国際情報一覧

国際情報を集めたページです。韓国、北朝鮮、中国などの最新動向や、世界各国のニュースの背景を深く分析。国際社会における日本の今が見えてきます。

脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮で脱北者家族への締め付け強化 辺境部に強制移住も
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、国外に脱出し韓国に住んでいる脱北者は「裏切者」であり、脱北者から送金してもらっている北朝鮮在住の家族について「裏切者の操り人形」と批判した。そのうえで、家族をより厳しく罰するようにせよとの指令を出し、その30家族を人里離れた山間部の辺境地帯に移住させたことが明らかになった。 北朝鮮では新型コロナウイルスの感染拡大により、国境を閉鎖したことで、経済活動が停滞し、市民は困窮した生活を余儀なくされ、脱北を企てる者も多いことから、今回の「脱北家族」への措置は国民への見せしめとみられている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 金正恩総書記は6月初旬、5日間連続で、党の幹部を集めた特別講座を開催し自ら講演。そのなかで、「脱北者は絶対に許すことのできない祖国への裏切り者だ。必ず罰せなければならない」と糾弾したうえで、「その家族も同罪だ。裏切者から金をもらって生活している」などと激しく批判した。 北朝鮮ではこれまで3万3000人以上の市民が脱北して韓国に移住。また、中国にも数十万人の脱北者が暮らしている。これらの家族は脱北者からの送金で、それなりの生活をしており、一般市民との格差が拡大していることから、脱北を企てる人々が多くなっており、金政権の頭痛の種となっている。 このため、金氏は、脱北者家族の移送を命令。まず、第1弾として、北朝鮮北部の中国との国境沿いに位置する両江道の脱北家族30世帯の市民がトラックの荷台に乗せられて、いずこかに向かったという。 これらの人々のなかには孫2人が脱北した70代の夫婦や、息子と娘が逃げて取り残された親夫婦、両親が韓国に逃げて残された3人の子供たちも含まれている。彼らは最低限の調理器具を持つことしか許されなかったという。 今後、第2弾、第3弾の脱北家族の追放が行われるとみられる。 韓国統一省の統計によると、2002年以降、毎年少なくとも北朝鮮の脱北者1000人以上が韓国に入っており、2009年には2900人以上とピークに達した。しかし、その後の金正恩指導部発足後、脱北者は激減、2019年に1000人強まで減少し、2020年に韓国へ渡った脱北者はわずか229人、2021年は63人、2022年3月までは11人。2020年以降の急減の原因は新型コロナウイルスの感染拡大で国境警備が強化されたためとみられる。
2022.08.11 07:00
NEWSポストセブン
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
中国が不動産業者救済のために6兆円基金設立 「焼け石に水」の指摘
 不動産価格が高騰する中国で、習近平国家主席が「住宅は投機の対象ではなくて、住むためにある」と指摘したことを受け、中国の金融当局は投機目的の不動産売買を取り締まるため開発業者への融資規制を強めている。それにより業者の資金繰りが悪化し、マンションなどの建設工事がストップするケースが相次いでいる。さらに、購入者が住宅ローンの支払いを拒否し、デモ騒ぎなどが起きるなど混乱が広がっている。 政府は不動産セクターの債務危機を解決するために、総額3000億元(約6兆円)の救済基金を設立する予定だが、この基金ではまだ危機を解決するには不十分だとみられている。その一方で、当局はインターネット上の「支払い拒否」の書き込みを片っ端から削除するなどしているが、対応は後手に回っており、真の解決には程遠い状態だ。ブルームバーグ通信などが報じた。 中国では昨年来、当局が住宅価格の高騰を抑える狙いで開発業者への融資規制を強めたことで不動産市況は悪化の一途をたどり、恒大産業などの大手不動産会社のドル建て社債の実質的なデフォルト(債務不履行)状態に追い込まれた。 上海市のロックダウン(都市封鎖)など厳格な新型コロナウイルス対策に伴う景気の落ち込みも大きく影響し、不動産の販売は全国的に低迷した。 さらに、下請け業者への未払いや工事の一時停止も起きた結果、「物件が引き渡されないのではないか」との不安を抱いた購入者の一部がローンの支払いを停止。インターネット上では、「親類縁者から金を借りて、マンションを買ったのに建設工事が止まってしまって不安だ。ローンは支払わない」などとの声が多数書き込まれ、全国的にマンションなどの買い控えの動きが広がり、開発業者はさらに経営が悪化するという事態に陥っている。 このため、中国政府による総額3000億元の救済基金創設計画が近く正式に発表されるという。 しかし、今回の救済措置が中国全土の不動産業者を対象にしたものではなく、地方自治体が指名した大手不動産デベロッパー12社と問題がある不動産会社数社に対象を絞ったものであることが、問題視されている。 一部のアナリストがブルームバーグに明らかにしたところによると、この制度で救済される不動産開発会社12社の短期債務の総額は7420億元(約1兆5000億円)で、救済基金では不十分ではないかとの見方が出ている。さらに、今回問題になっている住宅購入者やサプライヤーに対する債務を含めると、総額で4兆元(約80兆円)にのぼるとみられ、実際には「焼け石に水」で、今後ますます混乱が拡大する可能性も指摘されている。習近平指導部は秋に共産党大会を控え事態の早期解決を図らなければならないところだが、難しい対応を迫られそうだ。
2022.08.10 07:00
NEWSポストセブン
死因について様々なうわさも
中国の地方政府高官の急死相次ぐ いずれも病名や死因は明らかにされず
 中国内陸部の甘粛省の周偉・中国共産党委員会秘書長が7月21日、死去した。周氏は56歳で、最近、同委秘書長に就任したばかりだった。同委は死因について「病死」と発表しているが、ネット上では、周氏が省党委ビルの窓から転落したとのうわさが出回っているとともに、周氏が汚職事件に関わっていたとの情報もある。経済誌「財新」など中国メディアが報じた。 甘粛省党委機関紙「甘粛日報」は7月24日、「周偉同志が死去」との記事を2面に掲載し、周氏は「7月21日19時43分、病気のため死去した」と報じた。しかし、その後も同省人民政府は周氏の病名や死因を明らかにしなったことから、ネット上では様々なうわさが飛び交った。 例えば、周氏は当日、省党委員会第一事務棟9階の南側にある執務室の窓から飛び降り、2階の日よけの屋根に激突し、頭などを強く打って死亡した、との目撃証言がネット上に書き込まれている。 また、「共産党幹部がビルから飛び降りるのは、司直の手にかかるという不名誉を避けるためであり、政治的な利権や金銭に関わっていたことを意味する」とのコメントが掲載されていたが、翌日には消去されていたという。 周氏の他にも、河北省副省長・公安局長に就任して1か月余りの劉文喜氏が7月3日に「蘇生が困難な急病」で死亡し。大連市副市長の曾炳氏も7月23日、就任1カ月足らずで死亡している。また、北京市など4大直轄市の1つ、天津市の廖国淳市長も今年4月、「急病で蘇生できず死亡」と発表されるなど、このところ地方政府高官の死亡が相次いでいるが、いずれも病名や死因は明らかにされていない。
2022.08.07 07:00
NEWSポストセブン
ベトナム中部のビンディン省にはベトナム戦時の悲劇を伝える壁画がある(写真/村山康文)
韓国が直面するもう一つの歴史問題 韓国軍によるベトナム戦時民間人虐殺事件の被害者は今
