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薬の「やめどき」を見誤ればかえって寿命を縮めることも

薬が寿命を縮めることもある(イメージ)

 当然のことながら、医師は患者の病気を治そうと思って診察する。その大きな手段となるのが「薬」だ。長尾クリニックの長尾和宏医師の話。

「医師は目の前の症状を改善させるために薬を使います。さらに、患者が長期間にわたって薬を服用することが患者を長生きさせることに繋がると期待して投与する医師も多い」

 しかし、長期間の服用が「健康長寿」に繋がると保障されている薬ばかりではない。

「例えば200~300種類あるといる降圧剤は、たしかに『降圧効果』が臨床試験で保証されています。しかし、“寿命が延びたかどうか”の検証には長期間の臨床試験が必要です。寿命にどういった影響を及ぼすかは、未確定のまま処方されている薬が多いのです」(長尾医師)

 薬を使い続けることで、逆に命を縮めるケースもある。長尾医師が続ける。

「薬は“利益”である『薬効』を得る半面、“不利益”である『副作用』も持ち合わせている。薬効と副作用は表裏一体です。そのため、最初こそ利益のほうが大きいが、服用し続けると不利益が大きくなるケースが多くある。副作用が勝るようになったら、用量を減らしたり、服用を中止するほうが長生きできることもあります。

 多くの医師や患者は“薬はずっと使い続けるべきだ”と考えますが、それは間違いです。短期的には症状を改善しても、長い目で見ると身体にマイナスになる薬は多い。本来、薬は期間限定で使うものであり、“やめどき”を見誤まればかえって寿命を縮めることにもなりかねません」

※週刊ポスト2017年8月4日号

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