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【震災時などの緊急事態に】スマホメールで作った“遺言”に法的効力はあるのか? 弁護士が解説

緊急時に遺言をどう残すか(イメージ)

緊急時に遺言をどう残すか(イメージ)

 遺言が法的な効力を持つには一定数の証人がいる前で書面にするなど、いくつか条件を満たす必要がある。しかし、地震や事故など、不測の事態に巻き込まれた際、遺言を作りたくとも所定の条件を満たせる可能性は低い。致し方なくスマホのメールなどで遺言を作ったとしても、法的な効力はあるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 元日に能登半島地震、2日には羽田の滑走路事故と、個人では避けようもない災害が発生しました。もし、地震で生き埋めになったり、飛行機が墜落しそうなとき、自身の遺言を親族に伝えたら、それは法的に認められるのでしょうか。緊急事態のため、署名も捺印もありませんが、それでも効力を持ちますか。

【回答】
 緊急時の対策としては、民法に死亡緊急時遺言の制度があります。

 死亡の危急に迫られた者が遺言を遺す場合、3人以上の証人と、筆記が必要です。なので、証人もろとも命を失いかねない生き埋めや墜落事故では間に合いません。

 しかし、スマホが通じ、メールが打てれば、対応は可能です。まず、財産を渡したい人に、スマホで電話し、渡す旨を伝え、相手が了解すれば、贈与が成立します。

 ただし、口頭だけですから証明が難しい上、万一事故等で死亡すると、相続人が書面によらない贈与として取り消すことができます。これは民法で書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができるとされているからです。

 この点、メールで贈与する旨を送信し、相手から贈与を受ける旨の返信をもらうと、メール自体は、その性質及び現代社会における機能や取り扱いの実態から、これを書面と見るのが相当であると解されます。よって、署名や押印がなくても、書面による贈与契約が成立したことになるので、相続人は介入できません。

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