公開日:2019.11.29 / 更新日:2020.05.13    14

ひとり暮らしの認知症の母が準備した朝食が切なすぎた話

 盛岡でひとり暮らしをする認知症の母を、東京から遠距離で介護している作家でブロガーの工藤広伸さん。工藤さんは介護サービスや便利グッズなど、さまざまなことを活用し、遠距離でも介護をスムーズに行う工夫している。そのノウハウは、書籍やブログで紹介され、すぐに役に立つと評判だ。

 しれっと、を信条とし、円滑に介護を続ける工藤さんだが、離れて暮らす母を想う息子心は、複雑なこともあるようで…。

→認知症の母が暮らす実家に帰れない!「ふるさと」の切ない話

こたつに入る認知症の母

ひとり暮らしの母の見守りカメラに映った切ない映像とは…(写真/工藤氏提供)

 父、母、祖母、わたし、妹の5人一緒に、盛岡の実家で暮らしていた時期がありました。

 子どもたちが家を出て、祖母と父が亡くなった今、2階建ての大きな一軒家には、母がひとりで住んでいます。

息子が盛岡に帰ってきていることを忘れる母

 母は1階の居間で過ごすことが多く、わたしも帰省したときは居間で一緒に過ごします。ただ、本やコラムなどの執筆は集中したいので、2階の自分の部屋で作業しています。

 自分の部屋で2時間ほど執筆し、休憩のために1階の居間へ行くと母が、

母:「あら、あんた。盛岡にいたの」

 お昼ご飯を一緒に食べたばかりでも、2時間も経てば、母はわたしと一緒にいたことを忘れてしまいます。

 こんな調子なので、わたしが2階に居ることを何かで示しておかないと、母はひとりで朝食を作って食べ、わたしが起きた頃には後片付けまで終わっていることすらあります。

母に息子の存在を示す「目印」

 わたしが2階に居ることを母に知らせるために、ある「目印」をつけています。

 夜のうちに台所のテーブルの上に、皿2枚と箸2膳をわたしが並べます。母はいつもひとり分の皿と箸しか用意しないので、いつもと違うことに気づきます。この目印のおかげで、息子が盛岡に居て、明日の朝食は2人分作らないといけないと思うようです。

 目印の効果で、母は朝食をきちんと用意できていたのですが、しばらくすると皿と箸をひとり分片づけ、ひとりで朝食をとるようになりました。

 そこで、今度は、台所にある冷蔵庫のドアにマグネットでくっついているホワイトボードに「ひろ、2階にいます」と書くようにしたところ、ひとりで朝食をとることは、ほとんどなくなりました。

見守りカメラに映った3人分の朝食

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▶コメント

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  1. より:

    両親が他界し、2年たっていますが、
    未だにああしておけば良かった、
    こうしておけば良かったと、後悔し続けています。
    家も遠くはないので、
    週に何度も、入院の時は、より何度も通いました。
    通った後に今度は家のご飯を作るのは大変でした。
    しかし、いろいろ頼りたいところもあるだろうに、
    一緒に住んで、と、
    言えなかったのかなと思います。
    孫も最低週一は、としょっちゅう通わせていました。
    一緒に住んで、私も両方の家を行き来する事なく、時間のゆとりで、対応ももっと優しく、
    孫がいつもいたら、
    もっと楽しい老後が送れたんじゃないかと後悔します。

    大変だとは思うのですが、
    きた時に、あまり部屋にこもらないで、
    出来れば傍らにいてあげてほしいものです。
    その時は、ずっと続くと思っていた事も、
    あっという間に終わりを、迎えてしまうものだから。

    16+

  2. まあ より:

    認知症を発症し、かつ一人暮らしを寂しがるので、娘の私の家のすぐそばにアパートを借りて引き取りました。もちろん本人ともよく話し合い納得した上での決断だったはずなのですが、引っ越して半年経っても「帰る場所が無い」と嘆くのを見ると、果たしてこれで良かったのかと悲しくなります。カメラで見守る方法を知っていれば、母の為には良かったのかもしれません。筆者さんのように、切ない気持ちを持ちながら、本人を大切に思う介護が(今はあまりうまくいかないですが)したいです。

    11+

  3. なな より:

    記事を読み、とても切ない気持ちになり、あぁ自分も年老いた母に寄り添ってあげたいとの気持ちになりました。

    そして、私の母が15年も前に他界している事に気が付きました。
    若いウチに亡くなってしまったので、老いた姿を見れる事はなかっけど、おばあちゃんになった母に会って見たかったなぁ。

    そ言う記事ではないですよね。
    あぁでも、お母さんにもう一度会いたいな。

    17+

  4. さき より:

    興味深く拝読しました。
    時には息子さんが朝ごはんをお母様に作ってさしあげたら、お母様嬉しいかもしれません
    食事の支度を自分以外の人にしてもらえると
    大切にされていることが
    実感できるので・・・