 7月下旬、来日した韓国の朴振(パク・チン)外交部長官と林芳正外相による日韓外相会談が行われ、日韓関係の懸案とされる「元徴用工」をめぐる問題について話し合われた。「進展はなかった」との報道が目立つなか、韓国政府側は、会談後の記者ブリーフィングで「長官が何度も“日本企業の資産売却のような『現金化』が行われる前に解決策を探りたい”と強調した」と説明している。 日本企業の資産売却は、2018年の韓国大法院(最高裁)判決に基づき韓国国内で進められている。判決後、戦時中に徴用工がいた日本企業に賠償が命じられ、該当する日本企業の資産が差し押さえられた。その後、賠償のためそれらの資産の売却が行われようとしており、この夏にも「現金化」の手続きが終わると報じられている。 一方、韓国では現在、過去の虐殺事件をめぐり韓国政府に“賠償”を求める別の裁判が進行中だ。争われているのは、ベトナム戦争中の1960年代後半頃、参戦した韓国軍が南ベトナム(当時)の各地で起こした「民間人殺害事件」の被害者による損害賠償の訴え。これまでに行われた研究者やジャーナリストの調査により、そうした事件は南ベトナムの80か所余りで起き、9000人以上が犠牲になったと推計されている。 この問題について、ベトナムと韓国で10年以上にわたり取材を続けるフォトジャーナリストの村山康文氏が言う。「韓国での裁判は、ベトナム中部のフォンニ村で事件に遭遇したグエン・ティ・タンさんが原告となり、2020年4月、韓国政府を相手取って起こしたものです。『民間人虐殺に責任がある大韓民国政府は3000万ウォン(約307万円)を賠償せよ』と、ソウル中央地裁に提訴しました。ベトナム人被害者による韓国での国家賠償訴訟はこれが初めてです。 提訴後、ベトナムのタンさんに電話で話を聞くと、『韓国政府や事件を否定する兵士らに、ただ事実を認めて欲しいだけ』と裁判を起こした理由を明かしてくれました。タンさんが言うように、これまで韓国政府は公式に事件を認め謝罪したことはなく、韓国軍元兵士のなかには、ベトナム人被害者らの訴えを否定するために強硬な手段をとる人々もいるほどです。 ベトナム戦争当時、現地で何が起きたのか。私はコロナ禍で取材が中断するまでの13年間、ベトナムと韓国に20数回ほど足を運び、30人以上の証言を集めて真相を探ってきました。その成果は8月発売の拙著『韓国軍はベトナムで何をしたか』にまとめています。実は、発生現場となったベトナム中部の村々には被害を伝える慰霊碑がいくつも残され、生き延びた被害者たちは、戦争や事件により負った心身の傷を抱えながら今も暮らしているのです」 生き延びた被害者の多くは「思い出したくない」と口を揃えたという。一方、村山氏が現地で証言を聞くことができた被害者のなかには、韓国社会にアクションを起こした人物が先述のタンさん以外にもいた。「1966年2月から3月にかけて、ベトナム中部のビンディン省タイヴィン社(ベトナム戦争当時はビンアン社)で1200人以上の住民が韓国軍部隊に殺害される事件が起きました。2014年2月、私は今も現地に暮らす事件の生存者グエン・タン・ランさんに話を聞くことができました。 事件当時15歳のランさんは、母親と妹を含む村人数十人が犠牲になった韓国軍の虐殺行為を生き延びた人です。ランさんも負傷しており、両足には手榴弾の破片がまだ残っていました。ランさんは『私の目に焼きついたあの惨劇は、忘れようにも忘れられない』と涙ながらに語っていました」(村山氏)韓国で浴びせられた暴言 村山氏が証言を聞いた翌年(2015年)、ランさんはベトナム人被害者らを支援する韓国NGOの招きにより、タンさんらと韓国を訪問。事件について韓国国民に向けて証言することになった。しかし、韓国でランさん、タンさんらを待っていたのは、“否定派”による手荒い仕打ちだった。「3人の訪韓を報じたいくつかのインターネット新聞によると、訪れた先々で元兵士らが反対集会を開いたそうです。平和博物館で予定されていた、事件を伝える写真展のオープニング・レセプションは、退役軍人300人以上が会場を取り囲み集会を開いたことで中止に追い込まれました。 私は、韓国訪問を終え、ベトナムに帰国したランさんを訪ねて話を聞きました。ランさんは訪韓したことを後悔している様子でした。韓国に滞在中、ランさんらが訪れたほぼすべての場所で、集まった軍服姿の元軍人から『嘘つき』『ベトコン(戦争当時、米韓軍と敵対したゲリラ勢力)』などと罵詈雑言を浴びせられたというのです。 ランさんはその後、訪韓時の受け入れ先となったNGOの代表に『韓国政府を動かすためには、ランさんがベトナム政府に働きかけたほうがいい』と助言されたそうです。しかし、韓国との経済関係を重視するベトナム政府は、この問題で韓国政府を追及する姿勢を見せることはありません。韓国政府も、過去の大統領による形式的な『遺憾表明』以上の取り組みをしていません。 事件の被害者らは、真相が解明されることのないまま、置き去りにされているのが現状なのです」(同前) 現在韓国を率いるのは、わずか3か月で支持率が30%台に急落した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領。国内外に課題が山積するなか、ベトナムとの関係にどう向き合うかが注目されている。
2022.08.01 11:00
NEWSポストセブン
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
平壌市内で自動車部品の窃盗が横行 中国から部品入らず闇市場で高値取引
 北朝鮮国内で使われる自動車のほとんどは中国製といわれるが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、中国との貿易は2年以上、停止している状態のため、北朝鮮では深刻な自動車部品不足に陥っている。その結果、国内では自動車部品窃盗団が暗躍しており、大きな問題になっている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じている。 平壌市内では昼間でも自動車の運転手が食事をして戻ってくると、車が消えていることがよくあるという。その間、わずかに30分ほどで、ようやく探してみつけると、車の外枠だけしか残っていないこともあるようだ。 自動車部品の闇市場ではエンジン部分は車1台が買えるほどの値段で取引されており、他の主要部品も高値で取引されている。 新しい部品が手に入らないことが分かっているため、ブローカーが値を吊り上げても、買い手はすぐに見つかるという。つねに車の部品は貴重で、いつでも売ってお金にすることができるという状況にある。 路上などに車を停めていると盗まれるのは分かっているので、運転手や車の所有者は車内に寝泊まりして守ることもある。朝鮮労働党や政府の幹部の専用車の場合、車庫に駐車したうえに、運転手が番をしているのだが、それでもわずかなスキに盗まれることもあるという。 市内の情報筋はRFAに対して「新型コロナウイルスの大流行で、食べる物も着る物も足りないので、市内は泥棒だらけだ。それにもかかわらず、朝鮮労働党は人民の苦しみを解決する気がなく、市民を集めては、『主体(チュチェ)思想で武装して経済難を克服せよ』と発破をかけるだけだ。まるで解決になっていない」と不満を口にしている。
2022.07.30 07:00
NEWSポストセブン
二人の緊密な関係は、2013年から
【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり 「蜜月関係」がもたらす新たな国際秩序
