国内

大阪西成の蚕カフェに見る商売のヒント コラムニストが論考

 カフェに特色をプラスした「○○カフェ」がブームだ。大阪市西成区には珍しい昆虫をテーマにしたお店も。テーマカフェから大人力コラムニストの石原壮一郎氏がビジネスヒントを探る。

 * * *
「誰もやったことがない新しくて斬新で大胆な業態」というのは、思いついたほうは嬉しくても、狙いや魅力が伝わりづらくてたいてい失敗します。その点、ちょうどいいのが、カフェというお馴染みの業態に目新しい特徴を加えた「○○カフェ」。メイドカフェや猫カフェはすっかり定着しましたが、カフェはまだまだ無限の可能性を持っています。

 新たなビジネスのヒントがもぞもぞとうごめいていそうなのが、ネットで話題を呼んでいる大阪市西成区の「おかいこさまカフェ」。お店では元気いっぱいの22匹のカイコが、日常に疲れたお客さんを癒そうと待ちかまえてくれています。常連客のひとりが「生活に身近な絹を生む養蚕文化に触れるプロジェクト」として企画したとか。

 着目したいのは、カフェという響きには不似合いで、けっして「人を癒す」という仕事が向いていると思えないカイコを雇ったところ。単に面白がったり気持ち悪がったりしていないで、何かを学んで何かにつなげてしまうのが大人の気合いです。

 カイコがありなら、虫つながりで言うと、カブトムシカフェやクワガタカフェだって可能なはず。濃いマニアがいる領域を狙うとすると、蝶の標本カフェや、あるいは珍しい蝶が飛び回っている熱帯カフェもよさそうです。冷たい飲み物がよく売れそうだし。カマキリの卵カフェは……これはさすがにインパクトが強すぎるかもしれませんね。

 言わずもがなですが、「カイコ」といっても仕事の解雇とは関係ありません。ただ、偶然なんですけど、ちょっとギクッとはします。あえて意識して、ダジャレ的なイメージの広がりを狙ってみるのも一興。「おかいこさまカフェ」の近くに、区が主体となり、揚げパンやカレーシチューなどの学校給食的なメニューを取り揃えて、しかも仕事も探せる「きゅうしょくカフェ」をオープンさせるのはどうでしょうか。区長、ぜひご検討ください。

「おかいこさまカフェ」ではカイコを食べるわけではありませんが、ウリにするメニューで意外性を演出する手もあります。ローカルフードブームも意識しつつ、好きな人にはたまらないとなると「いぶりがっこカフェ」や「鮒寿司カフェ」なんて面白いかも。

 ちなみに、カフェという響きに十分に似合うオシャレでメジャーな食べ物ではありますが、先日都内某所で行なわれた一日限定の「伊勢うどんカフェ」は、押すな押すなの大盛況でした。いやまあ、行なわれたというか、私の主催だったんですけど。手前ミソですいません。

 「おかいこさまカフェ」は、カイコが繭になる2月末までの期間限定。繭になったらカフェを解雇されるわけですね……。そしてその後は……。いろいろ考えすぎると癒されるどころではなくないそうですけど、一心不乱に桑の葉をかじる姿を見つめることで、今を精いっぱい生きろというメッセージを受け取ることができるに違いありません。

関連記事

トピックス

店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト