佐久長聖高校監督として各大学のエース選手を輩出してきた“伝説の監督”両角速(もろずみ・はやし)氏が、今年、東海大学の監督として箱根に初参戦する。両角氏は5区にエース・村澤明伸を導入する仰天プランがあったことを明かした。それなら、以前の大会でなぜ村澤を5区に起用しなかったのか。
「前任者は、素質豊かな選手は5区とか6区とか特殊な区間は走らせたくないと考えたんだと思います。上り坂や下り坂は特殊だから、それまで築いたフォームが崩れる恐れがある。それは僕も基本的には同じ考え。ただ、今回は事情が違う」(両角氏・以下「 」内同)
東海大学は前回4位につけたメンバーのうち6人が卒業し、駒不足は明らか。そのため往路で可能な限り上位につけ、復路は我慢のレース展開を練る。距離が長く、過酷でタイム差が広がる5区で遅れることは許されない。
「それに、村澤は2区を走って、いつもビリの方で襷(たすき)を貰っていたので、4年間のうち、1回や2回は2、3番手で襷を貰うことがあってもいい。決して(東洋大学のエース)柏原(竜二)と村澤の対決をお見せしようという考えではなく、あくまでチーム事情です」
最後に改めてその勝敗について話を聞くと、両角監督は悪戯っ子のように笑い、こうはぐらかした。
「5区に早川を起用するアイディアもあります。オーダーの締め切りは12月29日ですが、締め切りのオーダーで走らせるとは限りません。2区と5区に補欠の選手を登録しておいて、当日に村澤、早川にチェンジする方法もありますから」
※週刊ポスト2012年1月1・6日号