• TOP
  • コラム
  • 森永卓郎氏 年金削減時代「夫婦13万円」で暮らすにはトカイナカへの移住を

コラム

2019.07.20 15:00  マネーポストWEB

森永卓郎氏 年金削減時代「夫婦13万円」で暮らすにはトカイナカへの移住を

大都市圏の郊外にある「トカイナカ」に住むという選択肢

 金融庁の「老後資金2000万円不足」報告書で、多くの人たちが老後生活に不安を抱いているが、今後は年金の給付水準がさらに削減されることが確実視されている。そうした中でどうやって老後の生活を維持していけばよいのだろうか。経済アナリストの森永卓郎氏が、年金削減時代の生活防衛術を指南する。

 * * *
 近い将来、公定年金の給付水準は今より大きくカットされるのは間違いない。年金制度を維持するためには給付水準の4割カットが必要になり、現在夫婦で月21万円の年金をもらっているモデル世帯でいうと、月13万円まで減ってしまうことになるだろう。

 そうした未来が確実に待ち受けているなかで、どう生活していけばいいのか。老後生活で肝心なのは、収入の範囲内で暮らすことだ。たとえ年金が夫婦で月13万円にまで減ってしまったとしても、その範囲で暮らすことを考えればいいのだ。生活を徹底的にリストラし、月13万円の年金だけで暮らせる技を習得すれば、何とか暮らしていくことは可能だ。

 もちろん、大都市に住んでいたら年金だけで生活するのは100%不可能だろう。だが、家計で最も大きな支出となる住居費は、都心から離れて郊外に住めば劇的に安くすることが可能だ。現役時代なら職住近接が必要かもしれないが、リタイア後ならその必要はなくなる。

 過疎地域のような田舎に住めば、家がタダ同然の値段で手に入るので、選択肢の一つにはなる。だが、田舎は人間関係が濃すぎるのでついていけない人が多く、物価も高くなる。たとえば、水道料金は地自体によって7倍の格差が見られ、料金の高い自治体には北海道や東北の市町村が多い。

 それに対して、郊外の市町村は総じて安い。ある程度の人口密度がないと、水道料金は割高になる。物価も同様で、人口密度の少ない地域は店舗間の価格競争原理が働かないので高くなり、競争の激しい郊外は安くなるのだ。

 そこで私が一番勧めたいのは、老後は都会と田舎の中間、私がいうところの“トカイナカ”で暮らすことだ。東京中心にいえば、都心から50~100km圏の圏央道周辺の都市。具体的には、海老名、八王子、入間、久喜、つくば、茂原といった地域である。

 トカイナカは、家賃が都心に比べて3分の1くらい安い。家を買うにしても、今は高齢者が郊外の自宅を売って都心のマンションに移り住むのがトレンドになっているため、驚くほど激安状態となっている。

 物価も都心に比べて3割は安い。庭が広めの家を買えば、庭で野菜が作れる。40平米ぐらいの庭があれば、夫婦で食べる分の野菜くらいは十分に自給が可能だ。トカイナカは人間関係も適度な距離感で、都会に出るにも時間はさほどかからない。

 そうした大都市圏の郊外だけでなく、地方の県庁所在地など中核都市に住む選択もいいだろう。たとえば、群馬県の県庁所在地である前橋市には、坪単価10万円程度と破格の値段で土地が買えるところもある。しかも、物価も安い。そうした暮らしを選択すれば、それほど生活費は必要なくなる。

 60歳を過ぎても都心居住にこだわり、今までの暮らしを守るためにやりたくもない仕事を我慢して続けるよりも、発想を変えて家計のリストラを実践すれば、たとえ老後資金がゼロでも楽しく暮らすことは可能なのだ。

 年金が大きくカットされるのが確実ななか、そうした暮らしの構造転換ができるかどうかが、老後の幸せを大きく左右することになるのだろう。

関連記事

トピックス