【プーチンと習近平・連載最終回】習近平が父親から多大な影響を受けたのと同じように、父のトラウマがウクライナ侵攻へ駆り立てる原動力となったプーチン。そんな2人が抱く「同じ夢」が、今後の世界情勢を左右することに──。ジャーナリスト・峯村健司氏がレポートする。(文中敬称略。第1回から読む) * * *プーチン失脚説に激怒 厳しいネット規制が敷かれている中国。数百万人の「ネット監視員」が、政府批判の書き込みがないかどうか、目を光らせている。そんな厳戒下にもかかわらず、3月11日に中国政府の外交方針を批判する書き込みが波紋を呼んだ。「プーチンと一緒にされてはいけない。中国が同じ船に乗れば、プーチンが失脚した際に巻き添えを食らうからだ。一刻も早く手を切るべきだ」 上海市共産党委員会の幹部養成学校の教授、胡偉(こい)が「ロシア・ウクライナ戦争の起こりうる結果と中国の選択」と題した論文をインターネット上に発表した。 胡は、国務院(政府)に政策を提言する国務院参事室公共政策研究センターにも勤務したことがある政策ブレーンの一人。この論文も上層部に提出したものだった。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、国際社会が対ロ批判を強めているにもかかわらず、盟友、ウラジーミル・プーチンを擁護する習近平への痛烈な批判だった。 政府関係者による習批判とあって、中国国内ではすぐにアクセスできなくなった。しかし、コピーされた論文の画像が、SNS上で瞬く間に広まった。論文が書かれた背景について、胡の同僚だった中国の大学教員が解説する。「胡氏はハーバード大学で研究したことがある優秀な研究者です。論文の大意は、欧米諸国と相対してロシア寄りの姿勢を崩さない上層部を心配する共産党と政府のなかの大多数の本音でしょう。ところが、論文のある部分が上層部を激怒させたと言われています」 はっきりとは言わなかったが、前後の文脈から「上層部」とは習近平のことを指しているのは確かなようだ。この大学教員が指摘するのが、論文中の次の部分だ。「西側の制裁は前例のないレベルに達しており、ロシアの人々の生活は深刻な影響を受けている。反プーチンの勢力は結集しつつあり、政変が起こる可能性も否定できない。ロシア経済は崩壊寸前で、プーチンの権力維持は困難だろう」 習の盟友、プーチンの失脚に言及したことが逆鱗に触れたようだ。論文は、当局によって「秒シャン(ミャオシャン=1秒で削除されること)」された。だが、批判はこれだけにはとどまらなかった。5月上旬、外交をつかさどる中国外務省関係者からも批判の声が上がった。「ロシアの優勢は、ウクライナの頑強な反撃と、西側諸国の巨大で有効な援助により打ち消された。プーチン氏のリーダーシップによる『ロシアの復興』と呼ばれるものは、存在しない偽りの命題だった。ロシア側の完敗となって終わりを告げることになるだろう」 駐ウクライナ大使を務めた高玉生が、中国政府系シンクタンクが主催した非公開のオンライン講演会でこう指摘した。この講演内容を香港メディアが報じて、中国国内でも広がったものの、これも「秒シャン」された。ロシアで勤務をしたことがあり外交政策にも助言をしている元外交官による露骨なプーチン批判は、波紋を呼んだ。中国企業の動揺 2人の予測通り、ロシア軍はウクライナ軍の反撃に遭い、戦争は長期化している。欧米諸国が軍事支援しているウクライナと違って、制裁を受けるロシアの軍需物資の生産は滞っている。今年2月の首脳会談で、「限界のない友好と協力」を約束したプーチンにとって、習の支援は喉から手が出るほど欲しいはずだ。 ロシアと取引がある中国国有企業幹部が、ロシアへの支援の現状について指摘する。「友好国であるロシアが経済的に疲弊しているのだから、中国として支援をするのは当然のことです。欧米による制裁によって、ロシアが入手しづらくなっている物を中心に積極的に提供しています」 ここで、ロシアによるウクライナ侵攻前後の中ロ間の貿易状況をみてみよう。中国政府の統計によると、侵攻後の3月の中国からロシアへの輸出額は前月と比べると総額では減っている。ところが、トラックは1.7倍、工業製品にいたっては2.5倍に急増している。この国有企業幹部が続ける。「ロシア側は戦況が厳しくなるにつれ、兵器などの軍需品の支援を求めています。しかし、中国の政府や企業は慎重姿勢を崩していません。欧米諸国による経済制裁に巻き込まれれば、甚大な損害が出るからです」 中国側が警戒をしているのが、ロシア側と取引をした外国企業や外国人も罰する「二次的制裁」が中国企業に適用されることだ。中国の通信会社、華為技術の副会長が2018年12月、米国の要請を受けてカナダで身柄を拘束された際の容疑も、イランとの取引を巡る制裁違反だった。今回のウクライナ戦争を巡って、ロシアの同盟国のベラルーシに対して、米国などが「二次的制裁」を科している。 だが、中国側が恐れていた事態へと発展した。バイデン米政権は6月28日、ロシア軍を支援したとして、中国の電子部品メーカーなど5社に事実上の禁輸措置を科すと発表した。今回の中国企業への制裁について、米商務省幹部は次のように警告する。「ロシアによるウクライナ侵攻後も、ロシア軍などに製品の供給を続けた。ロシアを支援すれば、米国との関係を断ち切るという強力なメッセージだ」 中国の貿易総額は世界最大の年間6兆ドル(約830兆円)に上り、世界中でサプライチェーン(供給網)を展開している。中国が経済制裁を受けるダメージは、ロシアの比ではない。前出の中国国有企業幹部は言葉を選びながら、政府の対応を批判する。「中国政府はしっかりとバイデン政権と協議をして、米側のレッドライン(越えてはならない一線)を探っており、制裁を避けられるとみていた。しかし、このままでは米国による制裁が広がるのは必至で、中国企業の間でも動揺が広がっています」父子の異なる対応 にもかかわらず、習はロシア寄りの方針を崩していない。習はなぜこれほど、プーチンをかばうのだろうか。二代にわたり習の一家と交流がある中国共産党関係者が、その背景を読み解く。「『プーチン政権の維持』こそが、死守しなければならない命題なのだ。習氏は内部会合で『中国をソ連にしてはならない。私は絶対にゴルバチョフ(当時のソ連大統領)にはならない』と強調している。ウクライナの失敗がきっかけとなって、プーチン政権の崩壊につながることは絶対に避けたいのだ」 社会主義国だったハンガリーやポーランドなどで1988年から起こった民主化を求める東欧革命は、中国共産党を震撼させた。この流れは中国にも飛び火し、翌1989年6月の天安門事件が起きた。他の社会主義国が崩壊していくなか、天安門事件で民主化を求める学生らを武力で弾圧した中国指導部について、習は2021年11月の演説でこう評した。「世界の社会主義は重大な挫折に直面したが、党は断固とした措置で、国の存亡がかかった闘争に打ち勝った。あの時の『ドミノ倒し』のような変化のなかで中国共産党による統治が崩れていれば、社会主義という実践は暗闇のなかでさまよっていただろう」 その死が天安門事件の引き金となった改革派の元総書記、胡耀邦を最後まで擁護したのが、習仲勲だった。天安門広場に集まった学生らに同情を寄せ、政治改革にも最後まで執念を燃やしていた。 この時、息子の習近平は福建省の地方政府幹部だった。事件にどのように対応したのだろうか。前出の中国共産党関係者が振り返る。「父親とは真反対の措置をとっている。隣接する浙江省から福建省に入って来ようとした学生らを阻止するように指示していた。デモ参加者を徹底的に取り締まるように厳命していた」 中国共産党にとっての最大の危機における父子の異なる対応が、その後のそれぞれの政治人生を決定づけることとなる。2人が経験した国家存亡の危機 習近平はこの時の果断な措置が評価され、出世の階段を駆け上がっていく。これとは対照的に、習仲勲は閑職に飛ばされ、不遇のまま1993年に退任した。2度の粛清に続く、事実上3度目の失脚といってもいいだろう。 これまで見てきたように、同僚や部下から愛されていた父親の人徳を、習近平は尊敬してきた。一方、3度にわたり権力闘争に敗れて失脚した父の政治姿勢を「反面教師」と習は捉え、あえて逆張りともいえるスタイルをとってきた。天安門事件で、父親の政治路線とは完全に決別し、権力を掌握して共産党による指導を固めることに専念するようになった。 同じくこの時、プーチンも祖国滅亡の瀬戸際を目の当たりにしている。 