    21+

  5. Y,I より:

    私達家族も、同様に父の認知証(他界)、母の認知証(現在も)に関わっています! そして今又、主人の母の介護問題に直面しており、良く解ります!
    頑張るしかない毎日、不安な毎日、日々苦しいです、裕福な方はお金で片付けている問題も、庶民には、とてつもなく大変な問題になっしまいます!
    ひたすらその日を生きる辛さ、わかります!次は自分不安です。

    26+

  6. konomi より:

    一週間後に田舎に帰るからと伝えたら、その日から毎日駅へ行って何時間も私が現れるのを待っていたそうです、駅員さんから聞きました。 多くの人が経験する事でしょうが切なく辛いですね。

    35+

  7. おばたん より:

    本編に否定的なコメントされてる方、現実わかってます?
    一緒に暮らした方がいいとか、本人の画像を出すのがかわいそうとか、今必要なのは、介護の仕方も人それぞれってことを共有することでは?
    介護サービスは受けられている訳ですし、家族以外でも、事業所が間に入っているかいないかでも全然違いますよね。介護サービスを受けていない、または老老介護の悲惨さなんて、最中は発信されることもなく、ニュースになる時には最悪の結末だったりするわけです。
    私には、こんな形もあるんだなぁと参考になりましたよ。

    54+

  8. つゆちび より:

    お母さんの朝ごはんの事、読んでいて、涙が止まらなくなりました。
    わたしは病院勤務で、入院患者様はほぼ寝たきり状態か、認知症の方で、やっぱり昔の記憶の中で生きている方(女性)が多いです。
    夕方になると、晩ごはんの支度をしようとしたり、子供の帰りを待ちわびてみたり。
    残った食事を、子供の為に取っておいて、隠しておく方もいます。
    それを見付ける度に、胸を締め付けられるように、とてもせつなくなります。
    男性は、やっぱり、仕事に出掛けようとする人が多いです。
    みなさん、それぞれの生活があって、一生懸命生きぬいてきたのです。
    なので、・・・これからも、お母様の様子を、ずっと発信し続けてください。

    59+

  9. ゴモラ より:

    コメントの中に、
    「こんな母を田舎に一人残してひどい」
    「作家ブロガーなら〜同居できませんか」
    「これを介護と言わないでほしい」
    などの言葉がありますが、
    その人にはその人の状況があるのでしょうから、物事の一面だけを見て酷いというのは、あまりにも想像力の欠如に見えますし、東京⇄岩手を往復しながら頑張っている著者に対して、とても心無い言葉に聞こえます。

    「作家ブロガーだと、
    仕事なんてどこでもできるだろ」と思っているのかもしれませんが、この著者の働き方は知りませんが、おそらく在宅で全てを完結させられるわけではなく、仕事の内容によって打ち合わせや取材などがあるのと思われます。
    また、もし家族がいて、奥さんも仕事をされていたり、子供が学校に通っていれば、地方に移り住むというのは簡単な選択ではないでしょう。

    逆に、お母さんを東京に呼び寄せるという方法もあるとは思いますが、まだギリギリ自分の身の回りの事を出来ているお母さんの、最期の自活力を奪ってしまうような気がします。

    私の祖母は、認知症の度合い的に近い状態です。認知症の症状は出始めていますが、まだなんとか一人暮らしができており、私の母が週に何度か通って面倒を見ています。
    祖母が今でもギリギリ一人暮らしできているのは、昔から慣れ親しんだ間取りと家電だからこそで、考えなくてもルーティーンとして、感覚的にこなせているのだと思います。
    そんな祖母のような人たちは、急に住まいや家具家電が変われば、たぶん混乱して今まで出来ていたことが出来なくなり、一気に生活力を失うと思います。身の回りのことを全て人に委ねるようになり、自らの力で出来ることがなくなると、きっと認知症は一気に進行する気がします。
    本人の自活力を奪ってしまいたくないという気持ちは、とても理解できます。

    「一緒に住んであげればいいのに!」
    というのは簡単ですが、
    それぞれの状況と生活があり、
    特にこの人は色々な手筈を整えた上で、年間20回も東京⇄岩手を往復しているとの事ですから、安易に批判だけする人は、思慮が浅い気がしてしまいます。お母さんの状況に1番胸を痛めているのは、著者本人だと思います。

    81+

  10. ふーん… より:

    作家ブロガーが仕事なら田舎に母親を一人暮らしさせてカメラで監視するとかせずに同居できませんか

    自分は東京で介護は他人に任せて
    カメラを3回チェックするとか
    ひどいとしか思えない。

    これを介護と言わないで欲しい

    話し相手いなければ認知症は進む
    おまけに切ない…と言いつつ
    ボケた母親のその写真まで提供して、
    お母さんが可哀想でなりません

    32+