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コロナ危機でFRBがジャンク債を購入 懸念されるリスクは?

FRBのジェローム・パウエル議長(写真:Getty Images)

FRBのジェローム・パウエル議長(写真:Getty Images)

 新型コロナウイルスによる経済危機を乗り越えようと、世界各国の中央銀行が様々な対策を講じているが、はたして市場にどのような影響を与えるのだろうか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。

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 世界の中央銀行や政府が様々な景気刺激策を行なっている中、FRB(米連邦準備制度理事会)がジャンク債の買い入れ、またECB(欧州中央銀行)は銀行融資に一部ジャンク債を担保として受け入れることを表明しています。ジャンク債とは債務不履行(デフォルト)リスクが比較的高い債券を指します。デフォルトリスクが高いと、利回りは高くなるため、債券の中でもジャンク債はハイリスク・ハイリターンの商品といえます。

 こうした債券のリスク・リターンは「格付け」からも判断できます。格付けはS&Pやムーディーズといった債券・有価証券の安全性を評価する機関により、トリプルAやシングルBなどアルファベットでランク付けがされ、一般的にジャンク債は格付けがダブルB(BB)以下のものを指します。

 ただし、中央銀行がジャンク債を保有することについては、いくつかの懸念が残ります。

 第一に中央銀行がジャンク債を買い入れることで、本来のリスクが評価されずに債券価格や利回りが変動する可能性が考えられます。中央銀行がジャンク級の社債を保有したからといって、その企業の業績が急回復するというわけではありません。また、中央銀行が保有するジャンク債がドミノ倒しのようにデフォルトとなれば、その損失は中央銀行が被ることになるのです。

 加えて、中央銀行のジャンク債購入を見越して、元々信用リスクが大きな企業が新たに債券を発行するようなケースも考えられます。そうなった場合、デフォルトリスクはさらに高まり、中央銀行にとっても大きなダメージが生じるでしょう。

 もちろん中央銀行もそうしたリスクをわかっており、まずは市場に大量の資金を供給し、金融市場をストップさせないことを最優先にしています。しかし、こうした量的緩和が過剰になれば、今度はハイパーインフレの懸念も浮上します。

 新型コロナウイルスの影響が落ち着けば、アメリカ経済は立ち直るという見通しのもと、こうした施策を実行しているのでしょうが、リーマン・ショック時を振り返ると、クラッシュが最初に訪れるマーケットは信用リスクの高い金融商品からでした。そうした意味でも、債券市場は特に注視しておいたほうがいいでしょう。

 過去の経済危機の原因をしっかりと頭に入れ相場予想を行えば、投資判断の精度向上に繋がります。私のトレードはテクニカル分析をメインに行いますが、こうした知識も取引に大きく役立っています。

【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/

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