みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイ ブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、神道の葬式「神葬」について考察する。
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神葬(道)墓地を持っている神社に、東京都あきる野市の稲足神社がある。JR五日市線・秋川駅からバスで10分。神葬墓地の需要に応えるため昭和63年に創建された神社で、隣接する丘陵に平成13年開設した大規模霊園は墓地1200区画、納骨堂200区画。神道霊園ではあるが、家に仏壇がある人はもちろん、無宗教の人も契約できる。
「神葬祭を知らなかった方も多いようです。神社界でも穢れ思想が根強く、必要性を認めながらもどこか抵抗があって、まだまだ定着していないのが現状ですね」
稲足神社の禰宜・尾山喜一郎さんはそう語るが、参列者からは、
「神葬祭って意外といいね」
「爽やかな感じがする」
という声が多いという。葬儀に際して神社側は、故人オリジナルの祭詞を書くが、宮司の小川修さんいわく、
「故人の来歴や人柄を盛り込んで、心を込めて書くので、最低1日は要します。参列者にもその内容ははっきりと分かるため、親しみが湧くようです」
神葬祭は、御霊遷しにしても、この祭詞にしても“故人を葬る”という意義がわかりやすいことが特徴かもしれない。
※週刊ポスト2012年3月30日号