• TOP
  • コラム
  • キャッシュレスでポイント還元、QRコード各社の「お得なサービス」徹底比較

コラム

2019.10.01 16:00  マネーポストWEB

キャッシュレスでポイント還元、QRコード各社の「お得なサービス」徹底比較

「ポイント還元」時代のQRコード各社のお得サービスは?

 消費増税に伴い「キャッシュレス・ポイント還元事業」もスタートした。還元上限額は各社で異なるが、「QRコード決済」に注目するのは『お金のミライは僕たちが決める』(星海社新書)著者の我妻弘崇氏だ。同氏が、キャッシュレス決済のメリットと各QRコード決済サービスの提供する「お得なサービス」の違いについて解説する。

 * * *
 国による今回の還元事業は、消費意欲後退に歯止めをかけるべく、2020年6月30日までに限り、中小・小規模事業者に対してキャッシュレス手段を行った際に、2%または5%のポイントを還元する施策だ。中小・小規模事業者というのは、平たく言えば中小規模の食料品や衣料品などを扱う「小売業」、同規模の飲食業や宿泊業、理容・美容業などの「サービス業」などのこと。これらは基本的に5%のポイント還元となり、コンビニエンスストアをはじめとしたフランチャイズチェーン店舗、ガソリンスタンドは2%還元となる。相殺どころか、5%のポイント還元がある店舗でキャッシュレス決済を行えば、増税分以上に還元されるというわけだ。

 では、何がキャッシュレス決済に該当するのか?

 クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)、QRコードなど、一般的な購買に繰り返し利用できる電子的な決済手段が対象となっている。これらの非現金決済を行う際、請求時にポイント還元分が値引きされるか、後日ポイント還元分が付与される。「キャッシュレス・ポイント還元事業」の概要は、以上のような仕組みとなる。

 とりわけ注目すべきは、昨今CM等により存在感を増しているQRコード決済だろう。

 経済産業省「平成29年特定サービス産業実態調査報告書」によれば、国内のクレジットカードの加盟店数は、629万9710店とされている。クレジットカードが国内に誕生したのは1961年。その3年後(1964年)の東京オリンピックに来日する外国人観光客を見据えた施策の一環とも言われ、その後、約60年にわたって加盟店を増やし続けてきた。

 ところが、だ。次の数字は主なスマホ決済の利用可能な利用店舗数である。LINE Pay:90万か所、PayPay:100万か所、Origami Pay:145万か所(2019年末予定)、メルペイ:135万か所、楽天ペイ:約300万か所――。LINE Payのサービスイン(開始日)こそ2014年12月だが、コード決済が浸透し始めたのは、“キャッシュレス元年”と呼ばれる2018年から。クレジットカードの普及率と一概に比べることはできないが、わずか1年余りでこれだけ利用店舗が急増しているのは特筆に値する。間違いなく、QRコード決済はキャッシュレスを牽引する大きな存在となっている。

 急速に広く浸透した背景には、PayPayの「100億円キャンペーン」や、LINE Payの「全員にあげちゃう300億円祭」といった規格外のキャンペーンがあった。それだけに10月から開始される「キャッシュレス・ポイント還元事業」でも、各QRコード決済サービスが、どのような“仕掛け”をするのか気になる人は多いだろう。

 LINE Pay取締役COOの長福久弘氏は、「“利便性”“安心性”などキャッシュレスのメリットは多岐にわたりますが、まずはポイント付与など分かりやすい“利得性”をきっかけにキャッシュレスに関心を抱く人が増えることが大事。『キャッシュレス・ポイント還元事業』は、非現金決済のメリットを体感する場になるのでは」と言う。

 増税分を相殺するだけでなく、場合によってはまるで減税のような体験につながる。一度メリットを享受してしまうと、もう現金決済に戻れなくなる人も出てくるだろう。事実、コード決済の利得性は極めて高く、注目しておいて損はない。

 以下、「キャッシュレス・ポイント還元事業」に紐づく形で発表されている、主な各コード決済のサービス内容を紹介しよう(※9月25日時点)。

【LINE Pay】
 2020年6月30日までの期間中、最大7%のポイント還元(キャッシュレス・消費者還元制度によるLINE Payボーナス付与5%または2%+LINE Pay「マイカラー」〈前月の決済総額に応じて変わる〉によるLINE Payボーナス付与0.5%~2%)。さらに、10月18日~10月31日までは、スーパーとドラッグストアの加盟店を対象に5%または10%を上乗せするキャンペーンを開催。期間中1000円相当の上限まで還元される。

【PayPay】
 10月1日~11月30日まで、「まちかどペイペイ」を実施。5%還元対象店舗でPayPay(※PayPay残高またはヤフーカードで決済した場合)を利用すると、最大5%のポイントが上乗せ。合計で最大10%のポイントが還元される。ただし、1回当たりのポイント付与額の上限は1000円相当まで。また、抽選企画「PayPayチャンス」の当選金額と当選確率は変更され、25回に1回の確率で最大100円相当、100回に1回の確率で最大1000円相当のポイントが当たるように。

