ウェブが数多くの人に普及するようになり、個人・企業ともにこれまでの考え方を変革する必要がでてきた。果たして我々はどんな意識を持ち、生きていくべきなのか。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が未来地図を提示する。
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よくサラリーマンの方から「うちの会社はどう対応すればよいのか」といった質問を受ける。だが、考えるべき優先順位が間違っている。経営者ならともかく、サラリーマンであるならば、勤務先が組織としてどうあるべきか、という以前に、まずは自分自身の能力をどう高めるかが大事ではないか。
なぜなら、日本の労働市場で一番問題となっているのが、ビジネスパースンの専門性のなさだからだ。ウェブで世界中が繋がっている今、中国人やインド人の安くて大変優秀な労働者と戦わなくてはいけない。そこで専門性のない人材は食っていけない。
しかし、多くの日本企業が社員に複数の部署を転々とさせ、ゼネラリストばかり育ててきたために、専門職がいないのだ。
厳密に言えば、彼らはゼネラリストですらない。単に、「誰にも負けない得意分野」がないだけだ。
現在、企業に勤めている人は、とにかく専門性を高めることを念頭に置いて仕事をすべきだ。能力さえ高ければ、今まで以上に稼ぐことも可能なのが、ウェブが変革をもたらした新たな世界である。
※SAPIO2012年1月11・18日号