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2021.04.22 07:00  マネーポストWEB

生活保護経験者のリアル 受給開始後のつらい日々と出直せたきっかけ

人生のピンチで生活保護はどう役立った?(イラスト/あきばさやか)

 コロナ不況で生活が困窮している人たちが増えている。そうした人たちの最後のセーフティーネットとなるのが「生活保護」だが、実際に生活保護を利用すると、どんな生活を送ることになるのだろうか。文筆家・漫画家の小林エリコさんが生活保護を受けたのは、自殺未遂で実家に戻ったのち、再びひとり暮らしを始めた30才の頃だという。

【表】いくら給付される? 生活保護費「支給額」の算出例

「当時は精神科のクリニックに通っていたのですが、その病院にいたソーシャルワーカーのかたに『仕事もなく、実家からの仕送りも途絶えることになり、収入が障害年金だけになってしまう』と相談したところ、生活保護をすすめられました。

 生活保護の申請時には、預貯金や所持金の合計が、1か月分の生活保護費未満でないといけないため、「受給が始まると、なかなか買えなくなる電化製品を、受給前に買っておくといいよ」とすすめられ、テレビとブルーレイレコーダーを買いました。後で、もっと生活に必要な冷蔵庫にしておけばよかったと、少し後悔しましたが(笑い)。その後、所持金が5万円以下になったところで、申請に行きました」(小林さん・以下同)

 小林さんの場合は、そのソーシャルワーカーに同行してもらったため、申請自体はスムーズにできたという。

「私は障害者でもあるため、申請を出しやすかったかもしれません。ただ、預貯金のチェックや扶養照会などの手続きがあり、その後、1週間は何度も市役所に通いました。よく問題になる扶養照会では、私の場合も親やきょうだいに連絡がいきましたが、家族から『扶養できない』という回答がきたため、問題なく申請できました」

◆ボランティアとして働き始め、状況は変化

 こうして始まった生活保護の受給額は、月12万円ほど。そこから障害年金の6万5000円が引かれ、その差額が生活費としてもらえることとなる。ところが、ここからがつらい日々の始まりだったと小林さんは言う。

「担当のケースワーカーさんからは人権侵害まがいの暴言を吐かれ、生活保護課では書類を投げつけられました。こんなことが日常茶飯事なんです。一気に人間じゃなくなった感じがしましたね。まだ30代で、このまま一生、生活保護を受けるのは嫌だと思っていたので、社会復帰をするために、相談にものってほしかったのですが、結局、何もしてもらえませんでした。本当に、この頃がいちばんつらい時期でした。働けないし、何より人とのかかわりが途絶えることが怖かった。朝起きて行くところがない、友達とも会えない、とにかく孤独でしたね」

 そんなとき、通院しているクリニックで精神保健福祉関連のNPOが出している冊子を見つけ、そこでボランティアとして働き始め、パートになることで状況は変わっていく。

「生活保護は3年くらい受けていました。金欠で、食材は野菜と鶏胸肉中心でしたが、時間だけはあり、料理の腕が上がったことはよかったですね。また、生活保護は医療費がかからないので、うつ病で精神科に通院している身としてはありがたかったです。受給中に入院をしましたが、その際もお金はかかりませんでした。

 問題はいろいろありましたが、いま思えば生活保護には助けられました。その期間は何もできませんでしたが、前向きに、お休みの期間と思えたことで、私はやり直すことができたと思います。人生のピンチに生活保護を使うことをためらわず、活用してほしいですね」

【プロフィール】
小林エリコ(こばやし・えりこ)/文筆家・漫画家。1977年生まれ。漫画雑誌の編集に携わるも自殺未遂で退職、のちに精神障害者手帳を取得する。現在はNPOで働きながら作家として活動。著書に『この地獄を生きるのだ』(イースト・プレス)がある。

※女性セブン2021年4月29日号

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