【Origami Pay】
 10月1日~1月31日まで、「いつでもその場で3%OFF」キャンペーンを開始。金融機関口座との連携による支払いの場合、別途3%を割引する形になるので、最大8%還元される。後日付与ではなく、決済時の精算代金から還元料率分の金額が即時に還元されることが特徴。また、10月中(31日まで)に Origami で初めて支払いをした利用者の中から、抽選で1000人に50%OFFクーポン(上限500円)をプレゼントする「Origamiでキャッシュレスデビューを応援」キャンペーンも同時開催。

【楽天ペイ】
 2020年6月30日までの期間中、還元対象外の店舗、フランチャイズチェーンなど2%還元対象店舗においても、楽天ペイが一部差額分を補?し「楽天ポイント」を合計5%還元。つまり、「楽天ペイ(アプリ決済)」を導入している全店舗において、楽天スーパーポイントが5%還元される形となる。ただし、事前にユーザーがポイントを受け取るにはエントリーが必要となり、エントリー期間は2019年9月12日~12月2日までとなっている。

◆“選択のパラドックス”には注意を

 これらに加えて、定期的にキャンペーンを打ち出すメルペイや d払いも控えている。「キャッシュレス・ポイント還元事業」に伴うサービスの詳細こそ明らかになってはいないが、何かしらのキャンペーンを打ち出すことは想像に難しくない。利得性という観点から見ても、コード決済を利用するメリットは多分にあるだろう。

 一方で、“選択のパラドックス”という言葉がある。選択肢がないことは不幸だ。そのため増えることは歓迎すべきことだが、増えすぎると再び不幸になってしまう――。電力自由化のときもそうだったが、選択肢が多すぎるとかえって二の足を踏み、結果、何もしない(できない)という選択をしてしまう。急速にキャッシュレス熱が高まるあまり、ついていけなかったり、「何が一番お得なの?」と考え過ぎてしまう人は少なくない。

「難しく考えなくていい」。それが筆者の答えだ。いたるところで電子決済が行えるようになりつつある今、かつての陸マイラーのようにマイルやポイント獲得のためにお得になる店舗を奔走し、「よっしゃ~ッ! お得にマイルゲット! 次の土日は倍になるからあそこまで遠出して買い物しよっかな!」なんて労力を費やす必要はない。

 日常の買い物を、公共料金の支払いを電子決済にするだけで、それなりに貯まる時代が到来したのだ。躍起になって貯めなくても、普通に暮らしていれば貯まる。だからこそ、今現在自分が使っていて最もしっくりくる決済サービスを使えばいい。最も興味のあるものを、まずは選んでみればいい。ストレスを感じないことがポイントだ。

 QRコード決済各事業者について「競合ではなく、キャッシュレスを浸透させていく共闘する存在」とは、前出・長福COOの言葉だ。たしかに各社激しいキャンペーン合戦を繰り広げているが、キャッシュレスの利点は利得性だけで終わらない。長福COOは次のように語った。

「ポイントやボーナス目的でコード決済を導入した人が、使い続けていく先に『なんで今まで現金で支払っていたのだろう?』と気が付く瞬間がある。そのとき、はじめてどのサービスが自分に向いているのか考えてもらえたらいいですね。キャッシュレスには、現金とは異なるライフスタイルやオペレーションがあります。『キャッシュレス・ポイント還元事業』が終了したとき、そういう議論が盛り上がっていると、我々もうれしいです」

 友人や同僚とコミュニケーションを取りながら送金も行えるLINE Pay、ポイントを追求したいのであれば楽天ペイ、メルカリのハードユーザーであればメルペイというように、キャッシュレスは現金では得られないユーザーエクスペリエンス(UX)を提供できることも大きな魅力となる。

 会計やレジ締めなどは、人のリソースを割いてしまうため、人手不足に悩む外食産業にとって悩みの種となっている。キャッシュレスが浸透すれば、人的リソースの効率化など、さまざまな場面に変化をもたらすことが予想される。「キャッシュレス・ポイント還元事業」が、どこまで利用者の意識を変えるかも、大きな見どころだろう。

 経産省は対象店舗を検索するためのマップ(https://map.cashless.go.jp/search)も公開している。店舗のカテゴリー、2%なのか5%なのかが分かる還元率、電子決済手段別に検索がかけられるので、ご覧いただくと分かりやすいだろう。このマップを見るだけで、どういった業種が対象となり、自分の生活範囲においてどの店舗が還元対象なのかが一目瞭然だ。眺めているだけでも、「ここは対象内なのか」という具合に、なかなか面白いものがある。“おトク”であることも大事だが、“おトクの先にあるもの”も見据えて、「キャッシュレス・ポイント還元事業」期間を体験してみてはどうだろう。

◆文/我妻弘崇(ライター)

関連記事

トピックス