コラム

「サステナブルファッションは財布に優しくない」環境問題に目覚めた20代女性のジレンマ

環境に配慮した消費行動を始めようとしたら…(イメージ)

 環境問題へのアプローチが多様化する昨今。食料品や衣料品、家電や住宅など日常の様々な場面で「エシカル(倫理的な)」や「サステナブル(持続可能性のある)」といったフレーズが飛び交い、地球環境や人々になるべく負荷をかけない消費行動やライフスタイルが呼びかけられている。とはいえ、環境問題を意識した行動には、金銭的な負担がついてまわる側面もある。この問題を考える具体例として、大好きなファッションを通じて環境問題を考え始めたという20代女性に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。

 * * *
 埼玉県在住のアルバイト、ユキさん(仮名、28歳)は、環境問題に目を向けるようになったことで、ファッションに対する意識が変わっていったそうだ。

「私はファストファッションが大好きで良く購入していましたが、それが環境に大きな影響を及ぼす可能性があることを知りませんでした。その流れでサステナブルファッションを知り、理解を深めるようになったんです」(ユキさん、以下同)

 サステナブルファッションとは何か。そもそもファッション産業は、製造時のエネルギー使用量や製品のライフサイクルの短さから「環境負荷が大きい」と指摘され、国際的な課題のひとつとなっている。そうした業界全体の課題に対し、サステナブルファッションは〈衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮〉する取り組みだという(環境省ホームページより)。

 消費者ができる取り組みとしては、持っている服を長く着ることや、服のシェアリングサービスやレンタルサービスを利用することなどが挙げられる。着古した服を修繕したり、捨てるのではなく人にあげたり古着屋に売ったりする「リユース」もその一つだ。また、供給側の取り組みについては国際認証制度が複数あり、それらのマークが付いた商品を選んで購入することも、消費者がサステナブルファッションに取り組むことにつながる。

「サステナブルファッションの製品を取り扱うサイトを覗いてみると、1着5000円はしていました。私がいつも購入する服は1着1000〜2000円程度なので、3倍近い金額です。買いたい気持ちはあるものの、アルバイトの収入が低いので、今の私には手が届きませんでした……」

 とはいえ、ユキさんの毎月の被服費は3万円ほどかかっている。購入する枚数を抑えればサステナブルファッションを購入できるはずだが、服の枚数を減らせない事情があるという。

「流行に敏感な女性が多いアクセサリーショップで働いているんです。仕事中は私服なので、いつも同じ洋服を着ていくのには抵抗があります。同僚に『また同じ洋服着てる』なんて言われたら嫌ですからね。その職場に馴染むためには、むしろファストファッションの新作を何着も持っているほうがいいんです。でも、環境のことを考えると、私の行動は褒められたものではないことも分かっています……」

母は最初は褒めてくれたが…

 サステナブルファッションのお墨付きが付いた製品を購入し続けるには金銭的な問題があるため、すぐには実践できないと判断したユキさんは、今すぐにできる環境問題への取り組みを始めたそうだ。

「エコバッグの持参、使い捨てスプーンやストローはできるだけ貰わないなどを意識するようになりました。移動にはできるだけ自転車を使い、車に乗る機会も減らしました。私の取り組みを知った同居の母は褒めてくれましたが、『そもそも服をたくさん買うのを控えればもっといいのにね。お給料のいい仕事、早く見つけなさい』と、言い出したんです。そこから私に対する愚痴や説教が始まりました」

 体力面に不安のあるユキさんは、シフトに融通の利くアルバイトを選んで働いてきた。月10万円程度の稼ぎで、実家には毎月5000円を生活費として入れているそうだ。ユキさんとしても、もっと収入の良い仕事をしたい思いはあるものの、「そんなに簡単に待遇のいい仕事は見つかりませんよ」と消極的だった。

「私の行動では微力かもしれませんが、環境問題に取り組んでいる自分が好きでした。でも、金銭的な事情からサステナブルファッション(製品の購入)には手が出ません。母が言うように給料の良い仕事に就ければ解決する問題かもしれませんが、私には荷が重いです。良かれと思って始めた環境問題解決の取り組みが、母に説教をされるという、思わぬ形で裏目に出るとは思いませんでした……」

 ユキさんのように、「購入する洋服をサステナブルファッションに切り替えていきたいけれども金銭的な事情から難しい」ケースは多いだろう。だが、自分ができることから取り組むだけでも素晴らしい事ではないだろうか。

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