このころプーチンは、ソ連国家保安委員会(KGB)の諜報員として東ドイツのドレスデンに駐在していた。ベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日、デモ隊がKGBドレスデン支部に押し寄せた。庁内にいた当時37歳だったプーチンは、群衆が迫るなか、慌てて文書を燃やし、本国に軍事支援を求めた。だが、梨のつぶてだった。プーチンは自身のインタビュー集『第一人者』の中で、当時の心境を振り返っている。「私たちはモスクワの命令がなければ何もできない。モスクワは沈黙している。その時、この国はもう存在しないのだと実感した。もう消えてしまったのだと」 その2年後にソ連は崩壊。そして9年後にプーチンはロシア最高指導者に上り詰めた。 1952年生まれのプーチンと1953年生まれの習近平。習が2013年に初首脳会談をしたプーチンに「我々2人はとても似ていると思う」と言及したように類似点は少なくない。 共に国家存亡の危機を経験した2人は、体制維持を最優先にして、反対派を力で抑え込んで「一強体制」を築き上げていった。対外政策では、かつての「帝国」を取り戻す「夢」を掲げている。新たな国際秩序が生まれる プーチンの「夢」については、筆者が米ハーバード大学に在籍していた2013年に意見交換したズビグネフ・ブレジンスキーが明快に解説していた。カーター政権で安全保障担当の大統領補佐官を務めた国際政治学者だ。「ロシアにとってウクライナは地政学的に最も重要な国だ。プーチンは『欧州の帝国』の地位を固めるために、どんな手段を使ってでも勢力下に置こうとするだろう」 ブレジンスキーの予測通り、その翌年にロシア軍はクリミアに侵攻し、9年後にウクライナへの全面侵攻に踏み切った。 こうしたプーチンの野望に目を凝らしているのが習だ。トップ就任直後に打ち出した政治スローガン「中国の夢」は、「中華民族の偉大なる復興」を目指している。米国を追い越して世界一になり、世界の国内総生産(GDP)の半分以上を占めていた明や唐の王朝のような広大な領土と圧倒的な経済力を持つことを目指すものだ。その「中国の夢」の理論的支柱をつくった中国国防大学教授で上級大佐の劉明福は、具体像について解説する。「最も重要なのは『統一の夢』で、国家統一の完成です。習主席は在任中に台湾問題に積極的に取り組み、最終的に国家統一を実現すると確信しています」 今秋の第20回中国共産党大会で、3期目に突入する可能性が高い習が、任期内に統一に向けて動く可能性が高いだろう。 中国とロシアはかつて戦火を交えており長らく対立してきた。だが、同じ「夢」を抱いた2人の個人的な関係が、急速に両国関係を結び付けているのだ。 冷戦後、米国、ソ連(ロシア)、中国の3か国は接近や離反を繰り返すパワーゲームをしてきた。古くは1970年代、米大統領、リチャード・ニクソンがソ連に対抗するため、中国と国交正常化に舵を切った。最近では強大化する中国を牽制するため、ロシアと手を結ぶ必要性を訴える言説が米国や日本では語られている。 しかし、本連載で中ロ両国を率いるそれぞれの独裁者をつぶさにみてみると、2人の個人的な関係に基づく両国関係にくさびを入れることは簡単ではないことがうかがえる。中国で勤務経験がある米政府当局者は中ロ関係の将来について次のような見立てをする。「ウクライナ戦争における中ロの連携をみても、両国の離間は『幻想』だったと言わざるを得ない。2人のトップのどちらかが失脚もしくは死去しない限り、両国の接近の流れは止まらないだろう」 ウクライナでの「プーチンの戦争」がどのような結末を迎えるのか。それには習の台湾統一に向けた決断をも左右するだろう。いずれにしても、2人はそれぞれの「夢」の実現に向けて、連携を強めていくのは必至だ。そうなれば、欧米・日本などの「自由主義陣営」対中国・ロシアなどの「権威主義陣営」の二極化が進むだろう。 世界は今、新たな国際秩序の分岐点に立っている。(了。第1回から読む)【プロフィール】峯村健司(みねむら・けんじ)/1974年長野県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、朝日新聞入社。北京・ワシントン特派員を計9年間務める。「LINE個人情報管理問題のスクープ」で2021年度新聞協会賞受賞。中国軍の空母建造計画のスクープで「ボーン・上田記念国際記者賞」(2010年度)受賞。2022年4月に退社後は青山学院大学客員教授などに就任。著書に『宿命 習近平闘争秘史』(文春文庫)、『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』(小学館)など。※週刊ポスト2022年8月5・12日号
2022.07.29 11:00
週刊ポスト
『VOGUE』が「腋毛解放」宣言! 米ミレニアル女性は3割が「剃らない」
『VOGUE』が「腋毛解放」宣言! 米ミレニアル女性は3割が「剃らない」
 創刊130年の歴史を誇る女性向けファッション誌『VOGUE(ヴォーグ)』は、今も欧米女性たちのライフスタイルをリードする存在だ。その『VOGUE』が8月号のカバーガールに「腋毛モデル」を起用して話題を集めている。 そのモデルとは、Netflixの人気ドラマシリーズ「ザ・クラウン」でダイアナ妃に扮した英国出身のエマ・コリンさん(26)で、彼女は最近、ノンバイナリー(性自認が男性でも女性でもない人)だとカミングアウトした。「腋毛モデル」の起用についてノースウェスタン大学のマウラ・クインラン教授はこう見ている。「腋毛を処理しない若い女性は2014年頃から増えている。ミレニアル女性の10人に3人は腋毛を残している。100年前には剃毛することが美しいというのが常識だったが、今やナチュラル・ビューティの時代であり、なぜ女性だけが剃らなければいけないのかといった男女平等の意識もある。男女の違いを拒否するLGBTQ(性的マイノリティ)の主張に呼応するように、ジュリア・ロバーツ、マドンナ、アンジェリーナ・ジョリーといったハリウッドの大スターも腋毛を剃らずに堂々と公の場に出ている」 時代の先端を行く『VOGUE』がその風潮を見逃すはずもないというわけだ。同誌が最初に「タトゥー・モデル」をカバーガールに起用したのは2017年7月号だった。これは20代のアメリカ人女性の間でタトゥーがはやり出した時期と一致しており、今ではミレニアル世代の女性の29.4%がタトゥーを入れているという調査もある。 もう少しさかのぼると、同誌が黒人モデルの起用に踏み切ったのは今から48年前の1974年(公民権法が成立して10年後)。半世紀後の現代では黒人がモデル界を席巻していることはご承知の通りである。 そして、同誌がLGBTQモデルを表紙に登場させたのは、ちょうど1年前の8月号。また、今年の1月号では、相次いだヘイトクライムを意識したようにアジア系モデルを起用した。同誌の表紙はアメリカ社会の動きを敏感に反映してきただけに、今回のエマ・コリン起用は本格的な「腋毛解放」の起爆剤となるかもしれない。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(医学部)のタミー・ロウエン教授は、理由の一つに健康・衛生上の問題もあると指摘する。「腋は神経過敏な部位。だからこそ毛で保護されている。これを処理するためのクリームや器具が皮膚を傷つけるケースも少なくない。それを嫌う女性も増えている。実は剃毛の習慣はそこまで古くはなく、1920年代に女性たちがノースリーブを着るようになってからだ。それまで見えなかった腋が男たちの好奇心の的になったのだ。 その後、ウーマンリブ運動やセクハラ追及の流れのなかで、男目線の審美眼ではなく女性自身のナチュラル・ビューティが強調され始めた。そして今、腋毛をそのままにしておくのも剃るのも女性の自由でしょ、という風潮が高まってきた」 そもそも剃毛が20世紀の新常識だったというなら、21世紀には違う価値観が出ることも大した驚きではないが、現代でも必ずしも「自然のまま」が好まれるわけではない。「腋毛」と逆行しているのが「ピュービック・ヘア(陰毛)」なのだ。 ロイター通信によれば、アメリカ人女性の80%はシェービング、ワックス、トリミングなどでピュービック・ヘアを処理しているという。その理由として、18歳から65歳の女性のうち60%は衛生、32%が美的感覚、56%がセックスを挙げている。前出のロウエン教授はこう言う。「陰毛は女性器のデリケートな部分のクッションであり、バクテリアやばい菌の侵入を防ぐ重要な役割もある。それを処理するのは機能性というよりも審美重視、まあ流行第一主義ということだろう」 いずれ『VOGUE』が「ピュービック・ヘア解放」に立ち上がる日もくるかもしれないが、表紙でモデルがそれを披露することはアメリカの雑誌界の常識としてあり得ないだろう。■高濱賛(在米ジャーナリスト)
