公開日:2021.11.24 |暮らし   

60才から挑戦したい介護資格「介護職員初任者研修」、新設の「生活援助従事者研修」などの取得方法

 60才から介護関係の資格を取るなら、どんなものがおすすめなのか。再就職に役立てることはできるだろうか? 介護資格の専門学校カイゴジョブアカデミーの講師・佐藤絵美里さんに話を聞いた。

資格の勉強をがんばるシニアのイメージ写真
60代からでも介護の資格は挑戦できる?(写真/GettyImages)

60代から挑戦できる「介護資格」は?

 高齢化社会にともない介護現場で必要とされる追加人員は、2025年度までに約32万人、2040年度までにはその倍以上の約69万人といわれている(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」より)。

 一方で経済的理由や生きがいを求めて60才以上でも働きたいと考える人たちは多い。

 65~69才のシニアに「これからの仕事の希望」を聞いた調査では、「仕事をしたい」と応えた人は56.4%、70才以降では39.0%となっている(第15回厚生労働省 令和元年「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況」より)

 働きたい意欲のあるシニア世代が、介護関連の資格を取得して再就職に役立てることはできるのだろうか? どんな資格が向いているのだろうか?

 シニア世代の介護資格取得の推進にも力を注いでいるカイゴジョブアカデミーの主任講師・佐藤絵美里さんに話を聞いた。

「60才からでも目指せる介護関連の資格はたんさんあります。いくつになっても、働きながらでも国家資格にもチャレンジできるのは“介護職”ならではだと思いますよ」

 そこで、佐藤さんおすすめのシニアでも目指せる介護関係の資格を教えていただいた。

難易度別!シニアにおすすめ介護関連資格

※講座料金は参考価格(カイゴジョブアカデミーの場合。2021年11月時点)。難易度は星マーク5つを最高として明記しています。

「生活援助従事者研修」難易度★★

 2018年に新設された介護の資格。訪問介護事業所で掃除、洗濯、調理などの生活援助サービスを提供する人材を育成するための資格だ。生活援助をするための基礎的な知識や技術を学ぶ。訪問介護事業所に勤めたい人におすすめ。後述する『初任者研修』などとは違い、身体に関する援助はできない。

・こんな人におすすめ

 主婦の経験をいかしたい人。「介護職員初任者研修」修了の資格を取るほどまでではないが、身体介護以外の介護関係の仕事につきたい人。

・取得するには

「生活援助従事者研修」の講座がある学校でカリキュラムの修得。

・講座料金

 実施事業所による(参考価格2万円/カイゴジョブアカデミー開講時)。

「ベテラン主婦の経験をいかせる資格です。入浴や排泄など“身体的介助”は含まれないので、体力面ではシニアの方でもトライしやすいですね。資格を持っていると就活先にも何ができるかを明確に伝えられ、『意欲がある』という印象を与えることができます」(佐藤さん、以下同)

「介護職員初任者研修」(旧ヘルパー2級)難易度★★★

「介護職員初任者研修」は、介護の現場で働くために必要な入門研修。介護の基礎的な知識と技術の習得が目標。修了試験に合格すると、福祉施設などで正職員として採用されやすいことも。

「介護職員初任者研修」保有者の平均給与額は30万1210円(令和2年2月)。非保有者の平均給与額は27万5920円なので、約2万5000円も差がある(厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」)。

「『介護職員初任者研修』は、シニア世代に一番人気の資格です。最終日の筆記試験に不合格になっても、その試験は何度でもチャレンジできるため、ほかの資格に比べて合格率も高いんですよ。日本在住の外国人の方も多く合格されています」

 介護施設で働くには、特定の資格が必ずしも必要ではないが、身体介護を含む介護の仕事を行うには、「介護職員初任者研修」を修了しておくといいという。

「介護の基本・老化・認知症などについて事前にしっかり学ぶことで、介護現場での仕事への自信がつくだけでなく、周りからの評価も高くなります。

 無資格で働けるところもありますが、資格がある方が実際に採用の際や給料や待遇面などで優遇されます。

 施設などでパートの仕事をしながら挑戦することもできますが、働きながら通学や通信講座を受けるのは、体力的に負担が大きいかもしれません。時間に余裕があるときに資格を取っておくことをおすすめします。

