ライフ

臓器に沈着し機能障害を起こす難病「全身性ALアミロイドーシス」

全身性ALアミロイドーシスの症状と対策は?(イラスト/いかわ やすとし)

全身性ALアミロイドーシスの症状と治療法は?(イラスト/いかわ やすとし)

 原因不明の心不全による突然死や足のむくみで発見される腎不全の中には臓器に異常なタンパクが沈着する、全身性ALアミロイドーシスが含まれる。近年、診断方法は確立したが、進行しないと自覚症状がないために早期発見が難しい。今年、異常なタンパクを産生する形質細胞の働きを抑制する抗体医薬が保険承認される予定で、治療の選択肢が広がりつつある。

 全身性ALアミロイドーシスとはアミロイドと呼ばれる水に溶けない線維状の異常タンパクが心臓、腎臓、肝臓、消化器などに沈着し、多臓器障害を起こす病気だ。

 進行しないと自覚症状に乏しく、結果的に発見が遅れる傾向にある。発症は100万人に7人で厚生労働省は難病に指定。60代での発症が多いが、30代も確認されている。

 全体の約半分が原因不明で死亡するといわれ、患者のうち、15%が1年以内に心臓疾患で死亡、10%が腎不全から人工透析になる。以前は解剖で全身性ALアミロイドーシスだったことがわかるケースも多かった。

 日本赤十字社医療センター骨髄腫アミロイドーシスセンターの鈴木憲史センター長に話を聞いた。

「この病気には決まった症状がありません。足のむくみで腎臓内科を受診し、検査で全身性ALアミロイドーシスだと診断されたり、何度も失神を繰り返す原因不明の心不全が、実はこの病気だったという例も。下痢と便秘を繰り返すため大腸内視鏡で細胞を検査したら、アミロイドが検出され、ようやく診断がつくこともあります。他にも舌の縁の歯型で見つかるケース。タンパクが舌に付着して厚くなるため歯型が付きやすくなります。このように沈着する臓器により、症状は様々です」

 現在は診断技術が確立し、発見が容易になった。血液検査と骨髄か皮下脂肪の組織を取り、生検で診断。全身性は2か所以上にアミロイドの沈着が認められる場合のみ診断される。

 しかし、例えば声帯にアミロイドが沈着して声が出ない、膀胱に沈着し、血尿が出るなどの限局性のアミロイドーシスは治療の対象にならず、検査後は経過観察となる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン