• TOP
  • コラム
  • 新安倍政権で「年金受給開始を70才に遅らせる」計画が本格化

コラム

2018.09.26 15:00  マネーポストWEB

新安倍政権で「年金受給開始を70才に遅らせる」計画が本格化

年金受給額はどんどんカットされていく(写真:時事通信フォト)


 安倍晋三首相(63才)が3選し、安倍首相とともに歩む「これからの3年」で私たちの生活は大きく変わることになる。老後の虎の子資金である年金も大きく姿を変えそうだ。

 高度経済成長がスタートした1955年は現役世代11.5人で高齢者1人を支えたが、現在は現役世代2.2人で高齢者1人を支える。超高齢化社会が進めば、年金の財政が逼迫するのは避けられない。そのため、政府がまず目指すのは受給額のカットだ。

「すでに安倍政権は受給額を自動的に減らす『マクロ経済スライド』という制度を強化し、年金支給額の抑制を目指しています。これは物価や賃金だけでなく、年金の支え手である現役世代の減少や、平均余命が延びることなどを反映させる仕組みのことです」(生活経済ジャーナリストのあんびるえつこさん)

 2015年の発動時には標準的な夫婦2人の世帯で年間約2万5000円ほどカットされた。来年以降、1~2%ずつじわじわと減らされる可能性が高い。

 さらに、2021年4月から始まる年金の新ルールでは、物価か現役世代の平均賃金のどちらかが低下したら、年金支給額が引き下げられるうえ、物価と賃金のどちらもマイナスの場合、マイナス幅が大きい方に合わせて年金を減らされる。

 さらに政府がもくろむ究極の年金抑制方法が「受給開始年齢の引き上げ」だ。

「現在の65才の年金受給開始年齢を段階的に引き上げ、国の支出を抑える狙いです。この先、政府は高齢者にできるだけ長く働いてもらい、最終的には70才での受給開始を目指すはずです」(あんびるさん)

◆受給開始年齢を70才を超えても選べる制度

 70才受給に向けた布石はすでに着々と打たれている。

「たとえば、“年金受給者には不要”として64才までしか加入できなかった『雇用保険』が、昨年1月から65才以降でも加入できるようになりました。また年金受給者が働いた場合、収入によって年金が減額される『在職老齢年金』も、高齢者の勤労意欲を損なうとして廃止が検討されています」(あんびるさん)

 ニッセイ基礎研究所シニアエコノミストの上野剛志さんが続けて言う。

「政府は、現在65才まで義務付けられている『企業の継続雇用』を引き上げることを検討しています。これも年金受給開始の引き上げに向けた準備でしょう」

 70才受給は、“65才で年金がもらえる”と信じて一生懸命働いた人々にムチ打つ制度だ。あんびるさんは、「しわ寄せを最初に受けるのは弱い立場の人々」と指摘する。

「“とにかく高齢者に働いてもらう”という安倍首相の方針は、元気で働く場所がある人には恩恵がありますが、体が弱かったり、仕事がなかったりといった人には向いていません」(あんびるさん)

 安倍首相は総裁選の討論会で、自分の意思で受給開始時期を遅らせる「繰り下げ受給」に関しても、新たな方針を示した。これは原則65才からスタートする年金受給を60~70才の間で選べる制度で、1年遅らせると、受給額は8.4%増える。

 現行では70才までしか遅らせることができなかったのが、70才を超えても選択できる仕組みづくりを3年で断行するとした。

 しかし実態は66才以降に遅らせているのは全受給者の中の1%ほど。ニーズの有無は定かではない。

 シニアだけでなく、現役世代に与える影響も大きい。

「企業の継続雇用を70才まで義務付ければ、総人件費を抑えるため現役社員の給料が上がりにくくなりそうです」(上野さん)

 厳しい状況で私たちに求められるのは自己防衛だ。

「これまでのように年金だけを頼りにした老後生活は難しくなります。現役のうちから老後に備えて、なるべく働いて蓄えを増やすことが大事です」(あんびるさん)

※女性セブン2018年10月4日号

関連記事

トピックス