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2019.12.01 07:00  マネーポストWEB

家の蔵書数と学歴の相関 10冊以下の人の大学進学率は23.1%

家に本が多くあると学歴も高くなりやすい(15才時点の家庭の蔵書数と学歴別の割合・男女計)

 どんなに本人が努力しようにも、結局は自分が生まれた「地域」や「家庭」によって人生は大きく左右されてしまう。そういわれてしまうと身もフタもない残酷な話だが、最新の研究データはそうした傾向を如実に示している。

 社会学者などのグループによって行われた最新の大規模社会調査(SSM調査、2015年)によると、地方よりも、都市部に高学歴者が多いことがわかったのだ。

 また、教育格差は「親の学歴」や「親の収入」にも左右される。同調査によると、「父親の学歴」と子供の学歴の関連の強さは明白に表れている。大卒の父親の息子は、20代では8割近くが大卒だが、その一方で、非大卒の父親の息子が大学を卒業するのは4割にも満たない。これは娘の場合でも同様の傾向が見られる。

「読書は心の栄養」という言葉があるように、家庭の蔵書数が多ければ、小さい頃からの読書習慣が学歴にも結びつくというデータもある。

 20~39才を対象に、「15才の頃に家にあった蔵書数」と「大学進学率」の関係について、『アンダークラス──新たな下層階級の出現』(ちくま新書)の著者で早稲田大学人間科学学術院教授の橋本健二さんが分析している。そのデータによると、家に10冊以下しか本がなかった人の大学進学率は23.1%。対照的に501冊以上あった人は76.4%も進学していた。

「本をたくさん読む親は高学歴で収入も高い傾向にあり、経済力があれば本もたくさん買えます。家に本があれば、子供に読み聞かせたり、本を読む親を見て子供にも読書の習慣がつき、子供の進学率も上がるというわけです」(橋本さん)

 本と同様、習い事など子供にさまざまな経験をさせることも大いに関係する。両親の学歴別に子供の習い事の割合を比較したところ、これも、両親が非大卒の場合と、大卒の場合とでは大きな差があった。『教育格差──階層・地域・学歴』(ちくま新書)の著者で、教育社会学者の早稲田大学准教授・松岡亮二さんが話す。

「習い事や通塾は、親以外の知らない大人と接したり、課題に向けて努力する経験を積む機会になります。親の意向やお金がないと、そうした学校外での経験蓄積は難しい」

 お金がないことが、心理的な面からも貧困につながる場合もある。『上級国民/下級国民』(小学館新書)の著者で作家の橘玲さんが話す。

「シングルマザーを対象に、【1】生活保護を受けている世帯、【2】生活保護を受けずに何とか働いて暮らす世帯、【3】別れた夫から養育手当を受けている世帯の3つを調べたところ、最も子供の学習成績がよかったのが【3】で、最も悪かったのが【1】でした。

 教育格差の原因が単にお金のあるなしなら、なぜこんな差が生じるのか。それは、『自尊心』の問題です。受け取る金額が同じでも、養育手当は誰からも批判されないのに対し、生活保護の受給者は“社会のお荷物”というレッテルを貼られます。それが子供の自尊心にも影響し、自分で自分の可能性を狭めてしまうのではないかと考えられています」

 日本財団の調査によると、生活保護世帯の子供と、経済的に困窮していない世帯の子供では、学力に大きな差がつくことがわかった。両者の偏差値を比較したところ、10才頃から生活保護世帯の子供の偏差値が低下し始め、その後も学力差は縮まることなく固定化した。

 本人の意志が及ばない親の学歴、収入による影響は、こんなにも大きいのだ。

※女性セブン2019年12月5・12日号

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