 再就職に限らず、家族介護のためのほか、将来、自分に介護が必要になったときのために勉強する方もいらっしゃいますよ」

介護職初任者研修のテキスト
「介護職員初任者研修」のテキスト(写真提供/カイゴジョブアカデミー)

・こんな人におすすめ

 高齢者介護に興味がある人。介護の仕事につきたい人。家族の介護が必要になった人。

・取得するには

「介護職員初任者研修」講座を開講している学校に通い、10項目のカリキュラム(130時間/期間は1か月~3か月)を修了し、修了試験に合格する。
※通信講座の場合でも、介護技術の演習などで通学が必要。

・講座料金

 受講料3万1900円〜(税・テキスト代含む)

介護の資格でさらにステップアップするなら…

「介護職員初任者研修」を取得したあと、さらにステップアップを図るなら、以下の資格を受けて、最終的に国家資格である「介護福祉士」を目指す手も。

「介護福祉士実務者研修」(旧ヘルパー1級・介護職員基礎研修)難易度★★★★

「介護職員初任者研修」で学んだ介護の基礎をもとに、個々の利用者に合わせた介護の計画を立て、実際にその計画を演習で行い、現実の介護現場に近づけて行う研修。「介護福祉士」の国家試験を受験するためには必ず取らなければならない。

・こんな人におすすめ

「介護福祉士」を目指す人。「介護職員初任者研修」からさらにスキルアップしたい人。

・取得するには

「介護福祉士実務者研修」の講座がある学校などで20科目(合計450時間/期間は4か月 ~1年)を修了。全体の知識の確認をする復習の試験がある。
※通信講座の場合でも「介護過程Ⅲ」「医療的ケア」など通学を必要とする科目あり。

・講座料金

 3万3000円~(税・テキスト代含む)保持資格によって変わる。

 なお、「介護福祉士実務者研修 」を受講すると、訪問介護事業所の「サービス提供者責任者」になることができる。これは、「サ責」とも呼ばれ、訪問介護サービスでケアマネージャー(ケアマネ)やヘルパーとの連絡や調整を行うことができる。ケアマネが立てた介護プランをもとに、訪問介護サービスの計画・立案やヘルパーへの指示・指導を行うものだ。

「『サービス提供責任者』は、訪問介護所には必ず配置しなくてはならないので、ニーズも高く就業のチャンスも増えます。収入面も通常のヘルパーさんよりも高い傾向にあります」

「介護福祉士」(国家資格)難易度★★★★★

 介護職で唯一の国家資格。高齢者や障がい者の自立を支援する介護現場においての最高位の資格。職場によってはこの資格を取得しているというだけで資格手当が支給されることもある。

・こんな人におすすめ

 介護職の国家資格を保有したい人。より専門的な知識や経験を積み、職場での信用や待遇アップにつなげたい人。

・取得するには

「介護の仕事の実務経験が受験年度末までに3年以上の期間(かつ就業日が540日以上必要)」と「実務者研修修了」の条件あり。

・講座料金

「試験対策コース」全4日間日程~ 2万2000円(税・テキスト代含む)

「介護関連の資格の中で、唯一の国家資格です。介護の専門家としてみなされ、介護現場でもリーダー的存在になります。就職・転職などの際にも有効です」

***

「年齢はあきらめる理由にはなりません。70才を過ぎても『介護福祉士』や『在宅訪問ヘルパー』として働いている方たちもいます。いくつになっても学ぶことはとても素敵なことだと思います。目標を持って、生き生きとした毎日を過ごしてほしいですね」

 人生100年時代、老後の家計や生きがいのためにも、資格を取得し、介護業界を再就先の候補として考えるのもいいだろう。

教えてくれた人

介護スクール講師・佐藤絵美里さん

佐藤絵美里さん
介護スクール講師・佐藤絵美里さん

デイサービス・特別養護老人ホームや訪問介護など、さまざまな介護現場を経験した介護福祉士。「カイゴジョブアカデミー」をはじめ多くの介護スクールの人気講師として活躍している。https://kaigojob-academy.com/

取材・文/本上夕貴

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