• TOP
  • コラム
  • 殺伐としたコロナ社会で心温まる出来事も 40代女性のマスク物語

コラム

2020.03.20 15:00  マネーポストWEB

殺伐としたコロナ社会で心温まる出来事も 40代女性のマスク物語

マスクは全国どこでも入手困難になっているが…(写真:時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、「マスクの転売」「トイレットペーパーの買い占め」など、人々の利己的な行動が全国的に報じられているが、人の優しさは失われたわけではない。生活に密着する地方紙ならではの、思わずほっこりするエピソードを紹介しよう。

 埼玉県ふじみ野市に住む女性会社員Sさん(42)は、3月初旬の早朝、路上で見知らぬ中年男性に話しかけられた。

「午前5時半頃、マスクを購入するためにドラッグストアの前に1人で並んでいたら、ふらりと男性が現われました。

 少し遠くでタバコを吸いながらこちらを見ていたのですが、近づいてきて『この店で何かイベントでもあるんですか』と声をかけられたのです」(Sさん)

 ひどい花粉症でマスクがないと外出できないこと、どこにも売っておらず困っていること、何としても手に入れたいので開店前から並んでいること……Sさんが事情を説明すると、男性は「大変ですね」と言い、その場を立ち去ったという。

「ところが40分ほどして男性が戻ってきて、『これ、少ないですけどどうぞ』とビニール袋を手渡されました。

 私は反射的に『ありがとうございます』と受け取ったのですが、男性はそのまま行ってしまいました」(Sさん)

 家に帰って袋を開けると、未使用のマスクが6枚入っていた。

「あの男性は事情を説明した私を心配してマスクを持ってきてくれたのだから、感謝して使っているということをきちんと伝えたいと思ったのです。私の体験を多くの人に知ってもらいたいとも思い、ふじみ野市役所にこの話をメールで投稿しました」

 それを受けた市役所からの情報提供で、3月4日、埼玉新聞にこのエピソードが掲載された。

「もらった6枚のうち最後の1枚はマスクケースに入れて、お守りとして鞄にずっと入れています」(Sさん)

※週刊ポスト2020年3月27日号

関連記事

トピックス