公開日:2020.01.18 / 更新日:2020.01.23 |サービス   

介護施設訪問レポート|ワンストップサービスで地域の介護ニーズに応える総合福祉施設<前編>

 高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、東京都渋谷区にある総合福祉施設「渋谷区つばめの里・本町東」だ。

渋谷区つばめの里・本町東

 少子高齢化を実感させられる小学校の廃校と、その跡地を利用した高齢者向け施設の誕生。文部科学省は~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクトを立ち上げ、未活用の廃校施設の情報を集約して一般公開し、廃校施設等の情報と活用ニーズのマッチングを後押ししている。活用事例も公表されており、各地で高齢者施設などに生まれ変わっている様子を見ることができる。2018年にオープンした渋谷区つばめの里・本町東も小学校の跡地を活用した施設の一つだ。

渋谷区の総合高齢者福祉施設の外観
デザイン性も優れている真新しい建物

高齢者介護のニーズに応えるワンストップサービス

 渋谷区つばめの里・本町東は、渋谷区基本構想の福祉分野の未来像である「あらゆる人が自分らしく生きられる街」の実現のために、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを営めるように整備されたという。施設の持ち主は区で、社会福祉法人カメリア会が運営を委託されている。地上5階・地下1階の建物には特別養護老人ホーム(以下、特養)を中心に、グループホーム、ショートステイ、在宅療養支援ショートステイ、デイサービス、トレーニング室、多目的ホール、地域包括支援センターが入っており、地域の高齢者を支える拠点として申し分のない機能が揃っている。

高齢者向けのトレーニングルーム
地域に開放されているトレーニングルーム

「地域のニーズに合ったサービスを提供しています。ワンストップでサービスを提供できるので、こちらにいらして頂ければ、高齢者の介護に関わる基本的なことには対応できます。在宅の方向けのショートステイとデイサービス、認知症でお体がお元気な方にはグループホーム、そして身体的機能が低下してきている方には特別養護老人ホーム。複合型の施設なので、それぞれの方の状態に合ったサービスを受けることができます」(施設長の山匠さん。以下、同)

総合福祉施設の受付
まずは1階の総合受付へ

 こちらの施設を利用するためには、要介護認定を受ける必要がある。こちらの1階には、別法人が運営をしている地域包括支援センターがあり、高齢者福祉と介護保険サービスの相談や手続きを行える。ただし、こちらの担当地域が渋谷区本町と決まっているように、住んでいる地域によって相談する場所が決まっているので、事前に確認しておくことが必要だ。

音楽療法を取り入れたデイサービス

 1階で提供されているデイサービスの定員は38名。食事や入浴、日常動作訓練、レクリエーションなどのサービスを受けることができる。自立生活への支援、心身機能の維持・向上を目的とした介護サービスで、決まった範囲の地域への送迎サービスもあるという。

機能訓練のための設備も充実

 渋谷区つばめの里・本町東には音楽療法の専門家である音楽療法士が常勤している。音楽療法には音楽を聴くことや歌うこと、楽器を演奏することで脳を活性化させ、心身に安定をもたらす効果があるとされている。認知症の予防や軽減にも効果があるとされ、介護施設などでも導入が進んでいる。懐かしい音楽を聴いて当時のことを思い出す回想法としての活用も増えてきているそうだ。

音楽療法士と高齢者
常勤の音楽療法士がいる施設は珍しい
デイサービスの音楽療法
デイサービスでも音楽療法は大人気

「法人全体でも音楽療法に力を入れています。こちらには音楽療法士が常勤しているので、デイサービスのご利用者や特養、グループホームのご入居者の顔と名前が一致していて、コミュニケーションが取りやすいという利点があります。音楽療法士の出身音大のつながりで、ボランティアに来てくださる方もいます」

地域との交流を重視した運営

 この地には元々、本町東小学校があり、その跡地に2015年から建設が進められた。施設の入居者や利用者を含めた地元住民の期待に応えるため、地域に開かれた運営を意識しているという。

「ご家族やご友人が訪問しやすい環境を作っています。毎日お越しになる方もいらっしゃいますね。地域の方々との交流を活発にすることで、人的な断絶が起こらないようにしているので、特養やグループホームのご利用者はこれまでの生活を継続させやすくなります。認知症の方は環境の変化によって症状が出てしまう場合もありますので、そういったことをできるだけ軽減させることも目的の一つです」

高齢者施設の談笑スペース
談笑できる共用スペース

 地下に設けられた多目的ホールは地域住民からの意見を反映させて、小学校の体育館をイメージして作られたという。日常的に地域に貸し出され、スポーツなどに利用されているそうだ。もちろん、施設の利用者のためにも活用されており、夏祭りやクリスマス会などの行事に使用されている。夏祭りでは地域の住民が模擬店を出したり、盆踊りを開催するなど、一体となって交流を深めたという。

体育館のような高齢者施設のスペース
ステージもあり、小学校の体育館のような作り

 体育館だけではなく、水道設備やロッカーも小学校を思い出させるようなデザインのものを使っている。そして、小学校に飾ってあった卒業制作は実物をそのまま移設している。それを見て懐かしむ地域住民も多いという。

「こちらの地域の町会は活発に活動されていて、防災への意識も高いです。災害時の避難所にもなっているので、地域の方々と一緒に避難訓練も行っています」

小学校の卒業制作
歴史を伝える小学校の卒業制作

 いかがだっただろうか。総合福祉施設、そして防災拠点として地域の期待を集めている渋谷区つばめの里・本町東。期待の高さは各サービスの利用率の高さにも表れている。渋谷区在住の人はもちろんだが、地域交流のイベントなどの機会を捉えて、将来のために自分の住む地域に総合福祉施設があれば、足を運んでおくのも良さそうだ。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

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【データ】
施設名:渋谷区つばめの里・本町東
公式WEBサイトhttp://shibuya.camellia-kai.com/
所在地:東京都渋谷区本町3-46-1
最寄駅:都営大江戸線「西新宿駅五丁目」駅から徒歩5分
類型:特別養護老人ホーム、グループホーム、ショートステイ、在宅療養支援ショートステイ、デイサービス
運営法人:社会福祉法人カメリア会
敷地面積:6774.87平方メートル
延床面積:10049.04平方メートル
室数:特別養護老人ホーム定員100名、グループホーム定員18名、ショートステイ定員20名、在宅療養支援ショートステイ定員10名、デイサービス定員38名
入居要件(特別養護老人ホーム・渋谷区統一):要介護認定「3~5」の方 及び 要介護認定「1・2」の方で、居宅において日常生活を営むことが困難なことについて、やむを得ない事由(1~4)がある方
1.認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られる
2.知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
3.家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難である
4.単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である
申込時点で要介護3以上の方で、申込後、要介護度が1・2に変更となった場合、上記1~4の事由に該当しない方は、入所の対象とならない。
構造:鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造。地上5階・地下1階
開設年月日:2018年5月1日
料金:デイサービス利用料金の目安
要支援1・2700円(ひと月あたり)、要支援2・4595円(ひと月あたり)
要介護1・1469円(1日あたり)~要介護5・1994円(1日あたり)

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

●地域交流の拠点になった新宿・神楽坂の高齢者総合福祉施設<前編>

神楽坂の高齢者を支える高齢者総合福祉施設<後編>

●安心して充実したシニアライフを過ごせる!自立型介護付有料老人ホーム

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