2022.07.28 07:00
NEWSポストセブン
死因について様々なうわさも
中国に出稼ぎの北朝鮮労働者へのコロナ対策費用1人20万円 経営者悲鳴
 中国で北朝鮮労働者を雇っている企業や工場で、新型コロナウイルスの陽性者が出た場合、経営者はPCR検査や専門の施設への隔離などの費用を1人当たり1万元(約20万円)支払わなければならないことが分かった。北朝鮮と国境を接する遼寧省丹東市など中国東北部の都市には多くの北朝鮮労働者が出稼ぎに来ており、費用の捻出に頭を痛めているが、ある経営者は「赤字になっても労働者を北朝鮮に帰すわけにもいかず、破産覚悟で雇い続けなければならない」と困惑気味に語っているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 人口約230万人の丹東市では、鴨緑江対岸の北朝鮮で感染が拡大した影響で、鉄道は3月から、航空便は4月からそれぞれ運航が停止。4月下旬からは市内でも断続的に数人から数十人程度の感染者が出たことで商店などを閉鎖、学校もネットで授業を行うなどの措置を取っており、これまで3か月も事実上のロックダウン(都市封鎖)が続いている。 5月には丹東市内の企業で働いていた20人の北朝鮮労働者に感染の症状が出たため検疫措置がとられたが、病院に空きがなく、感染者は会社の寮に隔離されたという。 また、300人の北朝鮮労働者を雇っている衣料工場はもともと衣類を生産していたが、新型コロナウイルスの防護服の生産に切り替えたという。「北朝鮮人労働者300人は(自分たちが作った)防護服を着て仕事をしたが、それでも自分たちの感染を防ぐことはできなかった」と工場関係者は明らかにしているという。 丹東市内には約3万人の北朝鮮労働者がいるとみられ、中国政府は外国人の検疫費用を1人当たり1万元と決めている。会社経営者は検疫費用だけで大きな負債を抱えることになる。 また遼寧省ばかりでなく、吉林省や黒竜江省でも北朝鮮労働者を多数雇っている企業があり、経営者は対応に追われている。 北朝鮮の労働力輸出は、国連の対北朝鮮制裁で海外での就労ビザの発行が凍結され、2019年末までに海外で働く北朝鮮人の送還が義務付けられたため、海外で働く北朝鮮労働者はいないはずだが、米国務省は「北朝鮮政府は制裁を回避するために、中国やロシアに短期の就学ビザや訪問者ビザで労働者を派遣している」との報告書を発表している。
2022.07.27 07:00
NEWSポストセブン
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮の高麗航空旅客機が1年半振りに飛行 平壌─北京間の運航再開へ
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、運航を停止していた北朝鮮国営の高麗航空の旅客機が7月中旬、平壌市の空港から同国内の東海岸へ異例の旋回飛行を行ったことが、飛行追跡データで明らかになった。北朝鮮の航空機の飛行が確認されたのは約1年半ぶりとなる。 また、高麗航空は最近、主力航空機であるロシア製ツポレフ機の各種部品約100万ドル(約1億4000万円)分を輸入したことが分かっており、近く国際便の運航を再開するとみられる。北朝鮮関連のニュースを専門とする独立系ニュースサイト「NK NEWS」が報じた。 同じ日に撮影された低解像度の衛星画像には、平壌国際空港のターミナル前に数機の航空機が並んで駐機している様子が写っており、複数の航空機が同様のルートを飛行した可能性があるという。 国連の北朝鮮専門家委員会が最近、発表した報告書によると、高麗航空は2機のツポレフTU-204中距離ジェット機のうちの1機用にガスタービン補助動力装置など、全部で約100万ドル分の各種航空機部品を購入していることから、近く平壌─北京間の航空便の運航が再開する可能性が高いと見られる。
2022.07.26 07:00
NEWSポストセブン
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
中国のSNSで「535」などの隠語が流行 当局による「文字の獄」に対抗
 中国のネットユーザーは、中国共産党指導者への批判めいた書き込みをすると「ネット警察」によって摘発される可能性もあることから、さまざまな隠語や造語を使って、摘発を逃れようとしている。一見すると、何のことだか分からないものの、かつての「焚書坑儒」を彷彿とさせる中国当局による「文字の獄」に対抗しようとしているのだ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じている。 最近話題になっている隠語は、「535」という数字だ。実は「6月4日」の隠語で1989年の6月4日に起きた民主化運動を弾圧した天安門事件を指す。「535」を「5月35日」とすれば、5月は31日しかないので、35引く31は4で、6月4日となる。 天安門事件当時、中国人民解放軍の戦車の前に立ちはだかって、戦車群の進軍を阻んだ大学生のことが世界中のメディアによって「タンクマン」として報じられたが、これを表す隠語が「油罐人」だ。「油罐」は石油タンクなので、「油罐人」は「タンクマン」となる。 最近の中国の政治問題では、習近平国家主席が、今年秋の第20回党大会で、異例の主席3期目を決め、終身最高指導者の座を狙っていると報じられる。中国では最高指導者への批判や悪口はタブーなだけに、SNSなどで「習近平」と書き込むと、内容はどうあれ、ネット警察に消されてしまうことが往々にある。 この習近平の隠語が「細頸瓶」だ。中国語の発音では「XIJINPING」となり、「習近平」の発音と全く同じなので、「細頸瓶が最近、○○をした」など書いて、習近平をあてこする場合使っているようだ。 また、「荷蘭(オランダ)銀行」は文字通り読むと「オランダ銀行」だが、「荷蘭」は「河南省」の「河南」と発音が似通っているため、「河南省の銀行」の意味となる。最近、河南省では市民ら41万人の銀行口座の預金が引き出せず、3000人の市民が中国人民銀行鄭州支店の前で「習近平の『中国の夢』は破れた」、「李克強総理は金を返せ」といった横断幕を掲げて、デモ行進や集会を行った。そこに白ずくめや黒ずくめの服を着た暴漢が市民に殴りかかり、多数の負傷者が出るという事件が起こっているが、この「荷蘭銀行」はこの事件を揶揄する際に使われている。 このような隠語や造語について、SNSの新浪微博は「文明的で健全なコミュニティの秩序を維持するため、調和語や異体字などの『誤字』を使って微博に好ましくないメッセージを掲載・拡散する行為を是正しよう」と呼びかけた。しかし、これに対して、一部ネットユーザーは「中国当局による『文字の獄』をなくすのが先決だ」などと批判している。
2022.07.24 07:00
NEWSポストセブン
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮、新型コロナ感染で死亡した兵士に名誉の証「戦死証明書」を授与
