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2018.11.30 07:00  マネーポストWEB

日産のクーデター劇 過去のセブン&アイ、三越と何が違うのか

日産の“クーデター劇”が過去のものと比べて異質な点とは(AFP=時事)


 絶対的な権力者──日産自動車のカルロス・ゴーン容疑者(元会長・64)は、社内でそう形容するしかない地位を築いていた。その不正を暴くことを決めた経営陣の覚悟は、並大抵のものではなかった。失敗すれば85年の歴史を持つ日産の存続さえ危うくなる。

「クーデターではない」と西川廣人社長(65)は会見で強調したが、大企業の絶対的権力者が突然追放されたケースは、日本経済の歴史において何度かあった。

「創業一族の社長ではなく、実力を認められた“プロ経営者”が逐われたという意味で似ているのは、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文・前会長のケースではないでしょうか」(『経済界』編集局長の関慎夫氏)

 鈴木氏は、1973年に日本初のコンビニエンスストア「セブン-イレブン」を立ち上げ、セブン&アイ・ホールディングスを日本最大の物流グループにまで押し上げた。

 ところが2016年4月に人事を巡って権力構造の変化が起きる。鈴木氏は当時セブン-イレブン社長だった井阪隆一氏を退任させる人事案を提出したが、取締役会で否決され、その日の午後には自らの辞任を発表した。

「鈴木さんは次男を役員に登用するなどワンマン経営が目立ち、創業オーナー家である伊藤家(伊藤雅俊・名誉会長)との対立が取り沙汰されるようになっていた。井阪社長解任案がその決定打になった」(同前)

 本誌・週刊ポスト取材(2016年4月29日号)に鈴木氏は「創業家とゴタゴタするようなことになれば、経営者として話にならないと思った」と辞任の理由を語っている。

 会社の私物化疑惑が浮上したという点では、30年以上前に三越(現・三越伊勢丹)で起きたケースと似ている。

「三越の天皇」と呼ばれた岡田茂社長は1982年9月、愛人の会社に仕事を発注するなど会社を私物化していると問題視され、取締役会で電撃解任された。掌握していた取締役たちの“謀反”を前にした岡田氏が発した「なぜだ!」の言葉は当時流行語にもなった。

「岡田氏は新入社員からの叩き上げで、実はこの3社とも創業家を追い出したわけではない。だから企業の骨格そのものが変わることはなく、三越にしてもセブンにしても、同じビジネスモデルで集団指導体制に移行しただけ。良くも悪くも業績に影響はありませんでした」(同前)

 一方で、日産のクーデターがこれまでのものと比べて異質なのは“公権力の手を借りた”ことだろう。

「クーデターが起きてからトップが逮捕されるケースはこれまでもありましたが、司法取引制度という新たな手法が使われたことにより、今回はトップの逮捕からクーデターが始まった。これは初のケースではないでしょうか」(同前)

 だからこそ、この先の行方も容易に見通せない。

※週刊ポスト2018年12月7日号

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