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2020.04.05 16:00  マネーポストWEB

親の年金で在宅介護を続けた56歳男性の誤算、遺産トラブルに

家族間のトラブルはなぜ起こったか(イメージ)

 人生の最期をどこで、どう迎えるか──「人生100年時代」において、その問いはより切実なものとなっている。QOL(生活の質)を重視する価値観が広まる中、注目が高まっているのが在宅介護・在宅医療だ。

 愛着のある自宅で人生を締めくくることを望む人が増えた。しかし、ひとつ間違えると理想とは程遠い“悲劇”を招いてしまうことも。経験者たちの失敗例から学べることは──。

「うちは蓄えが少ないから、介護施設は利用せずに自宅で頑張ろうとした。それが失敗の始まりでした……」

 そう語るのは、東北地方在住のA氏(自営業・56)。5年前に母親が76歳にして認知症を発症し、要介護認定を受けた。当初は軽い症状だったが、1年後には外出先で頻繁に迷子になるほど進行した。

 それでも食事や排泄などは他人の手を借りずにこなせるため、要介護度は2以上にはならなかった。比較的安く利用できる特別養護老人ホームは、原則的に要介護3以上でないと入居できないが、費用がかさむ民間の老人ホームに入れる経済的余裕はなかった。

 A氏は介護費用を抑えるため、働きながらの在宅介護を選んだ。母の了承を得たうえで、介護にかかるお金を母親の年金と貯金から捻出した。

 A氏の母親は1年ほど前、季節性の肺炎をこじらせて亡くなったが、トラブルはこのとき持ち上がった。A氏が言う。

「弟が『施設に入れなかったのは、母さんの年金を使い込むためだったんだろう』と言い出したのです。もちろん必要なお金しか使っていませんが、領収書を細かく管理していたわけではなく、決定的な証拠を出せずに遺産を巡る兄弟喧嘩になってしまった」

 離れた場所に住む家族が事後に不満をぶつけてくる例は少なくない。家族問題に詳しいファイナンシャルプランナーの岩田美貴氏が語る。

「同居している実子が親の貯金を使ったとしても刑事的な罪には問われませんが、家族間のトラブルは起こり得る。

 それを避けるためには、ご本人が元気なうちに家族会議を開き、年金や貯金、有価証券、加入している保険などを把握することが大切です。そのうえで、離れて暮らす家族にも日々の様子を定期的に知らせ、介護のためにどんなお金が必要になったかを共有しておくとトラブルを防ぎやすい」

※週刊ポスト2020年4月3日号

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