 北朝鮮では今年4月の大規模な軍事パレードに参加したのち、新型コロナウイルスに感染して死亡した軍兵士に対して、特例として「戦死証明書」を授与していることが明らかになった。この戦死証明書は、これまで戦闘訓練中や、南北を隔てる非武装地帯で時折発生する韓国軍との小競り合いで死亡した場合など、兵士としての勇猛果敢さを称えるためのもので、授与されるのは極めてまれだという。 この証明書を受け取った遺族に対しては、食料の配給が増えたり、政府の仕事や党の役職に応募する際に特別に優遇されたりすることもあった。しかし、最近では北朝鮮の経済が停滞していることなどから、証明書の恩恵はほとんどないという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 4月末のパレードには全国から10万人以上の軍人、兵士が参加、平壌にある軍事大学の学生も多数加わった。その直後から感染した兵士らは平壌の隔離施設で集中治療を受けたが、満足な治療薬もなく死亡した例も多く、彼らは直ちに平壌市郊外の大峰山火葬場で荼毘に付された。 北朝鮮政府は今年5月まで、2年間にわたり新型コロナウイルスの国内での感染を否定し続けてきたが、その後、軍事パレード参加者の間でウイルスの感染が拡がったことを認め、「死亡した兵士のために緊急的な対応をとる」を軍内で発表。家族に兵士らの遺骨を返す際に、名誉ある 「戦死証明書」が授与されることが決定されたという。 パレードの参加者は、厳密には戦闘で死亡したわけではないが、パレード中に軍票を携帯していたため、パレードは戦闘訓練とされ、死亡した兵士に戦死証明書が授与されることになったという。 ある市民はRFAに対して、「遺族は何も言えず、遺骨とともに証明書を受け取りながら涙を流し、『元気だった息子が軍事パレードのために死んだと思うと不憫でならない』などと憤慨している」と語っている。 本来ならば、戦死証明書を受け取った遺族には党政府機関などの就職や人事決定での優先権など多くの特典を与えられるはずだったが、最近では北朝鮮の極端な経済的困難と、ほとんどの人事が賄賂によって決定されるため、「証明書はただの紙切れになっている」とRFAは報じている。 死亡証明書を授与された兵士は少なくとも「数百人」と報じられている。
2022.07.23 07:00
NEWSポストセブン
プーチンも父親の影を引きずっていた(写真/ロイター=共同)
【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり プーチンをウクライナ侵攻へ駆り立てた父のトラウマ
【プーチンと習近平・連載第4回】習近平が父親に対して抱いた複雑な想いが今日の彼に影響を与えたように、プーチンもまた、父親の影を引きずっていた――。ジャーナリスト・峯村健司氏がレポートする。(文中敬称略。第1回から読む) * * *もっとも尊敬する人 2019年1月22日、モスクワのクレムリン(大統領府)。ロシア大統領のウラジーミル・プーチンは執務室に日本の首相、安倍晋三を招待した。プーチンはあいさつもそこそこに、執務室の奥にある小部屋に安倍を招き入れた。「私の休憩室です。どうぞ入って下さい」 安倍が通された部屋は、プーチンが仮眠をとったり本を読んだりする時に使うプライベートな空間だった。側近にすら入室を許したことはほとんどなく、外国首脳を招客したのは、極めて異例だった。 そのおよそ2か月前のシンガポールであった首脳会談で、歯舞群島と色丹島の2島を引き渡すことが明記された1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させることで合意した安倍を厚遇したようだ。 安倍が休憩室に入ると、男性の肖像画が目に入った。その人物について安倍が尋ねると、プーチンは目を細めて説明を始めた。「これは私の父の肖像画です。もっとも尊敬している人物の一人です」 27回の首脳会談をした安倍は、プーチンと父との関係についてこう振り返る。「雑談の中で父親との思い出話をよくしていました。『優秀な潜水艦乗りだった』と誇らしげに話していたのが印象に残っています。『私が信頼を置く人物は、自分の父親を尊敬している人です』とも言っていました」 プーチンの父親とは、どのような人物なのだろうか。 ロシア大統領府のホームページには、「父のウラジーミル・スピリドーノヴィチ・プーチンは、第2次世界大戦でレニングラード(現サンクトペテルブルク)の防衛に参加し、傷痍軍人となった」とだけ書かれている。 公開情報はほとんどないが、プーチンが自らのインタビューをまとめて2000年に出版した『第一人者』(邦訳=『プーチン、自らを語る』扶桑社)の中で、出自について詳しく説明している。 プーチンの祖父は料理人だった。ソ連を樹立したウラジーミル・レーニンと、その後任のヨシフ・スターリンの別荘で働いている。2代のソ連の指導者に料理人として仕えたことから、忠実な共産党員だったことがうかがえる。 父、ウラジーミル・スピリドーノヴィチ・プーチンは、海軍の潜水艦乗組員として兵役についた。復員後はソ連第2の都市レニングラードの車両製造工場で勤務した。1941年、ナチス・ドイツがソ連に侵攻すると、志願兵として前線に出征した。諜報活動をする内務人民委員部の部隊に所属し、ドイツ軍の背後で鉄道やインフラを破壊する特殊任務に携わった。後にプーチンが、ソ連の秘密警察、国家保安委員会(KGB)の諜報員になったのも、父の影響があったのだろう。レニングラードのトラウマ プーチンの父はその後、ドイツ軍がレニングラードを包囲した際にも参戦した。ドイツ軍は都市を封鎖することで陥落を狙った。900日に及ぶ兵糧攻めによって、多くの市民が餓死や病死した。当時1歳だったプーチンの兄も病死した。内務人民委員部の資料によると、飢えの余り人肉を食べる市民も出たほどだった。 プーチンの父は、レニングラード郊外のネフスキー・ピャタチョークと呼ばれる激戦地での戦闘にも参加し、片足が動かなくなるほどの重傷を負っている。この戦闘がきっかけとなり、1943年1月のドイツ軍による封鎖突破につながった。 ソ連は連合国として勝利したにもかかわらず、犠牲者は2700万人に上る。当時の人口の1割以上を失ったことになる。中でもレニングラード包囲戦の犠牲は甚大で、死者は100万人を超えた。 プーチンが生まれたのは終戦から7年後の1952年。だが、独ソ戦は、プーチンの人格形成に影響を与えたようだ。「父親は戦場でかなりの重傷を負った。何とか生きて帰ってきたが、何か月も入院していた。母親は餓死する寸前だった。空腹の余り気を失って、他の死体と並べられたこともあった。母が生き延びたのは奇跡だと思う。私が生まれてきたことを神に感謝する」 プーチンは大戦中の両親の惨状について、こう振り返っている。 ロシアで勤務したことがある米政府関係者からプーチンにまつわるエピソードを聞いたことがある。筆者がワシントン特派員をしていた2018年のことだ。プーチンが、面会する要人らに語る父との思い出話があるという。「父がレニングラード包囲戦で負傷して動けなくなっていた時、救助してくれた人がいたが、礼を言えないままだった。ある日偶然、『レニングラード市内のスーパーでその恩人と出会えた』と興奮して嬉しそうに家に帰ってきた父の姿を今でも鮮明に覚えている」 プーチンにとっては、父が負傷した戦いには、特別な思い入れがあるようだ。実際、プーチンはネフスキー・ピャタチョークに、戦争を記念する博物館を2018年につくっている。「だからこそ」と、前出の米政府関係者は強調する。「レニングラード包囲戦を通じて、プーチンは戦争の悲惨さを身に染みて感じています。そのため、プーチンは全面戦争をできるだけ避け、犠牲が少ないやり方を選ぶ傾向にあると分析しています。