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128歳の祖父? 戸籍上は生きている“所在不明高齢者”による相続トラブル

死亡届が出ていない「所在不明高齢者」の存在が相続手続きを厄介なものにする(イメージ)

死亡届が出ていない「所在不明高齢者」の存在が相続手続きを厄介なものにする(イメージ)

 大阪府に住む79歳の女性Aさんは、他に身寄りがなくて世話をしていた母方の叔母の死後、遺産相続にあたり、会ったこともない「128歳の祖父」の存在に翻弄されることになったという。Aさんの夫であるBさん(81歳)が、本誌・週刊ポストの取材に応じてこう話す。

「家内の叔母には子供がいませんでした。高齢になったので自宅を引き払い、私たちの家に住所を置いて、施設に入ることになったんです。その時点で叔母は弁護士を入れて遺言書を残しました。自分の銀行預金を家内と(家内の)弟が相続するという内容のものです」

 遺言書を準備したことにより、叔母が亡くなればスムーズに遺産相続が進むはずだった。しかし、叔母よりも先にAさんの弟が亡くなってしまう。

「その時に叔母が遺言書を修正して、家内にだけ相続させるとしていれば何も問題がなかったのですが……」(Bさん)

 書き直しをしないまま、その後、2020年5月に叔母が亡くなると、思わぬ事実が発覚する。

「弁護士から連絡があって、叔母の父、つまり家内から見て祖父にあたる男性の“死亡届が出ていない”というのです。祖父母はずっと昔に離婚していたそうで、家内は祖父に会ったこともなければ、名前さえ知らない人でした」(Bさん)

 戸籍上は死亡していないその男性は明治25年(1892年)生まれ。判明した時点で存命なら128歳だ。国内最高齢者よりはるかに年上で、文豪・芥川龍之介や詩人・堀口大学と“同い年”ということになる。

「常識的に考えて生きているはずがないのですが、叔母の遺言書に不備があったため、その男性が生きているのであれば叔母の相続人ということになってしまう。だから、その男性の死亡を確認しないと、相続の手続きが進められないという話になったのです。別の弁護士に頼んで追跡調査を行ない、辿ることができた最後の住所があった名古屋の家庭裁判所へ『失踪宣告』を申し立てることになりました」(Bさん)

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