コラム

空き家をリノベした「セーフティーネット住宅」、高齢者の住まいの選択肢に

「セーフティーネット住宅」には費用面以外のメリットも(写真は「共生ハウス西池袋」)

 高齢者の住まい選びは重要な問題である。介護スタッフが常駐する老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、比較的知られた選択肢だ。一方で、いまは制度として位置づけられていないが確かなニーズがあり、ジャンルとしても確立しつつある高齢者の“もう1つの住まい方”がある。

【写真】インターネット環境も整備されており、家具や家電が一式揃っている「セーフティーネット住宅」の個室

 個人用の居室と共同生活空間で構成される住宅で、高齢者同士が助け合いながら暮らす「グループリビング」などはその代表格だろう。他にも、視野を広げればさまざまある。「もうひとつの住まい方推進協議会」代表理事の小林秀樹さんに聞いた。

「高齢者の住まいを考えるとき、【介護】【経済】【情緒(生きがい)】の3つの要素が重要です。いま多くの高齢者の選択肢は自宅か介護施設。自宅は独居になれば不安が大きく不経済。施設は、介護は重視されるが介護事業者が運営しているので生活は受け身。空きがある民間施設は費用も高い。選択肢がこれだけでは将来が不安になります。

 そこでもう1つの選択肢。同じような立場、考えの人が集まって暮らすグループリビングは、介護保険サービスを使えば【介護】と【情緒】(安心)が。さらに発展形として、たとえば独居の広い一戸建てに4~5人が共生すればかなり安上がり【経済】で、三拍子揃います。グループリビングは制度の枠を先取りしている住まい。いずれは福祉支援制度の中に位置づけられることを期待しています」

◆空き家利用のセーフティーネット住宅で弱者に光

 東京都豊島区内の空き家をセーフティーネット住宅として活用する「一般社団法人コミュニティネットワーク協会」が、築35年の4LDK一戸建て住宅をフルリノベーションし、多世代共生型のシェアハウスとしてよみがえらせた。4世帯が入居できる。

 セーフティーネット住宅は住まい確保が困難な人を救う狙いで2017年に国土交通省がスタートした住宅制度で、高齢者や障がい者、生活困窮者などの入居を拒まない専用住宅だ。豊島区民で一定の条件を満たせば、家賃(1室7万8000~7万9000円)が5万円減額(※豊島区家賃低廉化補助3万円+同協会基金2万円)になる。

 「シェアハウスにしたことで家賃を抑え、セーフティーネットの機能も果たしていますが、共に暮らし支え合うスタイルはグループリビングと同じ方向性ですね。運営方法によってはグループリビングのメリットも享受できる住宅になると期待できます」

 よく見回せば最期まで自分らしく暮らすための住まいづくりの試みは、地元でも展開されているかもしれない。視野を広げてみよう。

取材・文/斉藤直子

※女性セブン2020年12月3日号

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