2014年のウクライナのクリミア半島侵攻の際に激しい戦闘を避けて『ハイブリッド戦争【*】』を選択したのも、『レニングラードのトラウマ』があったからでしょう」【*軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした戦い方。国籍を隠した部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などがある】父親と兄の復讐 ところがこの4年後、この米政府関係者の分析と予測は完全に外れることになった。 プーチンは今年2月24日、「特別軍事作戦」と称して、ウクライナ侵攻を始めた。多くの民間人を殺害し、ウクライナ南東部のマリウポリでは、ロシア軍が地域全体を包囲して、補給路を断ち、餓死による犠牲も出ている。さながらレニングラード包囲戦のようだ。 ソ連側の一員として同じくナチス・ドイツと戦ったウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーは5月8日のビデオ演説で、ロシア側を厳しく批判した。「悪が戻ってきた。別の軍服を着て、別のスローガンのもとに。だが目的は同じだ。ナチスと同じことをしている」 前出の米政府関係者はロシアに人脈を持っており、長年分析に携わっている。にもかかわらずなぜ、プーチンの思考と行動の分析を誤ったのだろうか。今年3月に改めて見解を尋ねた。「全面侵攻は完全に予想外でした。クリミア侵攻のやり方とは大きく異なり、同じ人物による戦争とは思えないほどです。父親や兄の復讐をするかのように、ウクライナに対してあえて残虐な行為をしているようにすら感じます」 プーチンは開戦以来、ウクライナ側を「ネオナチ」と執拗に呼称して、攻撃を続けている。さらに、独ソ戦の犠牲者を現在のロシア・ウクライナ戦争と関連づけるような言動を始めた。 77年前にナチス・ドイツが降伏した「対独戦勝記念日」である5月9日。プーチンはモスクワの「赤の広場」で、父の遺影を持って現われた。軍服を着た若いころの白黒写真で、彫りが深い鋭い眼光は、プーチンと瓜二つだ。 第2次大戦に従軍した兵士らをたたえ、その遺族や家族が写真を掲げて行進する「不滅の連隊」と呼ばれる行事だ。2012年に不戦と和解を願って、市民団体が始めた小さなイベントだった。 ところが2015年にプーチンが初参加したことで様変わりする。政府がイベントを直接管理するようになり、政治色が強まった。ロシア全土で1000万人以上が参加する国威発揚のイベントへと変わった。プーチン演説がはらむ矛盾 新型コロナの影響で3年ぶりの開催となった今年のイベントは、例年とは趣が異なった。プーチンの演説に如実に表われていた。「征服を許さなかった勇敢な戦勝者の世代を誇りに思い、彼らの後継者であることを誇りに思う。われわれの責務は、ナチズムを倒すことだ」 プーチンの演説は、第2次世界大戦の犠牲者の追悼から、ウクライナ侵攻に携わっているロシア兵へのメッセージへと変わる。「あなた方は祖国のために、未来のために、そして第2次世界大戦の教訓を誰も忘れることがないように戦っているのだ。この世界から、迫害する者、懲罰を与える者、そしてナチスの居場所をなくすために」 第2次世界大戦でロシアが戦ったナチス・ドイツと重ね合わせるように、ウクライナ側を「ネオナチ」と強引に結び付けている。 そのうえで、プーチンは演説をこう締めくくった。「ロシアが行なったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。それは不可欠で唯一の正しい判断だった。ロシアのために! 勝利のために! ウラー!(万歳!)」 ロシア兵も「ウラー!」と三唱し、プーチンの演説に応じた。 これまでのプーチンの演説の最後は、「勝利の日、おめでとう!」と呼びかけていた。だが今年は、プーチンは国民に団結を訴え、ウクライナへの侵略を正当化したのだ。 だが、このプーチン演説はいくつかの矛盾をはらんでいる。 そもそも第2次大戦のソ連側の犠牲者2700万人の中には、ウクライナ人も含まれている。戦勝記念日は、世界最大の犠牲者を出したソ連が、犠牲者を悼み、平和を訴えるために開かれてきた。 一方、今年の式典では、ウクライナ侵攻によって、「ロシアの勝利」ばかりが前面に打ち出された。プーチンの思う通りに戦況が進んでいない焦りが背景にあるのだろう。「プーチンの戦争」を美化するために、父親も含めた第2次大戦の犠牲者をプロパガンダのために利用したといってもいいだろう。 プーチンの第2次大戦の勝利と愛国主義を融合する動きは、大統領就任の直後から色濃く出ていた。 当時ナチス・ドイツと戦ったソ連国民の心を支えたのが、ソ連の国歌だった。「自由な共和国の揺るぎなき連邦を偉大なるルーシ(ロシアの古名)が永遠に固める」 勇ましい旋律で愛国主義を鼓舞している。歌詞に手を入れて完成させたのは、プーチンの祖父が料理人として仕えたスターリンで、自身を賛美する歌詞となった。しかし、スターリンの没後、歌詞が批判されて、演奏しか許されなかった時期が続いた。その後、ソ連崩壊とともに破棄された。 プーチンが2000年に大統領になると、ソ連国歌のメロディを復活させ、ロシアを讃える歌詞をつけてロシア国歌を制定した。独ソ戦での勝利へのこだわり そのプーチンが始めたウクライナ侵攻は、収束のめどがたっていない。ロシア軍は攻勢を強める一方、ウクライナ軍も抵抗しており、泥沼化している。 ここで一つ疑問が湧く。プーチンの「レニングラードのトラウマ」はなぜ、戦争の抑止につながらなかったのだろうか。前出の米政府関係者に尋ねた。「多大な犠牲を払ったからこそ独ソ戦での勝利へのこだわりが人一倍強いのでしょう。しかもプーチン本人は戦争を体験していない。父から聞いた英雄的な美談だけが記憶に残っているようです。プーチンの『トラウマ』は愛国心に昇華されたのでしょう」 プーチン自身も、トラウマや危険を恐れず、逆に第三者に対して攻撃的な対応をする性格であることを認めている。『第一人者』の中には次のような文言がある。「恐怖とは、痛みに似ていて、感情の目安となる。危機的状況でうまく対応するには、熱狂的にならなければならない。こちらがビクビクすれば、相手は自分たちのほうが強いと思うようになる。そんな時に有効なのはただ1つ、攻めることだ。先手を打って、相手が立ち上がれないほどの打撃を与えねばならない」 欧米や日本が、ロシアに対して経済制裁を科しており、経済状況は急速に悪化している。世界銀行はロシアの今年の国内総生産(GDP)の成長率をマイナス11.2%と見込んでいる。だが、プーチンは追い込まれるほど、かえって強硬に出る可能性がある。 プーチンはどのような出口戦略を描いているのだろうか。この米政府関係者は続ける。「独ソ戦は4年間にわたりました。プーチンは長期戦を覚悟しており、どれだけ犠牲を払っても戦争に勝利しなければならないと考えているはずです」 プーチンがウクライナへの侵攻を続けられるかどうかのカギを握るのが中国の存在だろう。経済制裁によってロシアが孤立する中、中国への依存は高まっている。仮にロシアが停戦をする場合でも仲介者としての中国の役割は欠かせないからだ。 今のところ盟友、習近平はプーチンを支える姿勢を崩していない。だが、足元の中国政府内では、習のプーチン寄りの姿勢に対して、不満の声がくすぶり始めている。(第5回につづく)【プロフィール】峯村健司(みねむら・けんじ)/1974年長野県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、朝日新聞入社。北京・ワシントン特派員を計9年間務める。「LINE個人情報管理問題のスクープ」で2021年度新聞協会賞受賞。中国軍の空母建造計画のスクープで「ボーン・上田記念国際記者賞」(2010年度)受賞。2022年4月に退社後は青山学院大学客員教授などに就任。著書に『宿命 習近平闘争秘史』(文春文庫)、『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』(小学館)など。※週刊ポスト2022年7月29日号
