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トヨタ社長発言「日本で完全自動運転の実現は難しい」の意味

自動運転のレベルが上がると道交法の改正が必須に(撮影:近藤篤)

 日進月歩の進化を遂げる車の「自動運転」技術。そのレベルアップに不可欠なのが、道路交通法の改正だ。なぜなら、現行の法制度では、公道を走る自動車は「人間が運転者として乗車し、制御すること」が前提になっているからだ。

 人間のドライバーがハンドルを握ることなしに車が運転を制御したり、ドライバー不在の無人の自動運転車が存在することを道交法は想定していないため、現時点ではハンドルから手を離してスマホを操作したり、許可なく公道で無人の車を走らせたりすることは道交法違反になる。

手離し運転は、65秒で自動運転が手動に切り替わる

 おそらくは世の中に「自動運転」の言葉を認知させたであろう日産「リーフ」のCMでも、矢沢永吉が「自動運転、もうすぐそこに来てる」とハンドルから手を離して腕組みするシーンの下には、「許可を得た場所での実験映像です。真似をしないでください」とテロップが流れる。

 事実、国土交通省は、2017年10月の段階で、高速道路を自動走行する際、15秒以上手離しで運転すると運転席に警報を表示し、そのまま手離し運転を続けると50秒後に自動運転のシステムが停止して手動に切り替わるプログラムの搭載を自動車メーカーに義務付けている(2019年10月以降に発売される新型車を対象)。

 もちろん、2020年のレベル3をはじめ、完全自動運転に向けたレベルアップは国の政策であるから、道交法を管轄する警察庁も、車の安全基準を策定する国土交通省も、今後随時、法改正や基準の見直しを迫られることにはなるだろうが、慎重な姿勢を崩していない。

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