ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などに取り組むとともに、震災後は被災地をサポートする活動を行っている。その鎌田氏が、沖縄が長寿日本一から転落した理由について語る。
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2月末、厚生労働省から日本人の平均寿命が発表された。長野県が男女ともに1位になり、全国一の長寿県になった。
平均寿命は、5年に1度発表されるが、男性は1990年から連続で1位になり、80.88歳。女性部門はこれまで1位になれなかったが、今回は初の首位獲得で、87.18歳だった。
ここにきて、なぜ、沖縄が1位から転落したのか。厚生労働省が発表している『国民健康・栄養調査』(平成18~22年の5年間の平均値)によれば、沖縄では、野菜の摂取量は激減し、男性は45位、女性は44位という結果になった。そして沖縄の男性の肥満度は45.2%で全国一になってしまった。
病気の中心が感染症だった時代は、多種多様な栄養を摂れるほうが長寿になりやすかった。しかし日本全体が豊かになり、感染症よりも生活習慣病による血管の病気のほうが深刻になってきた。その予防には抗酸化力の強い野菜が重要になる。
かつての長寿県・沖縄は復活するのか。どこの県でも長寿になるのは簡単だ。「魚や野菜を食べよう」という運動をすることだ。肉を減らし、ウオーキングなどの軽い運動をする。やらなければいけないことははっきりしているのだから、要はやるか、やらないかなのだ。
※週刊ポスト2013年4月19日号