2022.07.20 19:00
週刊ポスト
死因について様々なうわさも
中国市民の亡命希望者が急増 2012年は年間1万2000人、2021年は14万人
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は6月中旬、2012年から昨年までの10年間で、約73万人の中国市民が亡命を求めており、17万人以上が難民として中国国外に居住しているとの統計を発表した。2012年の亡命者数は約1万2000人だったが、その後、急増しており、2021年には14万人まで達していることが明らかになった。 中国の習近平国家主席は2012年秋に中国共産党総書記に就任しており、その後の亡命者の急増は習近平指導部による新疆ウイグル自治区やチベット自治区などの少数民族統治や反腐敗運動などによる人権無視の過酷な政治的弾圧を裏付けていると、UNHCRはコメントしている。 報告によると、2002年から2012年までの胡錦濤指導部時代の亡命者数は2002年に2万人を超えていたが、その後は2万人以下で推移。2010年は5000人を下回った。 しかし、2012年以降の習近平指導部時代に入ると、2013年に約4万人、2014年は6万人、2015年が7万人、2016年が8万人、2017年には10万人の大台を越え、2019年から2021年の3年間はそれぞれ12万人を超えるなど急激に増加している。 亡命先の国としては、2021年の1年間では米国が8万8722人と最も多く、次いでオーストラリアの1万5861人、イギリスが2428人、カナダの1318人と続いている。地域としては、英国とロシアを除く欧州諸国全体が2323人、南米諸国が5904人、アジア諸国は1755人となっている。ちなみに中国と隣接するロシアはわずかに16人。アフリカ諸国も149人だった。 国際的人権団体の「セーフガード・ディフェンダーズ」は「昨年は14万人とこれまで最高の数字を記録したが、これらの数字は習近平指導部による少数民族弾圧による影響に加えて、強制力が強い『ゼロコロナ政策』の影響も反映されているのは間違いない」とコメントしている。 これに加えて、注目されるのは、これらの亡命者数には香港市民は含まれていないことだ。香港では言論の自由などを取り締まる香港国家安全維持法が2020年6月30日に施行されて以来、海外への移住者が急増した。 英国政府が2021年1月から香港に住む「英海外市民(BNO)旅券」保持者らを対象に、英移住を後押しする特別ビザ制度を開始して以来、1年2カ月間で12万人超がビザを申請しており、香港からの移住者を含めると、中国からの実質的な亡命者数はさらに増えることになる。
2022.07.20 07:00
NEWSポストセブン
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
上海のレストランで闇営業 客は2階に上りスマホの明かりで食事
 中国上海市では6月初めに新型コロナウイルスの感染予防の都市封鎖(ロックダウン)措置が解除されたが、いまなお感染者が出ている地区では、外食が原則禁止となっている。だが、規制の目をかいくぐって客を入れて、スマートフォンの灯りで食事をさせているレストランがあることが分かった。 ネット上では「店内での食事は原則禁止、テイクアウトのみなので、警官に見つからないように、2階でこっそり食べるしかない」との客の声が書き込まれている。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」が報じた。 レストラン側では、従業員ならば店内で食事をしても構わないだろうと、来店した客にそこで働くための仮の入社の契約書に署名させて、食事が終わると、署名した「辞表」に提出してもらうという手の込んだ手続きを要求するところもあるという。 あるレストランオーナーは博訊新聞網に対して、「3月から3か月間のロックダウン期間中はまったく営業できなかった。ロックダウンが解除されたので、やれやれと思っていたところ、テイクアウトだけだったので、本当にがっかりした。こちらも生活がかかっているので、闇営業をするしかない」と話している。 上海では、このほかにも、通常の市民生活は回復していない。市民が病院やスーパーマーケットに行くために居住地を離れる場合、過去48時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられている。このため、ほとんどの市民が会社に出勤したり、通学したりする場合、2日に1回は必ずPCR検査を受けて陰性証明書を発行してもらう必要があることになる。 中国南部の深セン市でもタクシーやライドシェアを含む市内の公共交通機関を利用する人に対して、上海市同様の陰性証明書の提示が要求されている。北京でも7月に入って、感染者が出た地区ではPCRの検査が義務付けられている。 これについてネット上では「このようなPCR検査の強制は公衆衛生政策というよりも、地域の党幹部の政治的パフォーマンスだ。党幹部は感染予防に失敗すると厳しく罰せられるので、とにかく党中央から叱責されないために、住民に負担を押し付けている。当局の自己保身ではないか」との声が出ている。
2022.07.17 07:00
NEWSポストセブン
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
中国最新空母「福建」 電磁カタパルト搭載も短時間でガス欠の懸念
 中国で初めて艦載機を発進させるための「電磁カタパルトシステム」を搭載した空母「福建」が6月、進水した。これまでの2隻の空母「遼寧」と「山東」は艦載機発進の際、スキーのジャンプ台のように反り上がった甲板を使っていたが、原子力空母ではない福建は膨大な電力を消費する電磁カタパルトシステムを搭載していることで、戦闘態勢に入った際、短時間で「ガス欠」状態になることが懸念されている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 電磁カタパルトシステムの空母はスキージャンプ方式の空母より多くの艦載機を搭載可能で、艦載機の暖気時間が短いため発進も速やかに行えるなど、艦載機の離発着回数を増やせるメリットがある。 その一方で、電磁カタパルトを稼働することにより膨大な電力を消費することが難点とされ、福建は原子力空母ではないことから、補給なしの航続距離が限られることになる。 福建よりも前に、電磁式カタパルトを採用しているのは米国の「ジェラルド・R・フォード(GRF)」だけだが、GRFは米国にとって約40年ぶりの就役となる最新鋭空母であり、2017年7月にGRFの就役式に臨んだ当時のトランプ米大統領が「世界に向けた10万トン級のメッセージだ」と述べたほどの巨艦であり、ニミッツ級空母の3倍の発電力を誇る原子炉を搭載。この巨大な発電能力により、GRFは新たなテクノロジーを搭載することが可能となった。 その最たる装備がこの発電能力を活用した電磁式カタパルトであり、より重い艦載機を射出できるのみならず、負荷も小さく、機体の摩耗や劣化を抑えることができる。 ところが、福建の場合、その動力はディーゼルエンジンであることから、GRFに比べると、その発電能力は格段に落ちることが予想される。さらに、福建は航行用の電力を発生させるために3基のディーゼルエンジンを搭載しているほか、電磁カタパルトを使用するために、さらにもう2基のディーゼルエンジンを積んでいるため、航行スピードが落ちる。 このため、福建は、実際の戦闘では、戦闘機やミサイルによる攻撃の格好の餌食になることが考えられるなど、「張り子の空母」となる可能性も否定できないとの見方が出ている。
2022.07.16 07:00
NEWSポストセブン

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