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コラム

2020.08.01 13:00  マネーポストWEB

横浜市「ディズニー級テーマパーク」計画に立ちはだかる交通課題の数々

ここがテーマパークになるのはいつの日か(上瀬谷通信施設跡地)

 神奈川県横浜市に、東京ディズニーランド級のテーマパーク構想が持ち上がり、大きな話題となっている。候補地は横浜市瀬谷区の米軍跡地。東京ドーム52個分という広大な土地は、米軍の通信施設があった場所で、横浜市や相鉄ホールディングスが検討に乗り出しているが、計画を実現するためには、乗り越えなくてはいけない様々な課題が存在する。首都圏の交通事情に詳しいライターの金子則男氏が解説する。

【写真】沿道は整備されていないのか、かなり緑が荒れている印象も

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 計画候補地として浮上した上瀬谷通信施設跡地は、東名高速の横浜町田インターチェンジからすぐ近く。候補地の真ん中を一直線に貫く海軍道路は、花見の名所として知られており、桜の季節は多くの花見客で賑わいます。都心からのアクセスは、渋谷から横浜町田インターチェンジが約30分ですから、十分に日帰り移動圏内。インターチェンジを降りれば、候補地はもう目と鼻先です。

 しかし、「将来的に年間1500万人が訪れるまちづくり」(7月20日付、朝日新聞より)というのが本気なら、綿密な道路計画が必要です。

 候補地付近は、東名高速、国道16号、246号、467号、中原街道、環状4号など、重要な幹線道路が集まっており、とりわけ横浜町田インターチェンジ付近は、首都圏でも屈指の渋滞スポットとして有名だった場所。悲願だった立体交差が完成して、状況は改善しましたが、圧倒的な交通量は相変わらずで、付近にテーマパークが完成すれば、これまで積み上げられてきた渋滞解消の試みはゼロからやり直しです。

 海軍道路は片側1車線。現在でも生活道路として多くのドライバーに利用されており、パーク開園となれば、拡幅工事も必要になります。しかし上述の通り、桜の名所になっているため、拡幅するなら桜を移動したり、切ったりする必要が出てきます。ここにも批判の声が上がるのは必至でしょう。

◆鉄道を使うにしても微妙なアクセス

 そうなると頼りは鉄道でのアクセスですが、これまた微妙です。候補地の現在の最寄り駅である瀬谷駅(相鉄)からはかなり距離があり、仮に最も瀬谷駅寄りにパークの入口が出来たとしても、たっぷり20分は歩きます。そのため、瀬谷駅から新交通システムを建設するプランですが、玄関口となる瀬谷というのが、非常に微妙な場所にある駅。例えば渋谷から瀬谷に向かう場合、路線検索をすると、

・渋谷~(東急東横線)~横浜~(相鉄)~瀬谷
・渋谷~(湘南新宿ライン)~横浜~(相鉄)~瀬谷
・渋谷~(相鉄新横浜線)~瀬谷
・渋谷~(東急田園都市線)~中央林間~(小田急線)~大和~(相鉄)~瀬谷
・渋谷~(京王井の頭線)~下北沢~(小田急線)~大和~(相鉄)~瀬谷

と、いくつもの候補が登場しますし、新宿から向かう際も、湘南新宿ライン経由、小田急経由、相鉄新横浜線経由と、複数のルートが登場します。「どれに乗っても面倒くさい」という印象は否めないでしょう。近隣には、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅、小田急の大和駅もありますが、相鉄のプロジェクトの集客に、東急や小田急が協力してくれるかどうかはまた別問題です。

 候補地では2027年に国際園芸博覧会の開催が計画されており、開発が進むのは既定路線のようです。相鉄は、首都圏の大手鉄道会社の中でも観光資源に乏しく、沿線のめぼしい観光スポットは、横浜駅周辺を除けば、動物園の『ズーラシア』ぐらい。昨年11月にJRとの乗り入れが始まり、攻勢をしかける相鉄にとって、テーマパーク建設は悲願ですが、乗り越えなくてはいけない問題は多く、事業を共に進める横浜市の舵取りが重要になってきそうです。

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