ライフ

鈴木光司氏が娘に贈る言葉 「目的を見出したら言葉にせよ」

 作家・鈴木光司氏が長女・美里さんからの問いに答える対論集『野人力 オヤジが娘に伝えたい「生きる原理」』(小学館)。美里さんからの質問は、彼氏や日常生活だけにとどまらず、「勇気」「目的」といった人生における大きなテーマにも及ぶ。父・光司氏は娘に対して、どのように生きるべきか以下のようにアドバイスする。

 * * *
 どうしても実現したい目的があるならば、どうやって手に入れるか、獲得にいたるまでの道筋を、文章にしてみることです。

 そして、その文章を客観的に読んでみる。もしそこに、希望的観測や他力本願が入り込んでいたら、それは叶わない目的ということになります。論理的矛盾もダメです。実現不可能なことを文字にすることは難しいんですね。言語化した時点で、矛盾が明らかになってしまいますから。

 戦争が始まっても、こうした「願望」混じりの作戦が数多く立案されました。こうなったらいいな、と希望的観測を浮かべるだけなら罪にはなりません。しかし、それを現実の世界にあてはめようと思ったら、必ず犠牲が出るのです。太平洋戦争では、実際多くの兵士が死んでいきました。彼らは、「願望混じりの目的」の犠牲者なのです。

 娘よ、目的を見出したなら、言葉にすることだよ。そしてその言葉をじっと見るのだ。書かれた文章の中に、論理的矛盾や他力本願が含まれていたら、目的は実現できないということだ。逆に言えば、不可能なことは文章化できない。

「願えば叶う」なんて、とんでもないファンタジーだ。夢は叶うはずだと根拠なき思い込みにすがれば、やがて破滅を招く。

 言葉にしたら、行動する。その先にしか、幸福はないのだよ。

※鈴木光司・鈴木美里/著『野人力 オヤジが娘に伝える「生きる原理』より

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン