に行きたいです! お仕事では芝居をしてみたいと考えています。20代の今しかできないキラキラした役柄や、ラブストーリーにも挑戦してみたいです」 フレッシュさ溢れる彼女の多方面での活躍が楽しみだ。【プロフィール】吉澤遥奈(よしざわ・はるな)/2002年3月20日生まれ、愛知県出身。身長165cm、B86・W56・H86。オスカープロモーション所属。グラビアミス・コンテスト『ミスマガジン2019』(講談社)でミスヤングマガジン賞を受賞、グラビア各誌で活躍する。最新情報はTwitter:@no13haruna、Instagram:@_haru.0320☆次世代スターの圧倒的肢体が堪能できるデジタル写真集『吉澤遥奈 ボブカットに恋して』は6月24日(金)に各電子書店にて発売。撮影/桑島智輝※週刊ポスト2022年7月1日号

ビジネス

店主と客の温かい交流と旨いつまみが評判の老舗
「料理も背中も大きくて温かい」と店主を慕う客で賑わう横浜・反町の角打ち
 横浜駅の隣、東急東横線・反町(たんまち)駅から徒歩7分、通り沿いに建ち並ぶマンションの狭間で、昔懐かしい昭和の情緒を醸す『三國屋酒店』。 印象的なレトロな木枠の引き戸を開くと、木目調の壁に貼られた和服美人の古いポスターやたくさんの著名人のサイン色紙が目に飛び込んでくる。店の奥では、“みっちゃん”と愛称で呼ばれ、客に慕われる3代目店主の岩瀬光重(みつのり)さん(49歳)がせっせと料理を仕込んでいる。「昭和9年に祖父が酒屋を始めて以来、店先で細々と角打ちはやっていたんですが、25年前、親父から店を継いだときからもっと本格的に角打ちをやっていこうと決めました。 料理は、うちから酒を仕入れてくれる居酒屋さんで教えてもらいました。原価を抑えて旨い味に仕上げるのがプロの料理人だって、さんざん教え込まれましてね、やり始めたら楽しくなっちゃって、メニューの数がどんどん増えていきました」(店主)「穏やかで、食いしん坊のみっちゃんが作る料理はどれもおいしいの。大きな背中がクマさんみたいで癒されます」(30代)。「焼きうどんだとか、特大鮭カマとか、温かい料理はいつも大盛りで絶品ですよ」(50代)。 店主は、市場を巡って、その日の掘り出し物をみつけてくるという。 今日の目玉は特大鮭カマ。焼き始めると、脂がのった鮭の香ばしい匂いがふわりと店内に漂い、食欲をそそる。「この鮭は、私たち常連が『海賊』と呼んでいる漁師も認める絶品。なかなかほかで味わえないわよ」(50代)と、ふっくら焼きあがった鮭カマをつまみに、客らは陽気に酒を傾ける。「庶民的で温かい店ですよ。私は昔プロレスをやっていたんだけど、初めて来たときから胃袋を鷲掴みにされました。出会いがしらにパワースラム(投げ技)、じわじわサソリ固めを決められた感じ(笑い)。 後楽園ホールで引退試合をしたとき、みっちゃんはサプライズゲストとして駆けつけてくれたんです。リングの上で花束贈呈してくれて、あれは嬉しかったですね。 現役を退いた今も柔術の道場で汗流して、帰りにここで一杯飲むのはたまらなく幸せな時間ですよ」(元女子プロレスラー・40代)「初めてこの店を訪れたとき、祖父母の家のような匂いがして引き込まれました。なんだか落ち着くんですよね。毎晩仕事帰りにここに寄って一杯やって、夫と待ち合わせて家に帰るのが日常です」(書道講師、30代)。「お母さんの代から長年通っているけど、私が体調を崩したときにはお母さんが作った煮物をみっちゃん(店主)が届けてくれたこともありました。店先で繰り広げるちょっとした親子喧嘩も見てきたから、なんだか親戚の家みたいな感覚で、居心地がいい店なんです。 みっちゃんには、色々人生相談にも乗ってもらってますよ。余計なことは言わない優しさがある。『誰が何と言おうと、自分が決めたことならいいんじゃない』なんて、背中を押してもらったこともありました」(看護師、50代)「角打ちをやっていると、これまでの自分の人生には関係なかった人たちとのご縁に恵まれます。プロレスラーや習字の先生など、いろんな世界の人に出会えるのが嬉しいね」と店主。「お客さんとは、1994年から草野球チーム『横浜バローズ』を結成していて、僕は監督をしているんです。毎年、夏に三國屋野球大会も開催しています。いつか横浜スタジアムで試合をしてみたいという夢があったのですが、結成から10年越しで、ついに叶いました」と語る店主に「あとは嫁さんだけだね」(50代)と馴染みの客が突っ込み、笑い合う。 明るい笑顔と温もり溢れる店で人気の酒は『焼酎ハイボール』。「爽快な辛口が好み。先代から受け継がれた名物ぬか漬けをあてに、さぁ、もう1杯!」2022年5月9日取材■三國屋酒店【住所】神奈川県横浜市神奈川区広台太田町5−2【電話番号】045-323-3802【営業時間】17~23時(ラストオーダー22時)、日曜定休 焼酎ハイボール280円、ビール大びん430円、特大鮭カマ塩焼600円、ホワイトアスパラガス500円、お新香(ぬか漬け)250円※営業時間等に関しては、店舗にお問い合わせください。

ライフ

『希望の教室』著・ジェーン・グドール、ダグラス・エイブラムス/訳・岩田佳代子
【書評】『希望の教室』未来を生きる若者に必要なロールモデル
【書評】『希望の教室』/ジェーン・グドール、ダグラス・エイブラムス 著岩田佳代子・訳/海と月社/1760円【評者】香山リカ(精神科医) ジェーン・グドール。今年88歳になった女性動物学者だ。アフリカでの研究生活が長く、チンパンジーとすごす姿は何度もテレビのドキュメンタリーなどで紹介されている。本書はコロナが猛威を振るう中、人間と動物、環境、地球を守るためにグドール博士が発した言葉で構成されている。 そう聞くと、「立派な人だな。でも私には無縁だ」と思う人が多いのではないだろうか。でも、本当にそれでいいのか。「貧困をなくそう」「政治家らの汚職を一掃しよう」「環境問題に目を向けよう」というグドール博士の主張は一見、実現不能な理想論のようだが、コロナ禍に続きウクライナ侵攻が勃発したいま、私たちが再び立ち返るべきはこういった理想論、正論なのではないだろうか。 アフリカの森林で女性が野生動物の研究を行う、という想像するだけで困難がいっぱいの人生を楽しそうに生き抜いてきたグドール博士は、インタビューにこたえて希望にあふれたポジティブな言葉を口にし続ける。「わたしたちは状況を好転させられる。わたしは心底そう信じている」「他者を助けることは、自分自身の癒しにもプラスにもなるのよ」「不屈の精神力自体は、いつだってみんなの中にある。でも、何も起こらないうちは、なかなか呼び起こされないのよ」。 そしてグドール博士は、未来を生きる若者に必要なのは、愛情とお手本としての生き方を示すロールモデルだという。たしかに「この人のように生きてみたい」という具体的な人間を見つけることができれば、若者は生きる希望を抱きながら進むことができる。もし、あなたにまだ進路を決めていない子どもや孫がいるならば、本書をそっとわたしてみてはどうだろう。人を信じ自然を信じ、前向きに歩み続けてきたグドール博士ほどのロールモデルはないからだ。 きれいごとじゃ、世の中、変わらないよ。そうつぶやくのにもそろそろ飽きた人にこそ、ぜひ開いてもらいたい一冊だ。あふれる“正論”に心が洗われることだろう。※週刊ポスト2022年7月1日号

