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2019.11.27 07:00  マネーポストWEB

欠陥マンションの惨状 雨漏りで部屋にキノコ、駐車場水没…

雨が降ると地下駐車場は「水深1m近くのプールのようになる」という(大津京ステーションプレイス)

 10月12日に東日本を直撃した台風19号は各地に甚大な被害をもたらした。内陸部でも「住みたい街」ランキング常連の神奈川・武蔵小杉が水害に見舞われ、47階建てのタワーマンションでは地下に設置された配電設備に水が流れ込み、停電や断水で住民の生活に大きな支障を及ぼした。1週間近くエレベーターが停止したほか、トイレが使えなくなるという事態に陥ったのである。

 その直後、住民の70代男性は憔悴しきった表情でこう話していた。

「30階より上の自宅まで階段で30分以上かかる。終の棲家にしようと思っていたが、こんなリスクがあるなんて話が違う……」

 最先端の建築技術の粋を集めて建てられるタワマンだけに、落胆も大きい。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が指摘する。

「タワマンは免震・制震に優れ、地震には強い。だが今回のケースは、水害で配電設備がダメージを受けたため電気系統がやられてしまった。通常、タワマンの配電設備は地下を含めて最下階に設けられている。ほぼすべてのタワマンに共通する構造的欠点なのです」

 また、地震の際にも思わぬダメージを受けることがあると榊氏は指摘する。

「東日本大震災で液状化現象が起きた千葉県浦安市では、地中に設置されている上下水道管が損傷。周辺のマンションでもトイレが使用不可となり、市が設置した仮設トイレは長蛇の列。2時間待ちになったこともありました」

 総戸数が大きく、住人の多いタワマンだけに、ひとたび被災すれば想定外の混乱を招きかねないのだ。

◆雨が降ると警報が鳴る

 一般的にタワマンは「高さ60mを超える20階建て以上の超高層集合住宅」を指すが、法的な定義はない。低層の高級マンションが住宅地に造られるのに対し、タワマンやそれに準ずる規模の高層マンションは、駅や商業施設を含む街の再開発の一環として建設されるケースが多い。眺望やステータスだけではなく、日常生活でも至便性が高いため、子育て世代を含む幅広い層から人気を誇る。

 だが、買い手が予想もしなかったトラブルに見舞われるケースがある。2009年に完成した滋賀県大津市の「大津京ステーションプレイス」(14階建て、全108戸)もその一つだ。

「とにかく雨が降ると大変な騒ぎです。火災報知器が誤作動して深夜早朝かまわずサイレンが鳴り響き、おちおち寝てもいられない。漏電の恐れがあるからと、エレベーターも停止してしまうため、階段の昇り降りが大変で……。敷地内の立体駐車場も浸水したため使えず、近所の平置き駐車場を借りています」

 やりきれない表情でそう語るのは、新築当初からこのマンションの高層階に住んでいる男性だ。

 京都駅から最寄り駅までJR新快速で約10分、琵琶湖にほど近い同マンションの付近には、大規模商業施設や大きな公園もあり、通勤・通学だけでなく子育てにも適した人気マンションとなるはずだった。

 だが、新築マンションでの生活に胸を膨らませて入居した早々、通常では考えられない“欠陥”が次々と明らかになっていった。同マンションの施主で売主の不動産会社「大覚」の山下覚史社長が訴える。

「このマンションは当社が事業主となり、南海電鉄グループの南海辰村建設に施工を依頼して分譲しました。しかし、完成してみると設計とは全く違う、問題だらけの工事になっていた。屋上の防水処理が不完全なため、最上階の部屋は雨漏りを起こし、湿気のせいで室内はカビやキノコまで生える始末。とても人が住める状況ではありませんでした」

 それ以外にも多くの問題が生じたという。山下社長が続ける。

「地下駐車場はコンクリートのひび割れから地下水が入り込み、水深1m近くのプールのようになって使えない。また、6600ボルトの高圧変電設備の上に排水管を配置するという、常識ではありえない作りになっていたのです。変電設備のすぐ隣はキッズスペースですが、万一漏水した場合、感電の危険もある」

 同マンションは大覚が事業主となり、南海電鉄グループの南海辰村建設に施工を依頼して分譲したものだ。大覚側は、調査で発覚した1000か所以上に及ぶ瑕疵の是正を求めたが、施工した南海辰村建設は「瑕疵はない」と主張。両者の争いは2010年に法廷へ持ち込まれ、いまも係争は続いている。

※週刊ポスト2019年12月6日号

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