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年齢より老けて見える理由|行動・話し方・におい・身なりの傾向と対策

 いつも自分の話ばかり、「めんどうくさい」「どうでもいいわよ」が口ぐせのあなた、他人から年寄りくさく見られているのに気づいていますか?

「寒いのに、あんな短いスカートはいて。今の若い子ってわからないわ」と、今日も茶色のダウンコート。「選ぶのがめんどうくさい」からといって、いつものスーパーでいつものお総菜。そんな無気力な毎日のせいで、あなたも“おばさんのにおい”を漂わせているとしたら…。

 かつては、同い年なのに自分よりずっと若く見える友人のことをうらやんだものだ。でも今は、そんな気持ちすら起こらない。だがその「今さらあがいたって」という思考こそが、あなたを老けさせている元凶だとしたら―
 
 あきらめるのはまだ早い。何も大それた行動の見直しが必要なわけではなく、実は、年寄りくさく見えるかどうかは、ちょっとした習慣の違いが決めている。

老けて見えるのは心がおばさんだから

●日常生活をマンネリ化させない

 どんなにスリムでスタイルがよくても、なぜか年寄りくさい人もいる。その原因は“感情の老化”だと、精神科医の和田秀樹さんは言う。

「“めんどうくさい”“どうでもいい”が口ぐせで、怒りっぽくなったら、老化の証拠。さらに、その無気力さやイライラは、感情の老化を加速させることにもつながります」

 この感情の老化には、脳が大きく影響している。

「意欲や好奇心、感情のコントロールなどを司る脳の『前頭葉』は、早い人では40才を過ぎると徐々に萎縮していきます。そのため、意欲的でなくなったり、感情を抑えきれなくなったりするのです」(和田さん・以下同)

 前頭葉を鍛えるには、計算や読書といった「脳トレ」は必要ない。日常生活に少し気を配れば充分効果を発揮する。

「いつも同じメニューばかり、いつも同じ道ばかり、いつも決まった人とだけ話をするのは脳にとっては“想定内”で“マンネリ化”します。初めての店で食事をする、普段と違う道を選ぶ、新しい友達をつくるなどすると、前頭葉が刺激される。パートなど、新しい仕事を始めるのもいい」

●クリエイティブな活動をする

 もう1つの方法が“クリエイティブ”な活動だ。

「絵を描いたり、陶芸をしたりといった行為もいい。旅行をする時も、パッケージツアーではなく、自分たちで企画してあちこち回ると、新しい刺激が得られます」

 また、“幸せホルモン”とも呼ばれる、精神の安定を保つ物質のセロトニンが加齢とともに減っていくことも原因の1つ。

「セロトニンの減少はうつ病にもつながります。それほど感情に与える影響は大きく、無気力になったり、怒りっぽくなったりするのです」

 同じく、女性ホルモンのエストロゲンも加齢によって減少し、行動に影響を与える。エストロゲンが減少すると更年期障害を引き起こすが、実は別のリスクも伴う。女性の“おじさん化”だ。

「エストロゲンが減ると、相対的に男性ホルモンのテストステロンの割合が高くなり、ガッシリした体つきになったり、ひげが濃くなったり、男らしい振る舞いをするようになったりします。ただ社交性が上がったり活動的になったりもするので、一概に悪いわけではありません」

 年を重ねたからこそ、体の変化を受け入れて、興味の対象を増やすのがよさそうだ。

声や話し方に注意

●相手の話を聞く

 電話やラジオの声だけでも、年齢はなんとなくわかるもの。年を取ると、声だけでなく話し方まで変わるからだ。

 イメージコンサルタントで『自分のことは話すな』(幻冬舎新書)の著者である吉原珠央(たまお)さんは「高齢者の話し方には“貫禄”があります」と言う。それは無意識のうちに、にじみ出てしまうのだ。

「長年の経験から、自信が身についているからです。半面、特に若い人と話をしている時には、自分の知っている話になると割り込んでしまいがち。“友達に双子が生まれるんです”に“大変ね”だけで止められず“私も経験があるからわかるけど、双子って~”と、止まらなくなってしまうのです」(吉原さん・以下同)

 まずは、自分から伝える前に、相手の話を聞くことだ。

「つい口を挟みたくなっても、まずは余裕を持って最後まで聞いてあげてください。そうすると、相手もあなたの話をゆっくりと聞いてくれます」

 自分ばかり話しすぎていないかどうかは、自己チェックすることで防止できる。

「会話全体を10として、自分がどれくらい話しているかを意識するだけでいい。話しすぎていると気がついたら、無理矢理にでも話を相手に振ってしまいましょう」

●「昔はこうだった」に気をつける

 相手の話す時間を長くできたら、次は話の内容だ。

「“~すべき”“~しなさい”などと断定する言い方は、“あの人は話を聞かない”“自分が正しいと思ってる”と、煙たがられてしまいます。経験に基づいた話を頼りにする若い人も少なくないからこそ、伝え方が大切なのです」
 
 特に“昔はこうだったのに”は、若い人から大不評。

「お総菜や冷凍食品を多用するお嫁さんに“子供がかわいそう”などと言うと、よくは受け取られません。味や栄養が心配なら素直に質問を。“最近の冷凍食品はおいしいし、栄養も充分なんですよ”など、相手の言い分が返ってきたら“そうだったのね、知らなかった”と理解を示すこと。懐の深さを見せれば、お嫁さんとの関係もよくなるはずです」

 聞き上手、伝え上手の人の周りには、話をしたい人が集まってくるものだ。

においは加齢で変化する

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