コラム

【日本株週間見通し】今週はもみ合いか 企業業績の悪化に対する警戒感も
【日本株週間見通し】今週はもみ合いか 企業業績の悪化に対する警戒感も
 投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月20日~6月24日の動きを振り返りつつ、6月27日~7月1日の相場見通しを解説する。 * * * 先週の日経平均は週間で528.97円高(+2.04%)と反発。“二進一退”といった形で週間では戻りを試す展開となった。終値では13週、26週など主要な移動平均線を下回ったままの状態となった。 週明けの日経平均は191.78円安と続落。前の週に急落していたこともあり、自律反発狙いの買いが先行したが、世界的な利上げ加速や景気後退入りへの懸念が重荷にとなり、急失速、一時25520.23円まで下落する場面があった。しかし、21日には475.09円高と大幅に反発。為替の円安進行に加えて、時間外取引の米株価指数先物が全般大きく上昇しているなか、連日の急落に伴う値ごろ感からの買い戻しが続いた。22日は96.76円安と小幅反落。一時26500円を窺う水準まで上昇したが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を控えるなか、様子見ムードが広がった。 23日は21.70円高と小幅反発。パウエル議長の上院での議会証言を無難に通過したことで安心感から買いが先行したが、この日も26500円目前まで上昇した後に急失速した。しかし、週末は320.72円高と大幅続伸。パウエル議長は下院での議会証言で、インフレ抑制に「無条件」で取り組む意欲を示し、経済指標の悪化と相まって景気後退懸念が強まった。ただ、米10年債利回りが3%割れ目前の水準まで大きく低下し、前日のナスダック総合指数が大幅高となるなかハイテク・グロース(成長)株を中心に買い戻しが先行。資源関連株や景気敏感株の下げをカバーして、指数を押し上げた。 今週の東京株式市場はもみ合いか。当局による積極的な金融引き締めが景気後退(リセッション)を招くとのオーバーキルへの懸念が加速しており、企業業績の悪化に対する警戒感もくすぶる中、景気敏感株を中心に上値の重い展開が続きそうだ。 先週のパウエル議長の議会証言は、景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を最優先にする非常にタカ派的な姿勢と捉えられ、積極的な引き締めがリセッションを招くとの警戒感が一段と強まっている。リセッションを織り込む動きが加速するなか、将来の景気動向などを映す米10年債利回りは23日に3.08%と、6月14日に付けた高値3.48%から大幅に低下。また、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も、リセッションに伴うインフレ減速を織り込む動きから、同日に2.50%まで低下し、4月21日の最高値3.02%からの下落率は大きなものとなっている。 こうした中、S&P500種指数の構成企業を対象とした12カ月先予想一株当たり利益(EPS)は5月末時点で年初から6%以上も上昇しており、アナリストによる企業業績悪化の織り込みはまだ進んでいない。4-6月期決算が発表される7月中旬以降に業績予想の下方修正が増えることが想定され、米国市場を中心にリセッション・企業業績悪化を織り込む動きが続きそうだ。 一方、ようやく新型コロナ前の水準にまで戻したに過ぎない米国株と比べて、日本株については、株価バリュエーションは既にヒストリカルで見て相当低いところまで低下している。グローバルな景気敏感株とされる日本株が、世界の株式市場の下落の余波を完全に免れることはできないだろうが、下落余地は米国株に比べて限定的だろう。 ここに来てにわかに動意づいているのがグロ-ス(成長)株だ。先週末の東京市場ではマザーズ指数が急伸し、東証プライム市場でもグロ-ス株が久々に強い動きを見せた。リセッションを急速に織り込む傍ら、FRBが想定よりも早い段階で利上げの打ち止め、再緩和への転換を強いられるのではないかと捉える向きが増えていると推察される。 金利の急伸が止まり、低下基調にあることは相場にとってポジティブにも捉えられるが、リセッションを反映した金利低下であることを踏まえれば、手放しで喜ぶことはできない。また、直近の高官発言から、FRBは7月以降も0.75ptの大幅利上げを続ける可能性が高まっている。さらに、6月から始まった量的引き締め(QT)は9月からは2倍のスピードに加速する。 数十年ぶりの大幅利上げの連続実施に加えて、過去にない急速なペースで進めるQTという異例の組み合わせによる引き締め策の進行を踏まえると、グロ-ス株の本格復調を期待するのはまだ気が早いだろう。 当面はインフレ懸念とリセッション懸念の間を行ったり来たりする不安定な相場が想定され、物色動向も定まりにくいと考える。グロ-ス株の上値を追うのも一策だが、小まめな利益確定が必要だろう。足元急速に値を崩している資源関連株や防衛関連株も、それまでの株価上昇の背景にあったストーリーが完全に崩れ去ったわけではないため、売りが一巡した後、再び脚光を浴びる可能性がある。大きく上昇したら利確、大きく下げたところは押し目買いなど、逆張り戦略が奏功しやすい環境と考える。 今週、国内では小売やサービスなど内需系企業の3-5月期決算の発表が始まる。原材料費の高騰や円安進行を背景に厳しい内容が想定されるが、あく抜け感が高まるかなどに注目したい。また、海外では米国で物価関連の指標や半導体大手マイクロン・テクノロジーの決算が発表される。中国では6月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定で、海外市場の動向にも注目したい。 今週は27日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」(6月16~17日開催分)、米5月耐久財受注、28日に米4月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米6月消費者信頼感指数、29日に5月商業動態統計、米1-3月期GDP確報値、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議、30日に5月鉱工業生産、5月住宅着工統計、中国6月製造業/非製造業PMI、米5月個人所得・個人支出、マイクロン・テクノロジー決算、7月1日に5月失業率、5月有効求人倍率、6月都区部消費者物価指数、中国6月財新製造業PMI、米6月ISM製造業景気指数などが発表予定。