日本プロ野球黎明期に、グラウンドを彩った選手たちが、もし現代のプロ野球に甦ったら――? そんな夢のようなテーマを元に、往年の名選手に話を聞いた。ボールは、統一球になって飛ばなくなったといわれるが、今の投手たちはその恩恵を生かし切れていない、と指摘するのは、マサカリ投法で鳴らした200勝投手・村田兆治氏(63)。村田氏はこう語る。
「飛ばない統一球なら一発の危険性が低いのだから、もっとズバズバ投げ込んでいけばいいんです。投げ込むことで腕の振りがどんどん良くなって球威も増す。投げる側にとって有利なんだから、ボクなら毎試合完封を目指してマウンドに上がるんだけどね。今の投手には、意欲が足らないんじゃないかな」
現在もマスターズリーグで140キロの直球を投げる“現役右腕”は、道具や環境の進化にかまけて、基本である肉体の鍛錬が疎かになっているのではないかという。
「今は相手の分析もスコアラーが資料を提出してくれるし、ビデオもある。情報化は結構だが、それを生かすためには、狙ったコースへ速い球を投げることのできる下半身が必要になってくる。情報に振り回される前に、原点に戻って自分の体というものを再認識すべきです」
※週刊ポスト2013年1月1・11日号