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「仕事付き高齢者住宅プロジェクト」、稼ぐ喜びと責任が入居者の活力に

真剣な表情で収穫作業をする入居者

真剣な表情で収穫作業をする入居者

 介護付き有料老人ホームに住みながら、農作業などで“働く”という試みが行われている。伸こう福祉会が運営する介護付き有料老人ホーム・クロスハート湘南台二番館など2施設では、2017年から「仕事付き高齢者住宅プロジェクト」事業を行っている。この“仕事”は、ケアのためのアクティビティーではなく、少額ながら報酬もある。

 仕事の1つが農作業だ。施設から車で5分ほどの場所にあるビニールハウス『クロスハートファーム』でルッコラやフリルアイス(レタス)などの葉野菜を育てている。参加者は2施設合わせて約150人の入居者のうち、希望した75~98才の15人。年齢や介護度などによる制約はないという。

 仕事付き高齢者住宅プロジェクトは、経済産業省「健康寿命延伸産業創出推進事業」に採択されている事業。主に農作業による効果測定では、仕事をした人のコミュニケーションが量、内容ともに向上。活気のスコアが高くなった。この試みを実践している社会福祉法人伸こう福祉会理事長の足立聖子さんが語る。

「老人ホームなどの施設は、安心で快適な半面、どうしても受け身になります。まだまだお元気でできることがあっても、する必要に迫られず、会話も少なくなりがち。それが仕事をされたかたがたははつらつとし、ご自分から話しかけて話題を提供したり、アイディアを出したり、明らかに自主的になられました。『今日は芽が出たね』『明日の天気が心配だ』と話題も豊かに。精神的に大きな影響があることがわかります」

 仕事が高齢の入居者たちの心に与えたものが垣間見えるエピソードがある。

「このプロジェクトはまだ仕事の種類も少なく、報酬も農作業で1回300円ほど。講師などいろいろな仕事を積極的に引き受けた人でも、半年弱で5000円くらい。でもこの仕事の報酬を貯めるために金融機関に口座を開いたかたもおられるのです。少しずつでも貯めて、家族やお世話になった人に何かを買ってあげたいと、うれしそうに言っておられます」(足立さん、以下「」同)

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