女性手帳を配布するのかと思いきや見送ったり、3年間の育休を提案したり、かと思えば女性の管理職の比率を上げると具体的な数値目標を設けたりと、とにかく女性に対しての提言の多い安倍政権だが、当の女性たちの意見はどのようなものがあるのだろうか。
30歳の派遣社員の女性は、「とにかく、少子化を解決するのも、労働力を増やすのも女性にばっかり頼っているという感じで、ちょっとしんどいです」と語る。未婚の彼女は、女性手帳を配ると聞いたとき、「なんだか子供を産まないと今後肩身が狭いのかな」とも考えたという。
34歳のOLは、環境省のクールビズに対する呼びかけに違和感を持ったという。「女性に涼やかな印象を与える色使いにしまようとか、余計なお世話ですよ」とご立腹だ。また別の37歳のOLも、「制汗剤や柔軟剤を使用して良い香りをさせましょうという提言がありました。これも反対によって廃止にはなりましたが、汗の匂いも、職場での服装も女性はすでに気遣ってます。もっと気を付けてほしい人はほかにいるのでは……」と言葉を濁す。
匂いの提案の撤回についても、「ちょっと反対があったら撤回しないといけないような提言をするのではなく、混乱させないように最初から精査してほしい」(同OL)と困惑ぎみだ。そもそも、女性は冷え症で、夏場でもひざ掛けを常備していたり、温度調節のためにカーディガンを持ち歩いているもの。オフィスで寒そうにしている女性の姿を環境省の人々は見たことがなかったのだろうか。
もちろん、働く女性以外で、主婦の反発も多い。3年間も育児休暇をとっていたら、職場復帰が難しいし、その間の生活も厳しい。「抱っこし放題」という言葉からは、子育ては女性がするものという意図もとれる。
こうした様々な提言から、女性が混乱したり、立場によって対立したりする構図もあるが、前出の34歳OLは、「そんなことで女性同士が対立するのはバカバカしい。こういうときこそ、協力しておかしな政策にはNOと言いたい。今まではこんなに政治に憤ることはなかったのに」と自分でも意外そうに語っていた。