ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏は徳島大学工学部電子工学科卒業後、同大学院で博士号を取得。日亜化学工業に入社後、青色半導体レーザーの室温発光に成功した。2000年から米カリフォルニア大学サンタバーバラ校材料物性工学部教授を務める同氏は、日本の受験制度を真っ向から否定する。
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「うちの子には得意なものなんてないんじゃないか」という心配は無用です。どんな子どもにも、開花するのを待っている才能の芽があります。ただ、その芽は人それぞれで、ウルトラクイズ王選手権のような日本の入試を勝ち抜くのには役に立たない才能もあるでしょう。しかしそれは、その芽を摘む理由にはならない。
受験という名のくだらんクイズを勝ち抜くために、大きく育つはずの芽を犠牲にする必要はないのです。仮に学校の成績がよくなくても、それは、歓迎すべきことです。
受験競争をリタイアすれば、やりたいことに取り組む時間が十分にとれるからです。極論になりますが、好きな道で成功したかったら、今の日本の学校からは早く落ちこぼれた方がいいくらいです。
私は、大学入試は全廃すればいいと本気で思っています。そうすれば、クイズが得意な人ではなく、本当にその分野の学問が好きな人、得意な人、つまり一芸に秀でる人が集まるようになるでしょう。
では、我が子はどんな一芸を極めるべきなのか。それは、子どもが好きなこと、得意なことです。そしてそれを見つけ出すのは、親の観察眼というわけです。
※SAPIO2015年2月号